- 2020.03.10
受けないで欲しい”自由診療トップ3”その訳と理論
このページは2020年3月8日に更新されました。(歯科医療を科学し結果にこだわる番町D.C運営ポリシーはこちら)
歯ときちんと治そうと思っても「自由診療でもきちんとした治療を受けたいけど何処で受けたらよいかわからない?」、「いろいろな治療法があってどれを選べばよいかわからない?」、「自由診療を勧められたけど自分に合っているかわからない?」そういった悩みはありませんか?

そんな悩みを抱える患者さんに、29年の経験を持ち、13年間「身体を含めて治す本当の歯科治療」を自由診療のみで行ってきた歯科医として、「これだけはできれば受けて欲しくない自由診療トップ3」をランキングさせていただきました。これを知ることで、治療を勧められても考え直す機会ができ、自分には合わない治療を受けずに「お金と時間を無駄にせず」、「歯にも身体にもトラブルが起こらないで済む」ことになります。
番町D.C.は歯科治療で歯だけではなく体調まで崩し、困り果てた患者さんが集まる「駆け込み寺」的な存在です。
このランキングは、そのような特に敏感な患者さんトラブル発生の原因となった治療法をランキングしたものです。すべての患者さんに問題のあったというわけではありませんが理論的解説をつけながらその治療法の問題を取り上げています。
第3位 ノンクラスプデンチャー
近年盛んにおこなわれるようになったノンクラスプデンチャー、これは実は非常に危険な治療です。なぜならこの入れ歯は部分入れ歯の基本と言われる要素が考慮されていない治療法だからです。
部分入れ歯は3つの要素が必要です。それが「支持構造、維持構造、把持構造」です。
「支持構造」とは鈎歯と呼ばれる入れ歯のばねがかかった歯に噛んだ時にかかった力を伝える構造です。
これがないと入れ歯はどんどん沈んでしまい、顎の骨は吸収し、噛み合わせが狂ってきます。
「維持構造」とは噛んだ時に入れ歯がガタつかないように金属で歯に平行に密着させる構造のことで、ノンクラスプデンチャーにはこのような構造がありません。
「把持構造」は粘着性のあるものを食べたとき入れ歯を外れなくする構造で、弾性の強いばねが歯を包み込む構造になっています。
下は正しい構造の入れ歯の例
一方ノンクラスプデンチャーはこのような構造がなく、「歯科医学の理論的」な設計になっていません。実はアメリカでは保険制度が整っていないため高額の歯科医療を受けられない人も多く、そのような人のために適切ではないが安価で作成できる入れ歯として流通してきたものです。
日本では「入れ歯の設計の基本すらわかっていない歯科医」がこのような入れ歯を自由診療で行っているというあきれた事態が起こっているのです。
下の写真は支持、維持、把持いずれの構造も不十分なノンクラスプデンチャーです。
しっかりとした構造でなければならない構造部分が弾力性のあるプラスチック製のばねでできており、支持、維持、把持構造は全く機能していません。
当院に通院していた患者さんが通院が億劫になり、近所の歯医者でこの治療をされ、「噛み合わせがガタガタに狂い膝が痛んで歩くのもやっとの状態」になってしいまました。
あまりの具合の悪さから私が「歯科治療は身体に影響する」という言葉を思い出し、慌ててやり直しにいらっしゃいました。
私がなんとかリカバリーしましたが、当の担当歯科医はことの重大さに気づきもしないで懐を温め、アフターフォローすらできないという呆れた状況でした。
第2位 全顎的マウスピース矯正
マウスピース矯正は近年のデジタル化の発達と3Dプリンターの普及で急速に広がってきました。「目立たないし歯も磨きやすく、違和感が少なく」こんな楽な方法はないと思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかしこの治療法は問題が多く、結果に満足できず相談にいらっしゃる患者さんもたくさんいらっしゃいます。
マウスピース矯正では「歯型をデジタルデータ化」しパソコン上で理想の歯並びをシュミレーションしてゆきます。完成したデータから「3Dプリンターで模型」を製作し樹脂を圧接したマウスピース作ります。この模型でマウスピースを治療終了までの何段階かを作ることで、マウスピースを交換しながら歯を移動させてゆくのです。
しかしこのようなマウスピースでは歯を動かす方向に限界があります。またシュミレーション上では並んでも「実際の歯では顎の骨の状態で移動しない」場合があります。さらに歯の移動に合わせて顎の位置も変化してゆくので「どうやっても噛み合わない」事態が起きることがあり、限られた症例にしか適応できないのです。
