- 2015.07.01
お口の中の金属と体との関係
時々「口の中の金属を取ると、体の症状が消える!」とか「口の中の重金属が悪さをしている!」
なんてことをしきりに不安をあおる文言を目にすることがあります。
しかし、金属は人間の体内にも絶対に必要なものです。たとえば代表的なものでが赤血球のヘモグロビンは鉄イオンが含まれており、これがないと酸素を運ぶことができません。
ですから金属が体に存在することはある意味では必要なことです。
また私は20年ほど前細胞培養の研究をしていましたが、培養液に亜鉛や、セレン、などの微量の金属をいれるによって、培養が難しい細胞も培養できるようになるという、実験手法があった経験があります。
つまり、体にとって必要な金属と、そうでなく悪さをする金属とがあることは事実ですが、全ての金属を口の中から取り除くことが有用な治療法とは言えないでしょう。
なぜなら、金属以外の材料で噛み合わせの面に使用するのに適している歯科材料がまだないのが現状だからです。
金属でアレルギーが出る人は確かにいますが、私が今まで見てきた経験では、その人自身の体調自体が悪いことが原因であることが殆どした。特に肝臓の機能が落ちている人では様々なものに対してアレルギー反応がおこる傾向があることに気が付きました。
私の医院には、薬剤や、化粧品、添加物に非常に敏感な患者さんが多く訪れます。その人とたちは(私も含めてですが)ほとんど薬を飲むことはありません。薬はどんな副作用があるかわからないからです。
歯の治療後に体調を悪くした患者さんが多く、肝臓の機能が悪くなっていて、薬は体調をさらに悪化させる原因と理解している方が多かったからです。(薬の成分の大部分は肝臓で代謝されるのですが、これは非常に肝臓を疲弊させます)
また、加工食品の多くのものに必ずしも体に良くない添加物が入っているため、できるだけ生の食材を調理するように気を付けていたり、加工されたものを買うときも添加物をチェックして、かなり気を付けて購入しているようです。
それだけ薬剤や添加物に敏感で繊細な患者さんでも、歯に金属材料を使って問題が起きた例は1例もありません。むしろ体調が良くなっている人がほとんどです。
当医院で使用するアマルガムは、アメリカで買える最良の質のものを使っていますし、ゴールド材料も、最良の質のを使い、さらに、アレルギーの原因となる異種金属が混入しないように、鋳造するときに使うルツボはそれ以外の金属の鋳造には使わないよう技工士にも指導しています。
ですから、きちんと管理された金属材料を持ちいれば、金属アレルギーは殆ど起こらないと考えます。それよりも肝臓の機能を回復することの方が先に行うべきことではないかと思います。
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