歯科について思うこと

  歯科について思うこと

お役立ちコラムCOLUMN

2009.12.18

歯科について思うこと

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2009年10月10日
患者さまのための治療をしている歯科医は目立たない
インターネットは、歯科界も変えるかに思えたが、残念ながら、本当に患者さまのための治療をしている先生は目立たないのです。多くが金儲けに走り、インプラントや審美治療を勧めているのは悲しい現状です。
いずれも患者さまの長い将来を考えると考え込んでしまう治療ばかりです。
インプラントは手入れが大変で、人生の終末期に一体誰が手入れすると思っているのでしょうか?
そんなことは全く考えないから、気にしないで何本も打つことができるのでしょう。
私は介護施設に診療に行ったことがありましたが、インプラントをされている歯をどう清掃したらよいのか看護婦さんは頭を抱えていました。体の手入れだけでも大変なのに口腔衛生となると歯石を取ってもらえるのは1年に1回あれば良いほうです。実際介護の場に来て、きちんとやってくれる歯科医師は少ない。
わたしは歯石を取る作業がほとんどでしたが、私が誰なのかわからなくても、歯科治療は嫌なのか、抵抗されて非常に大変でした。しかも保険では一回にとって良い本数も限られており、請求できる金額も限られ、本当に矛盾を感じました。インプラントをどんどん打つ先生はそんなこと将来のことをきちんと考えたことあるのでしょうか?
審美治療では、体の調子までおかしくした人を何人も見ました。まるで芸術家のように歯のきれいな写真を出している先生は、ただの自己満足です。歯、ひいては体には全く意味がないものを見せて喜んでいるとしか思えません。かみ合わせを考えて行うなら別ですが、そうでないと大変なことになってしまいます。
漂白を大々的に勧めたり、目立たない入れ歯、目立たない矯正を勧めるのも首をかしげるばかりです。
漂白は余りやると歯を傷めますし、目立たない入れ歯は顎の骨が急速に溶けてゆきます。
私たちはプロなので、治療をした後の長い経過をよく知っています。患者さまには10年先や20年先はどうなるかなどわかりません。
白い歯は奥歯でも患者さまなら一度は望むでしょう、しかし、わからない人が望んでいる治療をリスクも説明しないで提供する?これって医療?って思います。
いずれにしても、良く考えている先生はそれらの選択の中で悩みながら治療していると思いますが・・。
2009年10月9日
顎関節症、人によってなぜ反応が違うか?
顎関節症の患者さまを治療していて思うのは、人によって反応性がかなり違うということです。ある人にとっては、かみ合わせのほんの少しの違いが、大問題になるのに、ある人は、どんなかみ合わせのストレスを与えられてもなんともない。という人もいるのです。
人はおおむね厄年のころになると、何らかの体調の不調を訴えだします。顎関節症になる人はこのころ多く発症します。
しかしなんともない人は、難なく厄年を超えてしまうこともあり、この差は一体何なのか不思議に思うことが多いです。
それだけ個人差が多いのでしょうか?
