本音の日本の歯科事情

  本音の日本の歯科事情

お役立ちコラムCOLUMN

2009.12.17

本音の日本の歯科事情

このページは2022年10月21日に更新されました。

医院の何にこだわるか?

歯科医院を開業してから9年経ちましたが、開業した後内装工事を2回もしました。その時理想的な歯科医院は一体どんなものだろうとずいぶん悩んだものです。
私の医院は保険診療はほとんどやらなかったので、自由診療を多く手掛ける医院を見てみましたが、アールデコ調の家具をしつらえたり、ユニット周りにガラスを使って贅沢さを出したりさまざまでした。
しかし、そのようなほとんどの医院は見かけ倒しで、治療内容が乏しいことに気づき、自分はそうしない道を選びました。
そもそも、診療室に使う家具には機能性は必要でも、見た目のデザインは百害あって一利なしです。そういうことにこだわる先生に限って治療にはこだわりません。
スタッフがどのように動くのかとか、患者さまの導線、先生の導線、感染予防のための導線を考えると、どうしてもデザインなど関係なくなってきます。
特に最近はやりのスピットン(口をゆすぐところ)がガラスになっているユニットなど、感染の温床で治療機器をあのようなデザインにするメーカーの思考回路を疑います。
私の医院を改装する際も、空気の流れまで計算に入れました。患者さまの歯を削るときに出る切削片細かいものが空気中に浮遊しますし、他の医院で入れられた、いかにも健康に悪そうな薬剤も空気中に飛んでゆきます。
そのような空気をすぐに換気し、しかも院長室やスタッフルーム、待合室には入り込まないような空調の工夫もしてあります。
患者さまも健康になり、スタッフも健康であることが医院には必要だと私は思うのです。
歯科医療本当の内情(2009/12/7)
インプラントは今でも日本では大流行です。もちろん日本で歯科医院が増えすぎて、どうにもならなくなったため、何でもかんでもとにかく儲けになるものは何でも手がける歯科医院が増えてきました。
しかし、実はインプラントはアメリカでは訴訟の嵐、ヨーロッパでも訴訟が多くてリスクを避ける人たちは避けるようになっており、今減少傾向にあるようです。
日本人は根が優しいのか、あまり訴訟にもなりにくいようですし、なっても勝ち目がないか、途中であきらめてしまうことが多いようで、インプラントをやる歯科医師が花盛りです。
また顎関節症の分野にも押し寄せ、ボウリングの玉のようなものを受付に置き、「顎がおかしいと姿勢が狂い、こんなボウリングの玉のように重い頭を支えているから、首がおかしくなってしまう」、と脅して顎の治療をしようとする先生のためのセミナーまであるようです。
しかし、私は数多くの顎関節症の患者さまを診てきましたが、そんな安易なことで治療を始めれるような簡単な治療ではありません。
実際の患者さまは本当に悩みに悩んで治療を決心している人がほとんどで、相当にプレッシャーもかかるため、安易に治療に誘導することなど普通の神経をもった人間ではできません。ある程度直るという確証が得られないと治療しようとする気も起きません。
とにかく今歯科は大変ですから、セラミックからレジンまで審美的な治療を勧めたり、インプラントを勧めたり、大忙しで、患者さまを本当にきちんとじっくり治そうという意思を余裕を持って保持できる先生は少ないのかもしれません。特に莫大な設備投資をしてしまうと(CTなどを入れたりすると)お金がないと回ってゆきません。しかし実際CTスキャンなどインプラントでもしなければ必要ないのですが・・。
ひどい先生になると、インターネットや雑誌でさんざん宣伝しておきながら、「今からの予約ですと2ヶ月待ちです」と平気でいいます。食べ物ならまだしも、治療2ヶ月待ちとなると、かなり厳しいものがあります。せめて応急処置ぐらいはやってほしいものです。
おそらく先生も2ヶ月も待ちが入っていると経営的にも安心できるのではないでしょうか?
