- 2020.03.23
”虫歯、ブリッジ、部分入れ歯”の治療で起きる顎関節症?
このページは2020年4月7日に更新されました。(歯科医療を科学し結果にこだわる番町D.C運営ポリシーはこちら)
「虫歯や、ブリッジ、部分入れ歯の治療が顎関節症を引き起こす」ことをご存じですか?特にブリッジの治療後は「噛めない」「肩こりや首の痛みがひどくなった」「体調が悪い」といった思いもかけない不具合が起こりやすいのです。
この記事ではなぜ治療が顎関節症を引き起こすことがあるのか、そのメカニズムについて書かせていただきます。
①.ブリッジと噛み合わせ
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①ブリッジと噛み合わせ
ブリッジの治療をされてから、体調不良を訴える方が少なくありません。
これはブリッジの治療が実はとても難しいからです。
奥歯のブリッジ
奥歯のブリッジの治療後不調になるのは、6番(親知らずを除いて奥から2番目の大臼歯)を失って⑤6⑦(〇で囲まれた歯がブリッジの土台となる歯)でブリッジを作るケースです。
この時、ブリッジの仮歯の高さが正確に作られていないと、噛み合わせが狂い顎の位置がずれてしまうからです。
仮歯自体の「耐摩耗性」はとても重要です。強度不足の材料だと、装着するまでの間に仮歯がすり減り、噛み合わせが低くなってしまいます。
「ブリッジをセットする時、噛み合わせが高すぎて調整が必要になる」理由はここにあります。
治療の過程で顎の位置がずれたことで顎関節症が発症するのです。
下顎の位置で身体のバランスが変わるの記事はこちら
前歯のブリッジ
前歯を失ったばあい、入れ歯を嫌がってブリッジにされる方がほとんどだと思います。歯医者さんも、前歯が抜けてしまった場合、入れ歯を敢えて勧める先生はむしろ少ないでしょう。
しかし、前歯のブリッジの製作は難しく、「ブリッジの裏側の面がわずかでも狂う」と、「下の前歯の当たりがきつくなって顎関節症になり」原因不明の体調不調に悩まされる患者さんは多いのです。
②.部分入れ歯と噛み合わせ
部分入れ歯のかみ合わせ治療は、実は矯正治療を以外の治療の中で最も難しい治療といえます。
部分入れ歯の患者さんの噛み合わせを正しく理想的に治療がができる先生は、インプラントの登場とともにどんどん減っており、今では数えるほどしかいらっしゃらないと言っても過言ではありません。
これは非常に残念なことであるとともに、由々しき事態と言えるでしょう。
部分入れ歯の製作では、患者さんの体のバランスが最も良くなる理想的なかみ合わせの位置を採得できる技術が必要です。
場合によっては部分入れ歯の噛み合わせだけでなく、今ある歯の噛み合わせの高さまで治療する必要があり、治療過程は非常に複雑になります。
入れ歯が合わないという患者さまがいらっしゃいますが、そのほとんどは噛み合わせに原因があるのです。
③.インプラント治療はどうか?
最近では、アゴの骨に歯を固定するインプラント治療もあります。
しかしきちんとした入れ歯を作れば十分噛めるので、本来は必要のない治療と言えます。
インプラントは業界でも宣伝広告にかける費用が最も多く、それだけ儲かる治療と言えますが、問題がとても多く敢えて薦めたい治療ではありません。
噛める入れ歯を作るためには高い技術が必要です。
十分な技術を持っている先生は限られるうえ、患者さんが入れ歯を嫌がるため、インプラントに積極的な先生が多いのだと思います。
インプラントは人生の終末期にどう扱うかや、女性は閉経後骨の減少など、将来の不確定な要素がたくさんあります。
また手術自体も非常に危険を伴う治療なのです。
④.歯科の専門家はこれを選ぶ?
私が30年近く歯科医をやっていて歯を失ったときに最もよい治療方法は入れ歯であると確信しています。入れ歯は上手に製作すれば、違和感もなく、残っている歯をほとんど削ることなく治療ができ、機能回復も十分行える最高の治療と言えるのです。
よくブリッジは両側の歯を削り、入れ歯は隣り合った歯を痛めるからインプラントがお勧めといった過剰な広告が見られます。
しかし、インプラントが最も危険理由は、歯だけでなく骨自体を傷つけ、そこに異物を入れるということです。
入れ歯は骨も歯もほとんど傷つけません。私の経験だと20年以上たっても何も全く問題のない患者さんがほとんどなのです。
かぶせ物(詰め物)の治療で顎関節症(体調不良)になることがある?
かぶせ物の治療で顎関節症(体調不良)になったのは以下の様な方々でした。
①.一番奥の歯を金属から白い詰め物に変えてから体調が悪くなった。
一番奥の歯は、実は噛み合わせの高さを決めているとても大切な歯です。
この歯を金属からレジン(樹脂)に変えてしまうと、噛みあわせが大幅に低くなってしまうことがあります。
噛みあわせが低くなってしまうと、顎が斜め上奥に入って嚙み締めがひどくなります。
嚙み締めがひどくなるとさらに奥歯が磨り減り、どんどん噛みあわせが低くなってしまう悪循環が起こります。
この悪循環が引き起こされると、顎関節症(体調不良)が発症して、不定愁訴を訴えるようになるのです。
②.奥歯のブリッジを入れてから、噛みあわせと体の調子が悪くなった場合は噛み合わせを治すのが非常に難しいのです。
ブリッジの型を取る前に、理想的な下顎の位置になるように仮の材料で高さを作り、筋肉を緩めながら正しい噛み合わせの位置に戻さなければならないからです。
そのあと型を正確に取った後、正確な噛みあわせの位置で、硬さが十分で正確な高さの仮歯を入れておく必要があります。
ブリッジの型を正確に取るにはシリコンという精度の高い材料で個人トレー(患者さんの歯列に合わせてオーダーメードで作った型を取るためのトレー)を使って型を取ることが治療を成功させるために必要です。
またブリッジを作成する相手側の歯列も正確に型取りしなければなりません。ブリッジのような精密なかぶせ物を作る場合は個々の型の精度だけでなく、技工士さんの技術もとても大切な要素です。
大きく調整されたブリッジを入れた場合、噛みあわせに違和感が出たり、場合によっては顎関節症による体調不良まで引き起こされることがあるのです。
多くの歯科医の先生も理解していないのですが、低い仮歯を入れられると、次のアポイントまでに患者さんの顎の位置はその低い高さに適応してしまいます。
型をとったときに正確であった高さのブリッジを入れられたとしても違和感を感じ、調整が必要になるのです。
ブリッジを削って調整をして入れられてしまうと、噛み合わせは自然には二度と戻らなくなります。
③.出っ歯の前歯をかぶせ物で治してから噛みあわせと体の調子が悪くなった
上の前歯が出っ歯ているときはそれほど強く当たっていなかったのに、治療をした後で下の歯が強く当たるようになることがあります。
下の前歯が上の前歯に強く当たるようになると、下顎全体を強く後ろに引いた噛み合わせにならざるを得ません。
顎を後ろに引いた噛み合わせでは、顎関節症(体調不良を含む)を発症するリスクは非常に高くなります。
このようなかぶせ物や詰め物の治療で顎関節症から不定愁訴と呼ばれる症状を起こすのです。
「審美歯科治療が危険」な理由はここにあります。
審美は治療ではない事を肝に命じておく必要があります。
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