しかし、もともとなんともなかった人でも、敏感になってしまって、おかしくなる人も多く見てきました。
私の医院に勤めていた人は、おおむね治療を見ているうちに、自分も調子が悪いと言い出していました。
これを考えると、おそらくもともと体は敏感にできているのに気付いていない人が多いのではないかと思うようになりました。
だったら初めからきちんとやるべきではないのかと考え、どんな患者さまがいらしても、おかしくならないように治療しようと思うようになりました。
それが今の治療体系に至った経緯です。
2009年10月6日
顎関節症が増えてきた理由
以前にはあまりなかった顎関節症が現在なぜ増えてきたのでしょうか?一つ考えられるのは人間の生活環境が変化してきたことです。今失業問題や、ニートの問題など今の社会が扱っている内容は昔の生死をかけた内容と比べるとかなり切迫感の低い事象となってきています。つまり、昔は死と隣り合わせの生活や、今ではそのようなストレスは事故以外にほとんどなくなったといえます。その中でより弱いストレスに対しても敏感になっている気がします
また生活環境も大幅に変わってきています。
アトピーやぜんそくなどの疾患も昔からなかったわけではないでしょうが、これらは食生活や生活環境の変化でより容易に起こるものになってきたと考えられます。
診断のところで書いているように、現代人はストレートネックと言って、首の骨がまっすぐもしくは反対側に反ってしまっている患者さまが多く見受けられます。
これらの原因には、パソコンなどの体を使わない仕事が増加することによって、脳に対するストレスが異常に増えたことが考えられます。
このようなストレートネックが発端で体たさまざまな問題を体に引き起こしてしまうことがわかっています。しかし正確な因果関係はまだ完全には解明できていません
どんな症状がどうすれば治るかはある程度分かってきています。
2009年10月1日
顎関節症治療について
多くの先生方が顎関節症治療に力を傾けていますが、実際に顎関節症治療をしてみて思うのは、この治療は非常に難しいということです。
顎関節症自体は様々な症状があり、一見歯と関係がなさそうに見えることも治療の効果をみるうえで困難さを生みだしている原因の一つだと思います。
顎関節症を治療してゆくうちに、ある一定の傾向があることに気がつきました。
ほとんどの人は顎の位置が必ずずれている。ということです。これはどんな人でもかみ合わせの位置は理想的な位置と比較して、右か左、あるいは奥にくるっています、この狂っている方向によって、全身に出てくる症状は一定の関連性があるようです。
ずれ自体も治療の初期ではなかなか分かりにくいことがあり、首やあごなどをほぐしてゆくうちにわかるようになってきます。またこのほぐれ方も人それぞれです。
おおむね、左にずれている場合は胃腸の障害や、お腹の膨満感、また精神障害(無気力など)が起こりやすく、右にずれている場合は、皮膚のできもの、疲労感、などがあります。奥にずれている場合は、めまい、耳鳴り、などがあります。かみ合わせを正しく誘導するとこれらの症状は治ってゆきます。
しかし、顎の位置自体が、微妙なバランスのものに調和しており、顎の位置を変化させると、体が変わり、正しい顎の位置自体が変わってくるのです。
このことからも顎関節症に治療の難しさがうかがえます。
2009年9月30日
顕微鏡歯科について
昨日顕微鏡歯科について特集されていたようです。顕微鏡歯科は実はアメリカではすでに1980年代今から20年以上も前、顕微鏡が歯科治療に使われるようになったことからはじまりました。
顕微鏡を使う利点は、見る部分を照らす光源が、見る部分と同じ所にあるため、奥深いところまで光が届くので、とくに根管治療で威力を発揮します。
私の医院では顕微鏡は根管治療以外ではあまり使いません。というのは顕微鏡は虫歯の治療では機動性が悪くやはりルーペのほうが良いようです。
最近は虫歯の治療のときに使うだけでなく、かみ合わせの調整にルーペを使うと非常に良いようです。敏感な患者さまは、わずか数ミクロンの狂いでおかしくなってしまうので、誤った場所を削らないためにもルーペは必需品となってきています。
顕微鏡はどうしても目に対する負担が大きく、一日中使っていると、えも言われぬ体力の消耗を感じます、私はできるだけ使い分けるようにしています。実際顕微鏡を長時間使っていて体調を崩している先生も少なくありません。
2009年9月19日
医療がサービスに徹するなんてちょっと変?(昨日のたけしのテレビを見て
