- 2015.06.20
根の治療で感染に配慮するということ?
歯の治療の感染予防について、ISO9001のサーベランスの審査の時によく言われたのが、
「滅菌状態をきちんと維持しているか?」
ということでした。
私どもの医院では何年かかけ、滅菌の状態を維持するまで行き着いていますが、脳外科の治療のような感染対策は私たちの歯の治療では必要ありません。
これはどういうことかというと、空気中の落下細菌や、通常の外からの換気から入ってくるような外気にある、ごく一般的な空気中のバクテリアやウイルスにたいして、脳外科の手術のような無菌室のような設備を備えることは歯科では必要ありません。
これはどんなにきれいに歯を磨いている人の口の中でも、ある程度細菌が存在しており、その量は、通常の空気中に存在する細菌などと比較してもと比べ物にならないくらい多量だからです。
つまり通常の滅菌で、前の患者さんのお口の中に触れた器具が一度完全に滅菌された状態であれば、それを使えば大丈夫といえます。
お口の中の細菌をゼロにすることができないので、歯の手術では、顎を切ったり、癌を取り除いたり、のようなよほどの手術でない限り、無菌室を使うようなことはないのです。
しかし、一方で、根管治療のように根の中にアクセスするような治療の場合は、落下細菌は無視するとしても、細菌を根管内に押し込んでしまうのは問題です。
その為にラバーダムという方法があり、これによってお口と歯とを完全に分け、根管内に細菌が入らない状態で治療を行うわけです。
しかし、根の治療をする際は、根管の入り口部分の歯質や、かぶせものを削り取るために、タービンと言う高速で水を出しながら回転して歯を削る道具を使います。
この水が細菌だらけだったとしたらどうでしょうか?
実際今の日本のユニットは殆どユニット内の水を消毒するシステムが付いていないため、歯を削る際のタービンから出る水に大量の細菌が含まれています。水を採取する間の途中にフィルターを付けるタイプのものもありますが、ほとんどはタービンに入る直前のチューブの中に水カビが生えてしまうので全く意味がありません。
根管治療を行う際、特に抜髄と言って神経を抜くような治療では、このような水を使っての治療は好ましくありません。むろん感染根管治療においてもこのような水を使って治療をするのはより感染を増やすようなもので好ましくありません。
残念なことに日本では、このシステムに対応したユニットがあまりないため、根の治療の専門医でも、このような大切なシステムを導入していない先生が殆どのようです。
もちろんどうやっているかわかりませんが、ユニットの水をかけないよう歯を削っていつと思いますが、アメリカでは既に20年以上も前からスタンダードとなっているこのようなシステムは、専門家として、できるだけ早く取り入れるべきだと思います。
ちなみに当医院では2000年に導入いたしました。
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