恐れと不安が持つもの

  恐れと不安が持つもの

お役立ちコラムCOLUMN

2015.07.20

恐れと不安が持つもの

現代人、特に日本人は「今日明日死んでもおかしくない」ほどの生命の危機に陥っている人は少ないでしょう。

しかし、「来月からの収入はどうしよう?」とか「今のような生活が今後も送れるだろうか?」とか、「介護の苦しみは一体いつ終わるのか?」いった先の見通せない恐怖にしばしば襲われます。

この恐れや不安が、まさしく現代人にとっての最強の敵といえるべきものとなったといえます。(もちろん以前からも恐れと不安は人間の心を脅かしてきましたが)

平和な日本で起こっている多くの犯罪がこの手の恐れや不安によって引き起こされています。

またこの「恐れや不安」は人々の心をまるで伝染病のように伝わるため、感性の豊かな人は、ちょっとしか偶然で隣に「不安と恐れ」に満ちあふれた人が座っただけでも、自分の立場に投影した、「不安と恐れ」抱いてしまうことがしばしばあるのです。

私も恐れと不安をもらってしまった経験がしばしばあります。ある時の集まりで、普段は全く考えたこともない「死にたい?」という気持ちに突然襲われたことがありました。

よくよく調べてみると、その会合の中の一人が実は今までの自分の不手際で、今月いっぱいで職を失う立場にある人で、将来を非常に不安を感じていることを知りました。

本人にとっては、死にたいほど不安に満ちた状況での会合への出席だったのだと思います。それが何となく私の脳に伝わって、私まで死にたいと急に考えてしまったのです。本当かウソかはわかりませんが、それ以外に自分が死にたいなどと急に考えたりしないはずなので、そうに違いありません。思いがこのように伝播することを知ったときは相当驚きました。

このようなことは、たとえ本人が自分の感性が豊かだと思っていなくても、誰にでも絶対起こっているはずです。なぜなら、「景気が悪い時は、お金があるひとでも、財布のひもは固く、お金を使いたがりませんし、景気が良い時は、貯蓄がなくても、将来のお金周りを楽観的に考えてお金を使う傾向がある」という現実が世の中にあるからです。みんなの気持ちが盛り上がれば自然に自分の心も緩むはずです。

このような周りの人の影響からくる、精神のブレをコントロールすることは、毎日の人生を豊かにするためにもとても大切なことです。

自分が急に不安になったり、恐れに襲われたとき、最近誰に会い、どんな人だったかを思い出し、何か影響がなかったか考えます。もし影響された原因がわかればで「今の心は、自分の心ではなく、あの影響だ!影響されてはだめだ!」と考えます。そうすると、そのうちにそのような「恐れと不安」は自然と自分から抜け去ってくれます。

私もこのような方法で、突然襲ってくる不安と恐怖に打ち勝った経験がたくさんあります。

精神の健全性が健康の指標ともされる現代では、このような見えない形でのさまざまな人から影響が精神の健全性をおとしめていることを理解しておく必要がある思います。

第二次大戦中、ヒットラーが何万人もの残虐な殺戮を実現できたのも、このような強力な精神へ働きかけができる人間だったからではないかと思います。強力な精神への影響力を持つ人は、感性の豊かな人、心のコントロールが得意でない人へ、強い影響を与えるのです。

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