昨日テレビで「医療は完全にサービス業ですから、レストランの様に、自分でメニューを選択するし、雰囲気も重視」なんてことをテレビで放映されていましたが、私はちょっと疑問の思う点もありました。
もちろん、患者さまが便利なように医院として様々な配慮をするのは当然ですが、治療を患者が選ぶなんてことはおかしな話ですし、そんなことありえないと思います。患者さまのための一番良い治療法は先生しか判断できないはずだからです。
こんな方法もある、あんな方法もあるといった選択肢があるとは到底思えません。食べ物や服なら好みもあるでしょうが、治療はベストな方法はそういくつもあるものではありません。その中でいくつかの選択肢はあるとしても、レストランのメニューのようにはいかないでしょう。
たとえば歯科では、審美優先の治療か、機能を回復する治療が優先かといった選択肢はあるかもしれません。
しかし、「将来のどのような問題が起きるのか?」といったことをきちんと聞かされて全くの審美優先の治療を選ぶ人はほとんどいないでしょう。
将来問題がおこる可能性がある治療を、同列の治療法の選択肢として提供する医師がいるとしたらそれは倫理上かなり問題でしょう。
医師は自分の経験から最も治療経過が良いと考える治療法を診断して情報を提供し、それを患者が納得してうけるしかない、というのが医療の本来の姿ではないかと思います。
しかし、医師も人間ですから、一人の診断だけで治療を受けてしまうということは、まるで「近所の八百屋だけで野菜を買っている」ようなもので、野菜なら鮮度が低かったとか、まずかったで済むでしょうが、治療となるとその損害は大きいですから、その診断が本当に現在ベストな診断、ベストな治療法なのかを、セカンドオピニオン、サードオピニオンに頼って確認する必要があるでしょう。そうすれば技術が最も良いと考えられ、費用も最もリ-ズナブルなところが選択されるとになるでしょう
そういう意味でのテレビでのセカンドオピニオンに対する説明は納得できましたが・・・。
たけしが言っていたように、今後、医療も保険診療が少なくなり、自費診療とそれに見合う技術を持った医師が診療を行うようになってくると思います。
そうなるとお金のない人は良い診療は受けれなくなるでしょう。しかし日本は資本主義国家です。すでにお金のない人は、住居や、教育、食生活でお金を持っている人と比べて不利になっていることは当たり前のことです。
それが医療ではなかったのが不思議なぐらいです。
しかしアメリカの様に、治療を受けると破産してしまうほどの高額な医療費になってしまうのも問題でしょう。
アメリカと日本の保険制度の中間を行くような制度になることが理想でしょう。 2009年9月18日
歯科医の視界
歯科医師は非常に細かい仕事をする人なので、治療や物事の細かい部分にこだわる人が多いのですが、それが却ってデメリットになる場合があります。
たとえば、専門性からいっても、歯に詰め物をする先生は、詰め物はうまいのですが、わずか2~3ミリの世界で満足しています。しかし、そのわずか2ミリ~3ミリの作業が、患者さまのかみ合わせや、下手をすると、全身のバランスまで狂わせてしまうことなど考えもしていません。
これでは、良い診療とは言えません。
つまりいつも弁当の具の豆だけいつも煮ているような人になってしまいます。弁当はおかずとご飯の全体のハーモニーが整って初めて価値が出るのですから、そのハーモニーを考えたことが無いということは非常にもったいないのとおもいます。
「これがからだの事となると、全体の調和が悪くなってしまえば、治療に何の意味もなくなります。全体的なバランスのとれた治療が必要な理由がここにあるのです
2009年5月9日
歯医者の評判
良い歯医者さんがないか調べるとき、歯医者さんの評判を調べる人がよくいます。また、自分で見つけた歯科医院があると、何か評判がないか調べる人がいます。
しかし、ほとんどの場合無駄に終わります。なぜなら評判が悪い歯医者さんはそのような悪い評価を必死に消しにかかるし、よい評判も患者さまがわざわざ書かないからです。私もよく経験したことですが、何かものを買うとき、(本など)それを書いた人の評価を調べようとして、悪い評判やよい評判でもないかと検索してみると、ページに検索単語は載ってはいるが、求めている情報がない場合がほとんどです。
特に歯科医院などの場合、自分がかかった歯医者さんをよいと思っているのにわざわざ良い評価をネット上で公表する人などいませんし。自分が良い医院にかかっていた場合は医院が混んでしまうのが困るので、家族や親しい友人以外に教えたりしません。悪かったからと言って中傷する人も少ないでしょう。