私も早くそうなりたいものですが、患者さまのことを考えるとそれはいけないことのような気がします。なぜかちょうどいいぐらいの患者さまの数なので患者さまにもあまり迷惑をかけなくてすんでいるのでほっとしています。
まあ歯科医院の場合、混んでいるのがいいのかどうかというのは必ずしもそうとは言い切れない気もします。
患者さまの立場ではどの先生が自分に最もあっているかなど探しすぎても却って難しいかもしれません。
ただ、ブームに乗っていたり、テレビに出たり、異常にたくさん本を書いたりしている先生はちょっとやめたほうがよいかもしれません。まともな先生がいたためしがなかった気がします。とりあえず、患者さまのためにならない治療を避けながら、しかも自由診療だけで、生活できるだけ、私は恵まれていて、幸せなのかもしれません。
日本の歯科の摩訶不思議
歯科医療の現場は、一般人にとって非常に摩訶不思議な現場だそうです。
たとえば、医療のような場合によっては治療の支障が来るような重要な在庫物品の管理などは、一般企業にとっては死活問題です。車を作っている会社なら、ねじ一本在庫がふそくすれば、経営に大打撃を与えられかねないからです。
しかし、私は歯科医院できちんと在庫管理をしている医院を今まで見たことがありません。今一体どの材料がどのくらいあって、どの材料が不足しそうだから注文の必要があると、完全に把握している人がいないのです。
このような弊害を起こす可能性をISOの審査員から指摘され、私どもは独自の在庫ソフトを作り、これで管理がだいぶやりやすくなりました。ホームページでこのソフトを売ってみようと思い、試しに広告してみましたが、注文はおろか、問い合わせですら2件ぐらいしかありませんでした。本当に不思議な業界で、そのような管理をまじめに考えている人はあまりいないのがとても不思議でした。
やはり歯科は、いろいろな意味でまだ一般の業界に追い付いていないとしみじみ思いました。
入れ歯について2009/11/13
私は入れ歯を作る講座に5年近く在籍していました。しかしその講座で教えてもらった方法で入れ歯は作りません。
なぜならその方法ではかめる入れ歯は作れないからです。結局はアメリカで入れ歯の作り方を習った先生に教えてもらった方法で作っています。
私が大学で見てきた治療では、入れ歯の調整に何日もかかっていました。
入れ歯を入れた当日に短くて30分、長いと1時間かけて入れ歯の歯茎側の調整をしたあと、かみ合わせの調整をやります。
そしてそれから何日かのちに調整をやってゆきます。しかし結局はある程度で我慢しなければならない入れ歯になってしまいます。
ですから患者さまは入れ歯の調整に最低4~5回はかかるものと思っています。
しかし、私が習った入れ歯の作り方は全く違います。
先週も患者さまに入れ歯を入れましたが、一発で調整なく入り、そのあといらしたのは昨日の一週間後でした、一部入れ歯があたっている場所はありましたが、それ以外は全く問題なく、かむのに支障はなかったと言っていました。
本当にかめる入れ歯は、かみ合わせの面を絶対に調整しません。私もよっぽどのことがない限りかみ合わせの面は調整しません。そうでないと今まで入れ歯を作成した工程の意味がなくなるからです。
残念ながら、日本で名人と言われる先生の入れ歯を数々見てきましたが、ほとんどの場合調整に次ぐ調整で、私のように全く無調整で入れられる先生は皆無だと思います。
それには使っている歯とかみ合わせの取り方に秘密があるからです。
矯正専門医の能力とは?2009/11/11
矯正専門医は、矯正治療一筋で勉強をされているという事実を否定はできません。
しかし、残念ながら歯を並べることはうまいと思いますが、考え方に偏りがあるのです。たとえば審美性を重んじるばかりに、ほとんどの患者さまは歯を抜いてしまいます。
また、かみ合わせの位置に関して非常に無頓着です。
矯正治療は歯の並びと、かみ合わせの位置の両方を治さなければなりません。
一口にかみ合わせの位置といっても、そう簡単に決められるものではありません。なぜならかみ合わせの位置は全身の状態を反映しているからです。
背骨が正常でない曲がり方をしていたり、首が歪んでいる人は、当然それを反映したかみ合わせになってしまいます。ですから歪んだ状態でありながら、それで調和のとれたかみ合わせで治療を終わらせるのか、それともそれらのゆがみまで取り除いて、かみ合わせを合わせるかで、目標となるかみ合わせは変わってくるのです。
またかみ合わせが悪いことによって、背中が歪んでしまうこともありますし、首は特にかみ合わせの影響を強く受けるのです。
