噛み合わせのプロとして矯正治療をこう考える

  噛み合わせのプロとして矯正治療をこう考える

お役立ちコラムCOLUMN

2015.06.30

噛み合わせのプロとして矯正治療をこう考える

本当の意味ある矯正治療とは?
難しい矯正治療が必要な患者さんを沢山治療してきてつくづく感じるのは、噛み合わせと頸椎、そして自律神経と脳脊髄液との関係をきちんと理解して治療を行わなければ、本当に意味のある矯正治療とは言えないことです。
矯正治療(かみ合わせの治療)がこれほどまでに人間の体の機能と直結しているとは、卒業して5~6年までは全く考えもしませんでした。
始め私が矯正治療を始め様と思ったときは、「奥が深そうで面白そうだけどなんて複雑な治療なんだろう」としか思いませんでした。当時はベンディングや、様々なテクニックがあって、とても自分で習得できそうにないと感じたことも確かでした。
矯正科を卒業していないのに、どうして矯正の治療技術を習得しようと考えた理由は、顎関節症の患者さんを治療してきて、どうしても被せものや、歯の治療だけでは顎関節症が治らないと感じたからです。
当時から今まで、矯正治療の技術の習得はイバラの道でした。そもそも学生時代に大学で教わる矯正治療のテクニックは基本の基本、しかもストレートワイヤー法という新しいブラケットの内容までは講義では全く教えてもらっていなかったのです。そもそも私が大学にいたころは既にストレートワイヤー法が主流でしたが、大学は遅れていてそのような内容を取り入れる講義は全くしていませんでした。
ストレートワイヤーテクニックから、アーチワーヤーベンディング、そしてレントゲン分析法、ブラケットポジショニングまでを一から習得することは容易なことではありませんでした。
しかし勉強を進めてゆくうちに実際は殆ど全ての矯正治療を行っている先生が、必ずしもかみ合わせについて理解して治療しているわけではないことに気が付いたのです。
矯正治療はかみ合わせを大幅に治療しますから、顎が3次元的にどの位置にあるかを完全にコントロールすべき、非常にシビアな治療です。
仮に、治療が見た目にどんなにきれいに仕上がっても、3次元的な位置が顎にとって適切でなければ全く意味をなさないのです。殆どの矯正専門医がその意味を分かっていないで治療をしているのです。
顎の3次元的位置を決めようにも、矯正治療中は歯がすべて移動をしますから、顎の位置を決めてい治療を行うことは困難を極めます。
そんなことから、ほとんどの先生は、ブラケットを装着して、並んできた上下の歯が噛んだ位置を、かみ合わせのゴールとするのがほとんどです。少しよく考えている先生でも、ワイヤーベンドによって奥歯を沈めたりして顎の位置を前後左右に動かしたりするのが精いっぱいでしょう。
しかし、ワイヤーベンドで動かす場合は、どの程度位置を変更するのかが、適切にコントロールできてい無いことにも気が付きました。しかも奥歯を沈めることはできても、奥歯を引き上げる治療は見たことがありませんでした。
このような事情から、かみ合わせの3次元的な位置を決めるながら矯正治療を行うということに対して、確たる方法論もないまま、100年以上矯正治療が行われ続けてきていたといえるのです。
しかし、私が実際3次元的な位置をきちんと決めながら矯正治療を行う方法を発見し、その方法でかみ合わせを治してゆくと、矯正治療によるかみ合わせの変更は全身にとって非常に大きな意味を持っていることに気が付きました。
噛み合わせの変更によって緊張していた首の筋肉が緩み、結果として、脳脊髄液の流れが良くなったり、頸椎の周りに付着している靭帯が緩んだことによって自律神経の機能も正常化します。それに伴って全身の健康状態が全く変わってしまうのです。
もちろん矯正治療で治ったとしても、その後のメインテナンスが悪いと少しずつ元に戻りやすくなりますが、矯正治療でかみ合わせを変更した後は体調ももとに戻りにくくなり、疲労の回復力もはるかに向上することが分かったのです。(ですから歯の位置が移動しなくなるためのリテーナーは大きな意味を持ってきます)
人間の体はよくできているものだとつくづく感じている最近です。

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