ネット社会になり、今迄出会うことすらできなかった人にすら考え方さえ通じれば出会いが持てる時代が来ましたが、自分でその人物を確実に評価できる選択眼がないと、結局はそのよいツールも生かすことができないわけです。つまり世の中が変わっても最後に重要になってくるのは人間の感性と言えるかもしれません。
2009年5月6日
メディアの凋落・・・最近のメディアの集落は著しいものがあります。テレビといった膨大な広告費を集めているメディアだけでなく、新聞や、インターネットですら倫理観のないお金のためだけの仕事をしているメディアが多く存在しているのは悲しむべきことです。一昔前までは新聞などの宣伝は少なくとも信用がある程度おけるものしかなかったのが、今ではかなり怪しい宣伝まで載せています、日経新聞ですら、眼を疑いたくなるような怪しい商品の広告を一面で載せたりするようになってきています。
最近本離れが叫ばれるようになりましたが、出版社や新聞会社もこれからは自分たちのしてきたことをよく考える必要があります。近年話題になる本や人物の多くがお祭り騒ぎだけの中身のない本や人であることがしばしばで、信用が置けないと個人的には思っています。
一人の人が何冊もノウハウ本を出したり、価値観が変わったかのような本を出し、それに乗っかって出版社が稼ごうとする姿勢は見ていて非常に不愉快です。
本当の名書をもっと宣伝するとか、もう少し国民の知識レベル、意識レベルを上げるような努力をすべきなので、その場の金を稼ごうとすることで品位を落としているように見えます。
インターネットでも広告する側の仕事の品位の低下はさらにひどいものがあります。私は歯科についてしかよくわかりませんが、実際にやってもいないことをまるでやっているかのように書いた宣伝を載せたり、自分たちの作ったランキングをあたかも一般の人の評価であるかのようにねつ造したり、見ていて呆れるほかありません。
また、あまりきちんと考えずに、その医院に通ってしまった患者さまはまさしく悲劇です。私の医院にセカンドオピニオンでいらした患者さまも、必要もない顎の手術をされそうになっていました。本人が手術が嫌で断ったので問題は起きませんでしたが、もし手術を受けていれば大変な悲劇になっていました。
この世の中が良くならないのは、このような悪質な宣伝主だけでなく、それを引き受けてしまう悪魔の商人でもあるということを知るべきでしょう。
歯科医師の精密性
歯科医師は世の中に数ある職業の中でも、かなり精密な仕事をしている職業といえます。
私も病院の設計をやってもらいましたが、大工さんが考えるのは、どんなに緻密でもせいぜいミリの単位です。しかし我々は場合によっては(根の治療やかみ合わせの高さなど)数十ミクロンのから数ミクロン単位の仕事をしなければなりません。当然普段の生活もやや細かくなってしまいがちです。
私はもうこのような生活を十数年もしてきているのであまり感じていませんが、新しいスタッフがきていろいろ教えることがあると、改めて感じます。
歯を削る器具などは、削る道具の頭の部分の形状が何百種類もあります。一見裸眼で見たら、素人の人にはいったいどこが違うのか全く分からないようです。
しかし歯を削るとなるのそのほんのわずかの形状の違いで、歯がなくなってしまったり、削りすぎたりしてしまいます。ですからこのように削る道具も、きちんとわかりやすいように分類してもらわないと、使うときに困るのです。ですからスタッフは、もともとあった位置に戻すのが相当大変そうで、一ヶ月ぐらいは、どこか違う場所に入っていたり、足りなくなっていたりとこちらも結構大変です。
しかし、このようなスタッフの地道な努力がわれわれ歯科医の治療を助けてくれているのですから、感謝には絶えません。
歯医者は高い(値段)といわれることもしばしばですが、これほどまでの細かい作業を一人一人、オーダーメイドでやっているし、スタッフもそれを支えるために膨大な量の細かい作業をしてくれていることを考えると、決して高いとは思えません。また歯は一度失えばもう二度と生えてきません。このような大切な歯にお金を出し惜しむことの方が私にはちょっと理解に苦しむのです(まあ、人の価値観はいろいろですから仕方ないでしょうが・・)
おそらく、歯の治療ほど細かい作業を限られた時間に、生身の体に行っていく作業は他には絶対にないと思います。患者さまがこのようなことを少しでも理解してくれれば、歯科医師としても幸せです。
顎関節症の意外性
顎関節症はかみ合わせを治すと治るのですが、本来かみ合わせのずれがどの程度であるかを触れている先生は少ないと思います。
実は私自身かみ合わせのずれはあっても2ミリから多くても3ミリ程度と考えていました。
