- 2013.11.18
矯正用ブラケットにまつわる話
矯正用ブラケットは、各種様々なものが用意されています。
私は矯正医の実力を調べる手立ての一つとして、使っているブラケットを調べることも一つの方法です。
ブラケットは今や世界中で売られており、毎年何千万ものブラケットは売られているので、企業としては大きな利益を生む重要なものにほかなりません。その中でもメタルからクリアーブラケットから、リンガルブラケットから様々なものが用意されています。
世の中はよくできたもので、値段というのはどうしても正直です。高いブラケットの方が機能が優れている場合が多いのです。
ブラケットは今はほとんどがストレートワイヤー法となっているため、ブラケットの一つ一つが、歯の位置によって形状が異なっており、ブラケットのスロット(ワイヤーが入る溝の形)が角度が違います。
この角度は高名なアンドリュース、ロスなどの先生が決めてきたわけですが、その角度は左上の4番5番、下の1番2番以外はすべて違っています。
しかし、価格の安価なブラケットは、角度の近いものはすべて同じ角度にしたりします。それは量産時に角度を変えて作れば大きなコストがかかるからです。
また同じように、セルフライゲーションと言って、ワイヤーを縛らない、歯にかかる力が弱いブラケットは、それだけ機構が複雑になり、値段が跳ね上がります。
一方、クリアーブラケットは、構造上、セラミックやプラスチックで作らねばならないため、強度や加工の技術上の問題から、製作上制限が出るために、必ずしも理想的な構造にできないことが多々あります。
このようなことを知れば、ブラケットは患者さんのことを考えると、金属ブラケットで、セルフライゲーションがコストを考えなければもっともよい選択になってしまうのです。
しかし、歯医者さんが患者さんの[器具や材料がよければ治療はうまくゆくのか?」という質問に答えるとき、よく言うのですが、「基本的技術がなければ、どんなよい材料を使ってもその良さを100%発揮できない。技術のない人の治療は材料、器具が悪いが、技術のある人の治療より劣る」ということです。
先ほど書いたセルフライゲーションやスロットの角度なども、正確にブラケットを位置づけできない先生が使ったとしても宝の持ち腐れで、むしろワイヤーをまげて調整する量の方が多いでしょう。
しかし、技術レベルが高く、ブラケットの位置づけが正確であれば、高価でも精度の高いブラケットを選択する意味が出てくるのです。
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