ですから、かみ合わせと体とは大きな関係を持っているのです。
そう考えると、かみ合わせの位置をきちんと考えないで矯正治療をするということは非常に危険なことだとわかると思います。
矯正専門医の中にもかみ合わせのことを考えている先生もいるかもしれませんが、ここまで考えている先生は少ない気がします。実際私が見てきた専門医で治療を受けた患者さまもかみ合わせがあっていない患者さまはたくさんいらっしゃいました。
かといって、一般歯科で矯正を行っている先生がきちんと考えてやっているかといえばそうとも言えないのが難しいところです。
私が、かみ合わせについて深く考えるようになったのはやはり、自分の出身が高齢者歯科(総義歯を主に作る教室)であったことが大きいと思います。
総入れ歯と、矯正治療は一見何の関係もないように思われますが、実際はとても大きな関係があります。
そもそも入れ歯は、かみ合わせが全くない患者さまに入れるものです。ですから、かみ合わせをきちんと合わせる技術がないと成立しません。入れ歯が合わない理由は実はかみ合わせが合っていないことがほとんどの原因だからです。
一方矯正治療も、かみ合わせが今までとは全く変わってしまう可能性があります。実際に矯正治療を受けた人ならわかると思いますが、かみ合わせは矯正治療初期で分からなくなってしまいます。
つまりどちらも正しいかみ合わせの位置を正確に採得できる技術が必要になるのです。
入れ歯の先生は患者さまから入れ歯が落ちてきてかめないと苦情を言われますから、かめる入れ歯を作るのにかみ合わせに関しては相当工夫しなければならない立場になります。
しかし矯正治療の先生は、よっぽどかみ合わせの位置がずれていない限り、体調不良などの問題を訴える人はいません。
なぜなら、その体調不良が歯が原因なのか本人にも判定が不可能だからです。この日記に私が書いたように、歯が原因で体調がおかしくなるのはしばしばですが、実際はそれを歯を認識することも難しいし、ましてや先生に訴えても、おかしい患者さま扱いされるだけだからで、先生自身の技術不足を認識する先生はほとんどいないと思います。
学会に所属していることは名医のしるし?
歯科医師選びで、出身大学の次に皆さんが判断材料にするのが、所属学会だったり、講習会の出席だったり、あるいは認定医の有無などではないでしょうか?
しかし、出身大学はある程度当てになる場合もありますが(やはり偏差値の高い大学出身の先生は頭の良い先生がいる確率も高いので、治療のときものを考えて行う先生の確率が高いという意味で、決して必ず腕が良い先生にであるというわけではないのです)、また多くの学会に所属していることや、講習会の多く出ていることも、技術があることとは、患者さまが思っているほど関係はありません。
学会はお金さえ出せばだれでも会員になれますし、実情は歯科関係の学会のほとんどがお祭り騒ぎで、くだらないものばかりです。
私も臨床系の学会にいくつか所属していましたが、あまりのばかばかしさのため、大学院にいるときだけ所属して(教授の手前辞めることができない)院卒業後はすぐに脱会しました。一応勉強する気はある先生なのかな?といった程度に思っておいた方がよいかもしれません。
また、講習会に頻繁に出ているから技術に熱心な先生と思うのも早計です。
本当にためになる講習会は年に何回もありませんし、講習会の中身のうち本当に臨床で使えるものがわずかしかないのは講習会に行ったことがある先生にとっては当たり前のことでしょう。なかには、講習している先生の患者さまが、実は全然治っていなかったりといった、矛盾を抱えていることも意外に多いのです。
この事実は、講習会で教わったとおりに治療してゆくと治らない患者さまがたくさんいるので、まじめに治療をしている先生ほど、その事実を理解し、落胆することになるようです。
講習している先生の中にはわざと技術の肝を教えない人もいるくらいです。
ですから講習会も多く出席していれば良いというものでもありません。
一番困るのが日本の認定医制度です。受からないほど難しい試験があるわけではないので、学会に何年か所属し、症例を何例か出していれば、その治療レベルがどんなものでも、一応誰でも認定医は取れてしまいます。実際認定医を指導する指導医さえ、今は技術がない人が多く、指導医の審査をしている先生も悩んでしまっていると聞いたことがあります。
実際認定医が治療した患者さまを私がやり直すなんてことも多くあるので実際はあてにはなりません。
こんな事実知ってしまうと、ますます歯医者選びに悩んでしまうのではないでしょうか(すみません)?
