矯正治療で難しい症例とは?

  矯正治療で難しい症例とは?

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2017.05.20

矯正治療で難しい症例とは?

矯正治療で最も難しいといわれる症例は「受け口(骨格的)」といったものや「開口(前歯が閉じない)」といったものが挙げられると思います。
私が顎関節症や噛み合わせの治療をしていて感じるのは、顎の筋肉や、顎の運動そして顎の3次元的変化を考慮すれば、実はこれらの問題はそれほど難しいものではありません。
当医院には、「他の歯科医院で外科以外の矯正治療は基本的に無理」といわれたり、「顎のゆがみは治らない」といわれたり、「矯正治療が難しい」といわれた人が多くいらっしゃいますが、基本的にはほとんどの場合、治すことが可能です。
多くの場合は「左右的なずれが激しい」とか「受け口がひどい」、とか「前歯が完全に開口している」といったものです。
このような症例がどうして治療可能になるかといえば、歯を移動させるときに奥歯の噛み合わせの高さに対して引き算だけでなく、特殊な方法を用いて足し算もするからです。
噛み合わせの高さの引き算では、歯を抜いたり、奥歯を圧下(沈めること)によって奥歯の高さが沈み、咬合高径(奥歯がかみ合っている高さ)は低くなってゆきます。
逆に足し算とは奥歯を今よりも高くすることですが、通常矯正中、奥歯は噛んでいますから、こんなことは不可能です。しかしこれをしなければ本当の意味で矯正治療が上手くいかないので、特殊な方法で歯を引き出してゆきます。
よく考えてみると、奥歯(咬合高径)が低くなるということは、喉の奥が狭くなることと同じです。また低くなったことによって、顎の筋肉が緊張しやすくなり、顎が後ろに下がる傾向が強まり、前後的にも垂直的にも、喉の奥側は狭くなってしまうのです。
このように引き算だけの矯正治療を行うと、睡眠時無呼吸の原因となる舌根沈下などの症状が出始め、いびきがうるさくなるといった呼吸器系のトラブルがおこりやすくなるのです。
矯正治療で不調になる人がいるの理由のひとつがここにあるのです。そういった意味で矯正治療は噛み合わせを上げるテクニックなしではリスクが伴うといえます。
しかし、普通は自分の奥歯は低くなったとしても、それに気がつく人は少ないのです。それは、筋肉が収縮して奥歯が噛むように顎が移動してゆくからです。ですから通常は体調不良が歯の矯正のせいだとかわかる人は少ないのです。
奥歯が低くなるということは、下顎の角度がきつくなってしまうので、下の前歯が前に傾斜したように見えます。これで下の歯のほうが上の歯より前にでてきたり、顎の角度が急すぎれば前歯が完全に開いてしまう人もいると思います。
下の顎が出ているように見えるのが、「受け口」で開いてしまった患者さんが実は「開口」という症状として噛み合わせの問題が起こり、これらの症状は引き算の治療だけでは治せません。
つまり生まれつき奥歯が低く顎の角度が回転してしまった人が矯正が難しいといわれているだけで、奥歯を引き出す方法さえ分かれば治療は可能なのです。
当医院では1.5センチ以上隙間のあった「開口」でも足し算を併用することで治す事ができるわけです。
矯正治療は難しい診療です、とらわれたやり方では治療は上手くいかないのです。

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