しかし、実際に患者さまを治療してゆくうちに、そのような中途半端な量ではないということに気がついたのです。
顎関節症の治療が難しいのはこれが一番の理由です。私の患者さまでも治療を行うのに本当に治るのであろうかと思うくらいかみ合わせがずれている人がほとんどです。
治療後に発症した顎関節症も、もともとかみ合わせがずれていたために、後もう少しかみ合わせをいじられたために発症してしまったケースも多くあります。ですから、はじめはかみ合わせの調整でも治療可能と思っていましたが、現在は矯正治療なしでは不可能と考えるようになりました。
全身と歯科治療
歯科治療と全身との関係は意外にも非常に深いということに最近特に感心させられています。
実は私自身がかみ合わせが非常に悪く、と言っても自分では単に歯並びがガチャガチャしているだけと思っていたのですが、このかみ合わせをぜひ治したいと思って、自分の歯を実験台にして、虫歯の治療から矯正治療まで、やっているところです。
すると非常に面白いことがわかりました。自分のかみ合わせが、自分で思っている位置よりも全然違う位置であったことです。
そしてかみ合わせが治ってくるうちに、今迄なかなかとれにくかった首の痛みや、肩の張りが比較的取れやすくなったのです。
また運動能力にも変化があらわれ、私はテニスをするのですが、今迄全くと言ってよいほど苦手であったバックハンドがかなり上達してきたのです。
これは押し込められていた顎の位置が治ったおかげで、体のバランスが良くなったからだと考えられます。
実際に多くの患者さまでかみ合わせの位置を治してゆくと、肩や背中の張りが無くなってきたりします。
また多くの患者さまで経験することは、自分の体(筋肉)のどの部分に負担がかかっているのか、シビアにわかるようになるようです。
大部分の人が、膝やくるぶしが痛くなってから体調の不調を訴えますが、ほとんどの場合、首や腰、背中などに先行して問題が生じているのです。これらの現象にかみ合わせは大きく関与しているのです。
しかしながらかみ合わせを治すだけでは完全に治療は行えません。おかしくなってしまったアンバランスの原因である筋肉の不適切な緊張を取り除きながら治療する必要があるのです。
そのことに気づいた私は今は大変面白く歯の治療をさせてもらっています。患者さまが全て私の教師だと思って感謝していますし、患者さまの一言が非常に重要な意味を持っていることが多いのです。
こう考えると歯医者さんは、患者さまから治療をしながら学び、しかもお金までいただいているという本当にもったいないぐらいの良い仕事ではないかと思います。
しかしなかなか治療が難しい患者さまがいらっしゃると、こちらも悩みますが・・(患者さまも真剣でなおかつ深刻なので・・・)。
歯科医師は器用でなければつとまらない(2008,11,19)
歯科医は、基本的には器用でなければ務まりません。漂白だけをするとか、歯ブラシ指導だけをする、あるいは予防処置(フッ素など)を行うだけの歯科医院であれば例外ですが、ほとんどが、治療をしなければならず、必ず細かい作業が入ってきます。
すなわち、手先が器用でない人は歯科医には向いていないといえます。先日患者さまに、意外なことを言われました「先生の手は器用そうだ。先生のような手の形は器用な人が多いとNHKで言っていた」と、
私も自分が器用がどうかはあまり考えたことがありませんし、本当に器用そうな手をしているか定かではありません。しかし、やはり患者さまにとっては器用な先生に治療してもらいたいようです。患者さまの中にはあからさまに「先生器用ですか?」なんて聞く人もいるから驚きである。
ちなみにその患者さまが私が器用であると判断した理由は、治療を受けたからではなく、指の形を観察したそうです器用な人の手には特徴があり、指先のつめの部分が平べったくなっているそうです。そういえば芸能人などの手が往々にして、丸くてスーとしているのに対して、私たちの職業の先輩たちの手を思い出してみると、器用な先輩はみな平ぺったいのっぺりした爪の形をしていたことを思い出しました。意外なところに、歯医者の見分け方を教えてもらいました。
少なくとも担当の先生が器用かどうかある程度わかるかもしれまいということは実は重要かもしれません。不器用な人が治療が上手とはいえないでしょうから・・。

歯科医師は外科医である(2008,10/22)
歯科医師は実は外科医です。あまりこのことに対する理解がされていないかもしれません。
最近医療の分野では外科的な治療が減りつつあります。あくまでも保存的治療が好まれるようになったためです。華々しく外科手術を行っていた時代が終わり、やがて内視鏡手術や薬物療法、放射線療法などが主流となってくるでしょう。外科的な治療はとにかく患者さまに負担がおおきいのです。