何しろ私たちですら、どの歯医者に見てもらえば良いか悩むほど歯科医選びは難しいのです。
お医者さんも宣伝の時代
今、インターネットによる広告の自由化が進み、ついにお医者さんも宣伝しなければなかなか経営を成り立たせるのが難しい時代になってきているようです。歯科もこれだけ競争が激しいと、自分の医院を少しでも売り込むことが必要になってきています。
このホームページも一種の売り込みになっていることは否めません。しかし、私自身の思いは、患者さまが少しでも正しい知識を持って医者選びを行ってくれることが最も良いことだと思っています。
もちろん自分の医院に患者さまが集まってくれるのは大変ありがたいことです。しかし歯科医療は残念ながら自分で治療できる患者さまの数に限界があります。すなわち多く来てくれればよいというものでもありません。
きちんと患者さまの予定の範囲内で少なくとも週一回ぐらいは予約が取れることを前提に考えると、そう多くの患者さまを集めても治療上意味がなくなることは明白です。
それを考えると、患者さまとドクターとは一種の縁で結ばれているものと考えても良いのではないでしょうか?
アメリカでは一生に歯科医が治療できる人の数は多くても3000人と言われており、自分の治療ができる範囲は限られるというのが当然という考え方があるようです。
インターネットの発達のおかげで、情報が得やすくなり、今までは原因不明のまま治療してもらえなかった患者さまも治療ができる先生に出会える機会が昔より増えたというのは朗報でしょう。
しかし、インターネットが、メディアと同じような使われ方をし始めていることは非常に悲しむべきことと危惧しています。
お金ばかりが先行するメディアと同じような雰囲気がインターネットにも押し寄せているのがよくわかります。そしてその手口もさらに巧妙になっているので、相手に会ってみるまでは本物の先生かどうかすら、わかることもできません。
本当の名医との出会いは、実際会ってみて、そして治療による効果が表れているかを確かめてから判断するのが最も良いことなのでしょう、もちろん本人の直感も大切ですが・・。
医者選びは本当に難しい
医者選びは本当に難しい、一体どこが自分にとって良いのか、調べても簡単にわかるものではありません。
食べ物屋では、一度食べてみて、まずかったらやめればいいだけのことですが、医者はかかったら最後までかからないといけないし、どこまでが治ったのか判断も難しい。
体が敏感な人は、駄目な医者はすぐにわかるのです。なぜなら全く改善しないからです。
しかし、少し体が鈍感な人や、そんなもんだろうと考えている人は、相手が技術がない医者でもわからないでかかり続けるのです。
ここから私の医者選びの体験です。
ほんとに具合が悪くて苦しんでいる人は一体どこで診てもらえばいいの?とおもいますが、いい病院にかかれるかどうかは、その人の運次第なんてことになってしまいます。
運が良ければ何軒も行かないで、良い医者に出会えるし、運が悪ければ、同じような誤った診断を受け続け、薬ずけにされ、どうにもならなくなります。
私は運がいいのか、それとも医者の選び方が良かったのか、今まで、たいてい良い病院にかかってきました、中には医者の技術を疑い、二度と行かなくなった医院もありましたが。私が、一番初めに苦労したのは、はしかにかかったときです。このときはさすがにお尻にでっかい注射を打ってもらって回復しました。感染症は薬がよく効きます。これは薬で治るよい例ではないかと思います。
次に苦しんだのは浪人の時に、気力や根気がなくなり、「このまま模試、さらには本試験も受けられなくなるのではないか」と悩んだ時期でした。
一種の鬱です。
体がだるく何もする気がおきません、病院に行くと熱などを測られた後、「精神的重圧から来る、ストレスが原因で自分で乗り切るしかない」と言われ、薬も全く出されませんでした。
私が19ぐらいのころだったので、当時は鬱なども余りし知られていない時期だったのですが、このとき薬を出されず、30分ぐらいの診察に診療費もほとんど請求されませんでした。
今考えると、この先生は本当に良い先生だったと思います。ふつうは薬ぐらい出して保険請求するのが当たり前ですが、おそらく私のためにならないと判断して出さなかったのでしょう。
