- 2016.04.09
日本人に顎関節症が多いのは何故でしょう?
このページは2021年11月13日に更新されました。(歯科医療を科学し結果にこだわる番町D.C運営ポリシーはこちら)
日本人に顎関節症が多いのは何故でしょう?
欧米諸国にも顎関節症の患者さんはいますが、日本人はその数が圧倒的に多いといわれています。それはなぜでしょうか?
1、保険制度の下で治療の質は正しいといえる十分な治療レベルに達していると言えない
日本の歯科には皆保険制度があります。実は世界的にみると保険制度が歯科医療にまで適応されている例は実は少ないのです。
歯科治療は世界的に考えても、疾患を抱えている患者さんが多く、皆保険制度で賄うことは財政上も困難といわれています。
しかし、歯科治療は一般的に非常に手間がかかるため、費用が高額になり、保険制度のない国では裕福な人しかかかることができません。
一方日本では皆保険で誰でもかかることができますが、国の制度で諸外国の一般的価格の1/10~1/20程度の価格に抑えられているために、治療内容にかなり制限があります。
これによって精度が要求される歯科治療も、十分な質を提供しきれていないのが現状です。また歯科医が非常に劣悪な条件下で働いているという状況もあり、歯科医師自体が非常に疲労困憊し、集中力を要する細かくて精密な歯の治療を十分に行えないのではないかと思います。
最近では自由診療のみの歯科医院も増えてきましたが、ほとんどの歯科医院が保険診療と自由診療が混在し、治療の質として噛み合わせまで配慮しきれない場合もあるのです。技術も玉石入り混じっているため、患者さんも先生の腕を判断しにくいのです。
一部では、インプラントや審美歯科などに偏り、本来の意味での歯科治療を見失っている歯科医も多く存在することは否定できない事実なのです。
2、骨格的に顎関節症になりやすい
日本人の頭蓋骨を上から見ると丸い形(短頭系)をしています。一方で欧米人は縦に長い楕円形の形態(長頭系)をしています。(下の図参照)
これからわかることは日本人の顎は前後的にあまりゆとりがないということです。
審美治療が盛んに行われ、矯正治療では出っ歯を治してほしいという見た目の改善の要求にこたえるために、歯を抜いて歯を後ろに引く治療をするケースが多くあります。この場合見た目は改善しますが、口の中は狭くなります。
また前歯だけをかぶせ物にして出っ歯やスキッパを治す治療も増えています。しかし、このような治療は、歯の裏側の傾斜を変えてしまい、そこに下の歯が強く当たって、下顎が後ろに下がってしまうケースを多く見かけます。
日本人のように短頭系の人種は、顎に前後的なゆとりがないので、口の中が狭くなったり、舌を置くスペースが狭くなったりして、「呼吸の質が落ちる」などの顎関節症を発症してしまうことがあるのです。
顎が後ろに入ってしまうと「鼻の通りが悪い」とか「イビキがひどい」からはじまり、「睡眠時無呼吸症候群」まで発症することがあります。このような不具合が起きると不定愁訴が発症する可能性があります。
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