噛み合わせのズレは意外に大きい

  噛み合わせのズレは意外に大きい

お役立ちコラムCOLUMN

2017.10.31

噛み合わせのズレは意外に大きい

このページは2022年11月14日に更新されました。

酷い場合は1センチ以上のズレも!
自分の噛み合せがずれているといわれてもいま一つピンと来ない人がほとんどだと思います。しかし、よっぽどかみ合わせがよい人でない限り、歯が噛み合う位置が顎が楽に機能する位置からはずれていることが多いです。
そして、そのズレが歯の治療や、ストレスなどによってさらに大きくなることで、顎の違和感から始まって体全体にさまざまな症状が起こる顎関節症が発症する可能性が高くなります。最近の人は敏感な人も多く、テレビで見る人でも、明らかに顎が曲がってしまっている人を見かけることが多くなりましたが、これは噛み合わせが曲がっていることが原因であることがほとんどです。
顎の関節は体の中でももっとも自由度の高い関節で、顎の位置は前後左右上下に自由に移動させることが可能で、その移動できる量は最大で1センチを超えることもあります。
私が長年顎関節症や、噛み合わせの研究をして気がついたことは、顎にトラブルがある患者さん噛み合わせのズレは1ミリとか2ミリといったわずかな量(もちろん歯科医学的に考えるとこの量でも非常に大きなズレなのですが)ではなく、「人によっては1センチ以上もずれている」ことも珍しくないということです。
この顎の位置のズレを3次元的に分けて考えると前後的ズレと、左右的ズレそして奥が低いといった3種類がありますが、ほとんどの場合、それらが複合して変位しています。私の経験では、中でも中枢神経や体調不良ともっとも重篤度の高い顎関節症症状と関係しているのは、奥歯が低い噛み合わせのズレです。
奥歯が低いことによって、顎の後ろの筋肉(咬筋、顎二腹筋、小後頭挙筋など)が緊張し、まず第一頚椎と第二頚椎が後ろに引っ張られ、その椎間も筋肉の緊張によって詰まり、さらにその部分の首が硬くなってくるため、脊髄液の流れが阻害されたり、自律神経が圧迫されて正常な恒常性コントロールが果たせなくなるからです。
顎は非常にフレキシブルな構造をしているので、まるで「海に浮かんだ船」のように下顎の3次元的な位置は歯の高さによって変化してゆきます。
このような顎に位置の三次元的な変化は、成長発育とともに乳歯列が完成する前から起こっており、少しづつ起こってきた変化は体中のバランスを変化させてしまいます。
噛み合わせのズレが大きく、症状が重篤な型の場合は、体の緊張を引き起こしやすい体質でもあるので、全身の硬直があちこちで起きています。
したがって、単に噛み合わせを治すだけで全て解決するものではなく、徐々に正しい噛み合わせの位置に修正しながら、身体の硬直も取り除いてゆくという治療を平行して治療法が行う必要があります。つまり治療は単純ではなく、体が硬くなったり緊張しやすいといった様々な要因を治療と同時に取り除いてゆく必要があるのです。
噛み合わせで苦労する人の場合、歯の治療でも苦労していることが多いです。その理由は、体質が敏感で、歯にダメージを受けやすいからです。日々の生活でどうやってダメージを受けなくするか?そしてダメージを受けても回復させることができる様になるのか?が私達が本当の意味での歯科治療の最終ゴールと考えております。単に治療をするだけでなく、どう予防するかもお伝えするのが私たちの治療の醍醐味でもあるのです。
このゴールにまで到達することができれば本当の意味で救われるのです。

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