そもそも薬で治るのは急性の疾患だけで、たとえば、感染症、急激な血圧低下、急性アレルギーショックなど、ほっておけばすぐ死んでしまうものです。それ以外の病気に薬を使っても根本を治すことはできないので意味がない気がします。
このあと、一番困ったのが、大学6年生の時、急におなかの調子が悪くなり、下痢と、腹痛、そして、背中にアトピー用の症状が出てきたときです。
このときは、その症状が出る前に少し飲みすぎていたので、飲酒のせいと、年齢のせいだとばっかり思っていました。
お酒を飲むと、翌日下痢をしたり、背中に、発疹が出たりするので、お酒を飲むことはそれ以来ほとんどなくなりました。(付き合い程度)
このときに、2件ほどの医院に通いましたが、いずれも胃薬と、背中に、ステロイド入りに軟膏を渡されました。
これらの薬を使ってもあまり改善しないので、そのうちに薬は使わなくなってしまいました。
また、35才を超えたことから、首がしょっちゅう痛くなりました。ある日、娘を肩車した瞬間に首が動かなくなり、知り合いの医院で注射を打って治してもらいましたが、その首の痛みも良くなることは決してありませんでした。
そのうち、季節的に鬱状態になるようになってきました。
春先と、夏の終わりが多いのです。1ヶ月近くは続くのですが、治ると全く問題なく活力も出てきます。
自分はどうしてこんな風になるのか不思議でしたし、このまま歯科医院を続けてゆくことができるのかかなり心配になりました。
そんな時、たまたま脚の肉離れを経験し、整体の医院に通うようになりました。整体で体全身のコリをとってゆくと、季節的な鬱症状はなくなってきたのですが、首の痛みだけがどうしても取れません。
結局3年近く通い、体の調子は良くなってきたのですが、どうしても首の痛みだけは消えず、このまま整体に通ってももしかして治らないかもと思うようになりました。
そんな時期に昔からやってみたかった矯正治療をそろそろ始めようと思うようになりました。少しうつ状態になるのも脱し、活力がわいてきたのと、白須賀先生に出会ってから、白須賀法を使えば、自分のような難しい成人矯正でもある程度うまくいきそうな気がしたからです。
ブラケットをつけて3ヶ月後、突然顎が前に出てきました、つまりかみ合わせの位置が全く変わってしまったのです。
自分で鏡を見て愕然としました。顎が右前に飛び出して、志村けんの「アイーン」をやっているようなかみ合わせになってしまったのです。
正直言ってこのときは相当焦りました。
それから気づくようになったのですが、かみ合わせのヅレは数ミクロンといったようなレベルでないことがほとんどなのです。
私が今までかなりたくさんの患者さまを見てきましたが、おおむね6ミリから7ミリ、ひどい場合は10ミリ以上もずれています。もちろんかみ合わせの調整をすればある程度良くなる場合もありますが、ほとんどは矯正でもしない限り治すことができません。
いや、矯正治療でも相当難しいでしょう。
私自身矯正治療を自分でやってもいて思ったのですが、首の痛みや、腹痛、背中のアトピー性の湿疹、これらすべてが、かみ合わせのずれが原因でした。
なぜならかみ合わせが治ることによって、どんどんそれらの症状が改善してきたからです。
このような経験からふと、自分が大学6年生の時に歯の治療を3つ上の先輩にやってもらったことを思い出しました。
当時の3つ上の先輩ですから、一生懸命やっても所詮技術は知れたもので、違和感が残ったままかぶせ物を入れられた記憶がよみがえりました。よく考えてみたら、急に下痢したり、背中に湿疹ができ始めたのも、この時期と完全に一致します。
先輩の治療が悪かったとは言いませんが、それがトリガーとなって、体調を崩したことは紛れもない事実でしょう。
自分の体で顎関節症の恐ろしさを知ってしまった私は、患者さまの歯を簡単に治療してかぶせたりすることは絶対しなくなりました。当たり前です、その苦しさをよく知っているからです。
私がこうしてホームページで啓蒙活動をしているのも、自分がひどい目にあったからですし、自分が治ったからにほかなりません。
日本でインプラントがはやるわけ(2009/10/9)
最近どの歯科医院の看板を見ても、インプラントが必ず掲げられています。なぜこんなにもインプラントがはやるのでしょう?