失敗例では16才の時からマウスピース矯正をはじめ、「5年たって歯科衛生士になっても治療が終わりません」でした。流石に治療した歯医者もごまかし切れなくなったのか、相談にも乗らなくなり、やむなく当院に転院、1年で完治した方がいらっしゃいました。とにかく「マウスピース矯正を前面に出している歯科医院での治療は気を付けるべき」、と私は感じます。
第1位 インプラント
インプラントは以前NHKでも特集されたほどトラブルが多い治療法です。インプラントは必ずしも必要な治療ではなく、ブリッジや入れ歯に慣れてしまえば済むはずです。
また手術が必要なうえに「骨に直接歯の芯を植え込む」ため、「免疫機構が働かないので感染のリスクはとても高い」のです。さらに、歯根膜という歯と骨の間に存在しているクッションがないため、他の歯が残っている状態でインプラントを打つということは車でいえば一か所だけサスペンションの無いタイアに交換するようなもので、「理論的に考えれば構造に無理がある治療法」なのです。
この治療の失敗例では、上の歯の一本歯が抜けたところに、「サイナスクリフト(上顎洞の粘膜を押し上げる手術)で人工骨とインプラントを埋入」したことで今までの体調不良以外に「嗅覚、味覚障害まで引き起し」、「顔からは表情が消え」来院もやっとの状態で相談にいらっしゃいまいました。
遠方だったのですが、新幹線で通院し「インプラントと人工骨を除去」し、噛み合わせを治すと徐々に回復し、8か月近くかかってやっと完治された方がいらっしゃいました。このケースはインプラントだけでなく、「歯の治療や噛み合わせの治療自体に問題があった」ので、インプラント自体をすべて攻めるわにはいかないですが、インプラント治療がされなければ、8か月もかからず治療は終わっていたはずで、患者さんの経済的、時間的損失はもっと少なかったはずです。
番外編 奥歯の審美治療
近年、「審美歯科治療」や「金属アレルギー対策」として、奥歯まですべて「セラミック」、「ダイレクトレジン」、「セレックシステム」などを使った治療が大々的に宣伝されています。
しかし、奥歯の噛み合わせの面は場合によっては40kg近い力がかかる場所で、「セラミック」は割れやすく、それを避けて厚くするため「歯を多めに削る」ことになります。また滑ってものが噛みにくいことがあります。
また「ダイレクトレジン」は材料が樹脂であるため、耐摩耗性が低く、吸水性があるうえ、固まる際に重合収縮し、歯との間に隙間ができやすい性質があるため、奥歯のかみ合わせ面で「適応できるケースはかなり限られます」。無理な症例に使うと摩耗して噛み合わせが変わり「顎関節症を発症する可能性があり」番町D.C.でもこのようなトラブルが発生して転院を余儀なくされた患者さんは多いです。
さらに「セレックシステム」は光学印象という、型材を使用しない光学計測によるデジタルデータで詰め物を作成します。しかし口の中は狭く正確に光学印象を取ることは難しく、さらに噛み合わせの面がシュミレーションで作られるので、「歯の適合精度は低く」、「噛み合わせの面の形状」も正確ではありません。
金属アレルギーを起こす歯科用金属は非常に少なく、セラミックの接着剤やダイレクトレジン自体にもレジンという化学物質が含まれており、この材料にアレルギーを持つ人もいるので、アレルギーの予防対策として審美治療を受けること自体何の意味もないのです。
いずれにしても奥歯の歯科治療は昔も今も金属材料が最も最適な材料であり、金属が時代遅れということはありえないのです。
いかがだったでしょうか?これらの治療は皆さんも一度は耳にしたことがある治療ではないでしょうか?
このような医学的に正しい治療でないにもかかわらず、どうして皆さんが聞いたことがあるほど普及してしまったのでしょうか?
それは日本の「国民皆保険制度」にも原因があります。日本はすべての国民が保険で歯科治療を受けることができる恵まれた国家です。これは世界的にみればほとんどないことなのです。
しかし、制度の成立から60年たった今この制度が時代遅れとなり日本独特の環境を生み”ひずんだ自由診療”(”自由診療でも危ない”の動画はこちら)を生みだしたのです。
私たち歯科医師には患者さんの健康を守る責任があります。自分だけが正しい治療をすればよいだけでなく、誤った歯科治療によって患者さんが犠牲にならないように監視し、常に正しい治療の情報を広める責任があるのです。
技術の無いものほど派手な広告をして利益を上げようとする傾向にあります。
技術があれば理解ある患者さんが集まり、できる範囲の患者さんを診療していれば経営は成り立ち、派手に広告する必要がないからです。
頻繁に目に触れる宣伝文句こそ落とし穴があり、正しい知識で判断を下さなければならないのです。
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