デーモンブラケット

  デーモンブラケット

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2009.12.18

デーモンブラケット

このページは2022年10月21日に修正されました。

当医院では基本的にデーモンブラケットのみ扱っております。このブラケットは、今までのブラケットと比較して次のような特徴があります。
1,矯正の際痛みが少ない。
2,歯が動くスピードが他のブラケットより速い(仕上がりが早いというわけではない)
3,今まで不可能と思われていた歯の動きを可能にした(特に側方の拡大)。
4,歯にあまり強い力がかからないため歯根吸収以などを引き起こしにくい

また使用するにあたり以下の注意が必要です。
1,今までの矯正装置とはと違って、基本的に余り強大な力をかけてしまうとブラケットが外れてしまう。
2,歯が痛くないので。矯正中に食事がとりやすく、力がかけやすいので歯ごたえのあるものなどを噛んで、ブラケットが外れることがある。ワイヤーの力が歯列全体のブラケットにかかるために、予想しないブラケットが外れることがある。
3,ブラケットポジショニングをどの位置につければよいのかわかりにくく、位置が悪いと顎が簡単に移動してしまい、噛みあわせが合わなくなる。
最近では多くのメーカーがセルフライゲーションブラケットと言って、デーモンの同じようなワイヤーで縛らないタイプのブラケットを販売するようになってきました。
セルフライゲーションのブラケットは強い力がかけられないので、歯が移動してくるまで矯正治療を時間をかけて行わなければなりません。決して歯が移動しないというわけではないのですが、歯の位置が異常になってしまうの体にもさまざまなの原因があるのです。
そして、特に顎骨には歯が異常な位置に生えてしまう様な応力が残っています。他社でもいろいろ出していますが、デーモンブラケットは全く違います。同じセルフライゲーションブラケットでも、デーモンブラケットはワイアーとブラケットに摩擦がないために、矯正の考え方自自体が全く変わってしまうのです。私はこのブラケットのおかげで、ほとんどの症例を非抜歯で行うことがでいるようになったうえ、鼻づまりの改善や、睡眠時無呼吸症候群の治療など、歯科では今まで治療の対象でなかったことが治療が可能になりました。)もちろん今までのブラケットで無理だったというわけではありません)。

歯槽骨自体を広げることができるため、骨格がどう考えても歯が並ばないと考えられた症例も、抜歯なしで治療をすることが可能になりました。しかし、非抜歯で治療を行うということは、患者さまが求める審美性である口元の飛び出しをなくすという点においてはやや不利です。歯を抜かない分突出感を劇的に変化させることは難しくなります。しかし口の中の広さを確保するのは非常に適しています。ですから絶対に非抜歯でできるというわけではありません。また従来の診断方法では抜歯が不可欠な症例があることも事実です。 

デーモンブラケットは、なぜ矯正治療に適しているか?

  1. ブラケットを締め付けないので、歯が自由に移動できるため、骨を一緒に移動させることができる。

  2. 弱い力でも十分動くので、痛みが少なくなった

  3. 強く締め付けないために、かみ合わせに無理があれば、強く当たっている歯は勝手に動いてくる。(正しいかみ合わせの位置がどこであるのか、治療中にわかってくる)

などの理由が挙げられます。
またデーモンブラケットは、どんなに歯が込み合っている状況でも、ほとんど前歯を突出させることなく歯列事態を拡大して治療を行うことができるのです。これは歯列全体を後ろに送ったり、歯列自体を横に拡大したりする力が優れているためです。しかし、デーモンブラケットを使ったからと言って一律に簡単に治療がうまくいくわけではありません。
それを理解していれば、安易に抜歯を行う必要はなくなるでしょう。
ところで、今はやりのマウスピース矯正や内側の矯正は理想的なかみ合わせを作ることができるテクニックではありません。また治療中に見た目が良いことを希望するのは、相反することであることを御理解下さい。そのような理由から当院では内側の矯正、マウスピース矯正は一切行っておりません。
このような治療を求めるのは、機能を犠牲にして見た目の良い包帯や、ギブス、などを求めているのと同じで、あまり良いことではないと気づくべきでしょう。近年、歯が原因で、睡眠時無呼吸症候群が誘発されたり、ひどい場合はうつ症状自律神経失調症などになることがわかってきました。これらの多くの原因が歯にあることがわかってきました。デーモンブラケットは写真のように、歯のアーチを拡大し、これらの症状を実際にとってゆくことが報告されています。(実際当医院でも経過は良好です)、今までの矯正とは違ったアプローチを可能にした素晴らしいブラケットなのです。

デーモンブラケットについて注意点を挙げると
1、デーモンブラケットは素晴らしい機構を持っています。しかしだからと言って、治療が必ず早く終わるかというとそういうわけではないと思います。一言でいえばより体の良い影響の出るかみ合わせをつくる矯正治療が可能になったということです。この点に関して、デーモンブラケットを積極的に宣伝するオームコ社とデーモン先生の講習はあたかもそれが可能のように伝えていること自体、かなり問題といえます。
デーモン先生はいかにも治療が早期に終わり、調整の回数が少なくなるような誤解を与えかねない講習会を行っており、これが様々な問題を引き起こしています(実際治療がうまくいかず、悩んでいらっしゃる先生も多いと思います。当医院を訪れた患者さまの中にもデーモンでの失敗症例がかなりあることは事実です。必要なのはきちんとして知識でしょう)。先生も患者さまも困っている方は多いと思います。
デーモンブラケットで注意すべき点をいくつかあげましょう。
1.仕上がったように見えても実際は、治療半ばである
(大部分のデーモンを売りにしている先生が、スピードの速さをうたっているが、一見仕上がった様に見える状況で終了にしている・・実際は治療は完了していない・・。これはデーモン先生の講習会で早さを売りにしていることも問題であるが、実際はデーモンブラケットの良さは、この後の仕上げに持ってゆく治療過程ににあるのです。1年で終わることはまずあり得ないと思った方がよいでしょう)
2.適切な場所にスペースが現れる。
(治療途中に適切なスペースができることがデーモンブラケットの最大の特徴であり、これをきちんと利用すべきである。またスペースができてきたら、問題はないか考える必要がある)
3.ポジショニングが非常に難しい
(ブラケットの形態および構造上、歯のどの位置にブラケットつけるかが非常に難しい。下顎の小臼歯、大臼歯を浅めにつけてしまう傾向があり、小臼歯部が噛まない不安定なかみ合わせになってしまうことがある。また人によってはブラケットが取れやすいので、大臼歯部を深くつけすぎてしまい、舌側に歯が傾いてきたりする)

このようなデーモンブラケットの特徴を知らずして、ブラケットの良さに飛びついた先生が、失敗症例の山を積み上げ、悩んでいるのではないかと私は考えます。実際私自身もデーモンブラケットの真髄を理解するのに非常に長い年月を試行錯誤を繰り返した事実があります。デーモンブラケットは治療に対してより良い効果をあげること出来る素晴らしいブラケットですが、使い方を理解しなければその真価を発揮することはできないでしょう。

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