- 2023.02.02
矯正治療の規格化、インダイレクト法
このページは2025年06月20日に更新されました。
矯正治療には長い歴史があり、効率的にかつ正確に矯正治療を行うためにさまざまな工夫がなされてきました。
矯正治療のもっとも革新的な変化は「ストレートワイヤー法」です。

上のイラストはストレートワイヤー法を示したもの
上下の歯のイラストは、理想的な歯並びでの歯の傾きを示しています。
イラストの真ん中にあるブラケットがストレートワイヤーブラケットです。
このブラケットでは歯の装着面に対するスロット(ブラケットの中心の溝でワイヤーが入る)の角度が歯ごとで変えて設計されており、スロットに四角いワイヤーをはめさえすれば、歯が理想的な傾きになるようになっています。
一方、旧来のブラケットでは、スロットがすべての歯の装着面に対し垂直になっており、歯が理想的な傾きに並ぶには、スロットにあわせて四角いワイヤーを曲げる必要がありました。
これがストレートワイヤー法と旧来の方法との大きな違いです。

上のイラストは旧来のブラケット
アメリカの矯正医アンドリュー先生が開発したこの「ストレートワイヤー法」は理想的な歯並びが、「歯がどんな位置、角度」なのかという定義を行い、ブラケットの規格を決めました。
この規格は人種ごとにも異なり、「アジア人」か「欧米人」かでかなり違っています。(当院ではアジア人向け規格のブラケットを使っています)
このブラケットの登場で治療精度が上がり、先生による差が少なくなり、矯正治療そのものがレベルアップしたのです。
ちなみにストレートワイヤー法では、ブラケットを臨床歯冠(歯ぐきから歯のてっぺんまでの部分)の中央に装着するというルールがあります。
しかし、実際の臨床歯冠は、左右の歯で違ったり、歯によっては極端に歯茎が下がっていたりするので、かなり曖昧なものでした。
ブラケットの装着位置はたった250ミクロン狂っただけでも上下の歯がきちんと噛み合いません。
ブラケットの規格としては素晴らしかったのですが、使いこなすことは難しく、結局ワイヤーを曲げざるを得ないケースもあったのです。
ちなみに今でも多くの先生がブラケット装着は目分量でつけています。矯正専門の講座では目分量でブラケットを装着(ダイレクト法)する練習をするようです、まるで職人技です。
私は矯正を先行しておらず、ダイレクト法の訓練していなかったので、白須賀法インダイレクト法を習得するまではブラケット装着が何を基準にしているのかを専門書を読み漁り、様々なインダイレクト用の器具を購入しては試すという苦労した経験がありました。
ちなみに白須賀法とは、白須賀先生が考案した方法で、模型上でブラケットを正確に仮付けし、トレーにブラケットを取り込んでブラケットの位置を写し取り、そのトレーを使ってブラケットを歯に装着する方法です。目で直接装着す方法よりかなり正確です。
白須賀先生は臨床歯冠の半分というあいまいなものではなく、それぞれの歯の歯冠から何ミリにブラケットを装着するのかを250ミクロン単位で決めました。
その方法に使う専用の器具も開発されました。


インダイレクト用の白須賀ゲージ
白須賀法を知るまでは、インダイレクト法を勉強をしていましたが、当時は白須賀方法ほど正確なブラケット装着法が確立していませんでした。
ブラケット装着後歯が移動してきてはじめて、上下の歯が噛まない場所が分かり、ブラケットを着け直すことも多かったので、治療も長引き、患者さんにずいぶん迷惑をかけていました。
実は今でも、ほとんどのブラケット装着はダイレクト法で行われています。
ダイレクト法をやってみるとわかりますが、狭い口に中で正確にブラケットを着けることは難しく、矯正専門医は目分量で正確にブラケットを装着する技術と、ワイヤーを曲げて調整するテクニックを何年もかかって習得していると考えられます。
それでもブラケットの着け直しはそれなりの頻度で行う必要もあります。
私は白須賀法をマスターしてから、ブラケットの再装着がほとんどなくなりました。
白須賀法は優れていますが、実は行っている先生は少ないです。
これは、「習得に非常に時間がかかる」こと、「診療が忙しく技工操作の時間が取れない」こと、「技工を外注するとしても、受けてくれる場所がほとんどない」ためです。
また、白須賀法ではないですが、ブラケットを正確に装着するCAD/CAMを使ったインダイレクト方法がアメリカで行われていますが、製作に5週間程度かかってしまうので、患者さんを待たせてしまったり、その間に歯が移動する問題もあり、なかなか普及していません。
正確で良好な結果の期待できるインダイレクト法ですが、このような理由では必ずしも多く普及率はしていません。
私は、すべての患者さんのブラケットを自分で製作した白須賀法インダイレクトトレーで装着しています。かなり時間をかけてこの技術をマスターしたので、早ければ3日ぐらいでも製作することが可能です。
でも診療に余裕がないと、先生自身がインダイレクト法によるトレーを製作して矯正治療を行うことは難しいと思います。

院長が製作しているインダイレクトトレー
インダイレクト法についての詳しいページはこちら
顎関節症の患者さんは、かみ合わせに対して非常にシビアなので、白須賀法インダイレクト法は必須の方法だと思います。
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