しかし、残念ながら、歯科における外科治療の分野は減っていません。相変わらず削って詰めて治す、とか、切って貼るなどの治療が多いのは、どうしても歯に再生能力が少ないからです。
しかし、将来的には、それでも外科的な処置は減ってくると思いますし、減らすべきだと思います。
外科処置は患者の負担が大きいうえ、危険性も高いです。私自身歯のOPEなどあまり受けたくはありません。
しかし、虫歯や根の治療などは今のところ、虫歯になってしまった以上、どうしてもなくすことができない外科治療です。また外科治療である以上、ドクターの技量は治療成績にダイレクトに影響してきます。
下手なところで詰めたものはすぐに外れてきたり、何年か経ってみると中がボロボロになっていたりしています。しかし、腕のある先生のところでやった治療は、何年たっても壊れたり外れたりしません。
ですから、歯科治療を上手に受けるには腕の良い先生にかかることが最も大切なことです。
そしてその次に自分自身のメンテナンスや医院でのフォローアップが重要です。
どんなにきちんと虫歯を治しても、かみ合わせが変化してきたり、かみしめで歯が割れてきたりして、歯の状態は絶えず変化してゆきます。これは専門家に診てもらわないと、自分では診断できません。
しかし、このようなかみ合わせに対する診断能力がある先生は、残念ながらすくないです。ほとんどの人が、かみ合わせの重要性を知る機会さえ少なかったと思いますが、実際は、かみ合わせが悪いために、虫歯になりやすかったり、歯が折れてしまったり、詰め物が外れやすかったりすることは非常に多いのです。

歯科医師とは?(2008,10/19)
患者さまは歯科医師と言うとどのようなイメージをされるでしょうか?「結構お金持ち」とか、「偉そう」とかいろいろあると思います。
私が歯科医師として診療にあたってきて感じるのは、非常に精神的にも肉体的にもきつい職業であるということです。ただしお医者さんの様に急に夜中に叩き起こされたり、自分の方がどうかなってしまいそうな激務はしなくても、自分のペースで診療ができるという強みもあります。
私自身集中力がそう長く続くほうではないので、夜遅くまで診療をしたり、休みを削って診療をしようとは思ったことはありません。
結局そのようなことをしてしまうと診療の内容が悪くなってしまったり、体調を崩したりしてしまうからです。
また、私自身が前の日夜10時まで診療して翌朝5時からゴルフに行ける程の強靭な体力はないので、夜は早めに休み、朝早くから活動する早寝早起きの日課をもう10年近くもやっています。
皆さんはご存じないかもしれませんが、歯医者さんが診療室で治療をしているのがすべてだと思っているかもしれませんが、実際は患者さまの治療の計画を立てたり、治療途中の写真や模型を観察して今後どのように治療を進めてゆくのか考えたり、場合によっては技工操作と言って、患者さまのお口の中に入れるものを作成したり、仮の歯を作成する準備などをしなければなりません。
私の場合、患者さまが自由診療だけなので、ここの治療計画作成や、技工操作、写真の整理など一部他の人にも任せてはいますが、莫大な量があり、毎朝始発電車で病院に行っていますが、なかなかすっきり仕事がこなせたという実感がわく日の方が少ないです。
また最初に書きましたように、非常に繊細で細かい仕事をしていますし、ちょっと失敗してももうやり直しがききませんから、肉体的にも精神的にも非常に疲れるのです。
また、かみ合わせなど未だに100%理論的に分かっていない疾患にも対応してゆかねばならないので、非常に精神的プレッシャーを感じていることは事実です。
ただ、医科のように人が死ぬということはめったに経験しなくて済むのでそれだけは幸せです。
しかし、それでも事故は起こりかねないので、ISOなどを利用して、少しでも問題があれば対応するようにしてきたおかげで、大きなトラブルには巻き込まれないでいます。
患者さまにおねがいしたいことは、先生はかなりの重労働と精神的に過酷な状態で診療にあたっていることだけは理解して診療を受けてほしいのです。だからと言って自分の苦痛を我慢して言わないでおく必要はないですが・・。また先生だからと言ってすべての疾患を治せるわけではありません。原因が分からないものは直しようがありません。今でも原因不明の疾患は数多くあります。将来は治せるかもしれませんが、今は無理という疾患もたくさんあるのです。

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