- 2022.01.30
医療に流行り廃りはなじまない
このページは2022年9月30日に更新されました。(歯科医療を科学し結果にこだわる番町D.C運営ポリシーはこちら)
物事には流行り廃りがあります。
ヒット商品やサービスなどはまさしく時代のニーズによって変わるものです。
たとえ本質がそこまででなくてもその時代の感情にマッチすれば、売れます。しかし、やがて忘れ去られ、そんなものがあったか100年後には誰も覚えていないです。
残念ながら大衆は物事の核心より感情を優先する生き物であるからです。
私は歯科医ですが、治療にまで流行を持ち込んでいる最近の傾向を非常に由々しき事態と思っています。
10年ほど前にあったインプラントブームでは歯科医は誰彼となくインプラントに飛びつき、インプラント難民を量産しました。
私は患者さんから、何度も「なぜ先生はインプラントをやらないのですか?」と聞かれたり「歯医者さんはたくさんあるけど、インプラントをやらない歯医者さんを探したらここを簡単に見つけることができた」と言われるほど、歯医者がこぞって導入していました。
治すという行為に流行り廃りもなく、目的に向かった治療を行う方法はそう多くは無いからです。
インプラントや審美歯科、審美修復が流行りました。そして今は次のブームとしてマウスピース矯正が流行っています。
歯科医までがブーム乗って患者さんを集めようとする淺ましい光景を見ていると、医師という立場とは全く違う、欲深い商売人の姿さえ見え隠れします。
長い間治療をするという仕事をしていると、いろいろなことがわかってきます。
どんなに自分が適切と思っている治療を行っても治らない患者さん、これらは単純に部分的な治療を行うことでは絶対に治らない全身の原因があることのみならず、最終的には自分の中の精神の問題、家族の問題など、ありとあらゆることが結果として疾患に表れているわけで、治療も非常に奥深くなってゆくのです。
そしてその原因も自分の深層心理の中にあり、劣等感であったり、高慢さであったり、わがままであったりします。
しかし、あまりにその曇りがひどいと、一体なにが原因なのか全くわからなくなってしまいます。その曇りを少しずつ取り除いてゆくのが私達の仕事だと思います。
流行に乗って治療をするようでは場合によってはその曇りをさらにひどいものにしてしまいかねません。
結局それらすべてを自分で克服してゆかなければ病気は治らないのです。そしてそれを克服して本当の自分自身の問題点に気がつき、自分のレベルを少しずつ上げてゆくことが人生なのだと思います。
そういった意味で、医師という人立場は非常に責任がおもい職業だと思います。
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