- 2020.02.16
”矯正の良医を見つける”基礎知識PART②
このページは2020年2月22日に更新されました。(心も体も軽くなる番町D.C、運営ポリシーはこちら)
”矯正医”、”良医を見つける”基礎知識PART①はこちら
ほんとうに体にとって最良の結果が出る矯正治療を受けるためには、治療方法に関しても十分に検討してから受けるべきです。今回は治療方法について書かせていただきます。
①矯正医はどうやって選べばよいでしょうか?(こちら)
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②どんな治療法がお薦めですか?
矯正治療には様々な方法があります。それぞれの特徴と、長所、欠点について患者さんの治療結果まで確認してきた私の経験に基づいて書かせていただきたいと思います。
1,ラビアル矯正(表側矯正)メタルブラケット
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1、ラビアル矯正(表側矯正)メタルブラケット
メリット
A,高い歯の移動のコントロール性
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デメリット特になし
ラビアル(表側)の矯正装置は、矯正治療の100年以上の歴史の中で最もスタンダードで理想的な治療法と言えます。
2、ラビアル矯正(表側矯正)審美ブラケット
メリット
1、とほぼ同じ
A,見た目が良い
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デメリット
A、目立つ(審美ブラケットは目立ちにくい)
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一見デメリットが多いように思われますが、これはあくまでも治療中のことで、外してしまえばほとんど問題が出る内容ではありません。
一方メリットですが、矯正治療は実は根を移動させる治療法なのです。ですからメリットAの歯の移動をコントロールできることは矯正治療で最も重要なことです。
また矯正治療の医学的な意味は噛み合わせを治すことですから、メリットのBは矯正治療の必須の条件と言えます。
メリットCのブラケット装着は正確にできることは、逆にできないと噛み合わせる位置が定まらず、顎関節症になる可能性が高まります。そして最重要なのはメリットDです。
歯列が広がる際上顎骨の緊張が開放されるため、脳にまでその良い影響は及ぶのです。
歯列が広がると頭の回転が早まったり、鼻づまりが取れたりすることをよく経験します。
ラビアル(表側)矯正(特にメタルブラケット)をお勧めする理由はこのような歯の移動で得られる副次的メリットが高いからなのです。
3,リンガル矯正(舌側矯正)
リンガル矯正(舌側矯正)とは、表側ではなく、歯の裏側にブラケットを装着する方法で矯正を行うものです。
昔からアメリカでは「矯正は普通の家庭では子供のときに行うもの」という認識が強く、「家庭の経済的理由で大人になってから矯正しているのでは?」と周りに思われたくない人や「芸能人のように顔の露出が多い職業の人」が、第三者に気づかれないように矯正治療したいという希望から行われら様になったようです。
メリット
A,目立たない |
デメリット
A,歯列が狭くなる歯の移動をする(内側から締め上げる)
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A,歯列が狭くなる歯の移動をする(内側から締め上げる)
リンガル矯正では「前歯が引っ込みやすい」という審美面のメリットを言われることありますが、実は前歯が内側に入るということは、「歯列全体が狭くなる」ことに他なりません。「歯列が狭くなると舌の動きは制限」され舌根沈下の原因となります。
ご存じない方がほとんどだと思いますが、「睡眠時無呼吸症候群」の「主な原因は歯並びやかみ合わせ」にあると言われています。(詳しい説明はこちら)前歯を引っ込める治療は場合によっては歯列を狭くすることになって、舌が後ろに下がり、呼吸の通り道が狭くなることがあります。
また出っ歯に見えるのは下顎が後ろに下がっているためで、上の歯を後ろに下げるのではなくむしろ下顎を前に出した位置でかみ合わせを作ることで、出っ歯感をなくすことができるのです。
C,虫歯になりやすい(内側が磨きにくい)
リンガル矯正が虫歯になりにくいと書いてあることもありますが、私の感覚だとむしろ内側にブラケットがついたほうが歯は磨きにくいです。もちろんブラケットは表側、裏側どちらにつけていても、歯磨きはしにくくなるので、虫歯にはなりやすくなります。
D,料金が高い
リンガル矯正は、ブラケットを装着する際に特殊な装置で計測し、ブラケットを付けるためのインダイレクト法という方法を用いて行います。また内側にブラケットが付いているので、調整がやりづらいです。そのため、通常の表側の料金よりも高めにチャージされま。
4,マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、最近ひんぱんに広告で見るようになった矯正治療法です。この方法は、歯型を3D読み込み装置によってデジタル情報化します。
それを専用のソフトを使い、理想的な歯並びを予想した歯列デジタルシュミレーション(以後歯科DSと略します)を作成します。
それをもとに、現在の歯列から治療終了までの段階的な歯科DSを作成します。
概ね5〜10の各段階の歯科DSを3Dプリンターを使って模型にし、その模型に特殊な樹脂を熱圧接して各段階のマウスピースを作成します。
できたマウスピースを歯の移動ごとに治療終了の方に向かって取り替えてゆくことで、矯正治療を行う方法です。
メリット
A,治療が目立たない(気づかれない)
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デメリット
A,治療の確実性が低い
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この治療法は「高い技術を必要としない」、「患者さんに受け入れやすい」方法で、「技術がなくても導入しやすい治療法」と言えます。本来のブラケット矯正がきちんとできる歯科医が採用する治療ではありません。なぜなら治療がうまくいかないことも多く、結局ブラケット矯正が必要になるわけで、初めからブラケット矯正をした方が手間が省けるからです。
この治療法自体は30年以上の前からあったのですが、技工操作が煩雑でコストの割に治療効果が低いことなどから、ハリウッドスターなどの「とりあえず見た目だけ治ればよい」といった症例が限られていました。
3Dプリンタの登場と普及とともに「技工操作がデジタル化、簡易化、効率化」され、もうけ主義の歯科医院が大々的に宣伝広告し、現在は爆発的なブームになっています。
私もリテーナー(歯の移動を抑える方法)や矯正後僅かにずれてしまった歯をもとに戻す装置として使うことはありますが、矯正治療自体に使うことはありません。
この矯正装置は歯の移動方向が限られるうえ、実際に3Dデータを作成する人は「医師免許や技工士免許もない無資格者」であることはほどんどで、歯科に関する知識はなく、実際は医学的に非常に問題のある技術と言えます。
補足
このようにラビアル(表側)矯正で最良の結果が得られる器具(メタルのデーモンブラケット)のです。ではなぜ審美ブラケットをつけている患者さんが多いのでしょうか?
日本人の特徴はとにかく相手に対して自分がどう思われるかを気にする国民性があります。
しかし、自身が健康な体を得ることと、相手に矯正治療中に良いイメージを持たれることとどちらが大切でしょうか?
自分を大切にし自分の人生をより良いものにする治療法を選ぶというのが本当の自分への投資と言えるのではないでしょうか?
一瞬の心地よい情報を耳にすると情報弱者の患者さんはこのような誘導情報につられて実は医院経営のための治療に誘導されてしまう可能性があるのです。
利益や取り入れやすさを考えればマウスピースや部分矯正は患者さんを集めやすく、医院にとっても都合が良いのです。
矯正は体調にダイレクトに影響する治療です。患者の健康に責任ある歯科医師としてはこのような治療法はとりたくありません。
すべてがそうとは言い切れませんが、マウスピース矯正や部分矯正の治療を受けるときは十分注意する必要があります。
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