個人的には、入れ歯でも十分対応可能だと思いますが、インプラントにすれば、入れ歯のように、かみ合わせときちんとしていなくても、落ちたり、歯茎が痛くなったりしないので、非常にやりやすい点が挙げられます。つまり自分にかみ合わせの技術がなくても治療が可能だからです。
一時期、入れ歯に磁石を入れるというのがはやりましたが、あれもかみ合わせが合っていない入れ歯を残っている歯に磁力でくっつけることによって安定させているのです。所詮は付け焼刃です。かみ合わせが合っている入れ歯は、自然にくっついて離れなくなります。
それより、もっと楽にうまくいく方法はないかと思い付いたのがインプラントではないかと思います。
私も本当の意味でのかみ合わせの難しさを理解してきたのは最近ですが、かみ合わせが合うということは体とのバランスも同時に保つための重要なものです。
つまりインプラントを標榜しているほとんどの先生が、この最も重要な問題を探求することなく、安易にお金を稼ぐことに向かっているとしか思えません。
試しにインプラントをやっている先生に、一体どういったかみ合わせが体にとって良いのか聞いてみてください、ほとんど答えられないと思います。
それが答えられる先生ならインプラントを進んでやろうとは思わないはずです。
ですから、インプラントを打たれて廃人同様になる人がたくさんいるのです。インプラントを打っている先生は、自分こそ廃人になる患者さまが出ないことを願いながらインプラントを打っていますが、いざそのような患者さまが出てしまうと、運が悪かったといって通り過ぎようとします。しかし運が悪かったのはそのような先生を選んでしまった患者さまです。
最近では歯科でもコピーライターが書いたのではないかと思うほどよさを売り込むホームページが次々現れ、うかうかしていると、物事の本質を見抜けず簡単にだまされてしまうでしょう。
私の個人的意見では、インプラントは異物です。しかも生身の人間の骨に打ち込んでいるので、常に生体にストレスを与え続ける存在となります。つまり、寄生虫よりたちの悪い骨の中にもぐりこんだ異物といえます。
この異物に力をかけ続ければ、生体はストレスを感じ筋肉は異常に収縮し全体の骨格が歪んでゆく、それがインプラントで廃人になるメカニズムです。
銃で撃たれた弾丸が骨に刺さって皮膚の上に一部露出しています。その上から圧力をかけたら一体どうなるでしょう。たとえ消毒され、生体親和性の高い材料で、麻酔下で丁寧に打ち込んだとしてもです。
擁護する気はないのですが、確かに場合によってインプラントがかみ合わせを支えて良い結果を得る場合もあることは事実です、しかし、過大な力がかかりすぎてインプラント体上部の構造が破壊してくることがあるようです。顎の骨にそれだけの力がかかっていると思うと恐怖です。
本来は、生体に出来るだけ負担のない方法で治療するすべはないでしょうか?またうまくいかなくてもうまくいくまで努力すべきだと思います。
患者さまもそのような医院を生き残らせてしまっている、責任があると思います。
しかし、インターネットの時代になっても、いいことしか書かないので、本当の意味での正論の情報を得るのは難しいのですが・・。
週刊誌も、雑誌も、そしてポータルサイトも、私が知っている限り、編集したり、取材をしたりしている人はそのような真実をうすうす気付いています。「先生と5分も話せば、その先生がどんなことを考えて治療をしているかわかる」と言っていたこと聞いたことがあるからです。
しかし、「お金にならないので、正論を記事にはあまりできない」と言っていました。正論を言ってもだれもお金を出してくれないし、却ってメーカーから圧力をかけられることが多いからでしょう。
彼らも自分たちの生活があるから仕方ないのでしょう。
仕事としては面白いとは言えないでしょうが・・。
何が真実なのか、言葉やきれいな映像に騙されず自分の心で物事の本質を考えてみればおのずとわかると思うのですが・・。
本音の日本の歯科事情(2)(2009/10/8)
私が1980年代にアメリカで実際行われている治療を見たとき、落雷を受けたようなショックを感じたことはすでに私の生い立ちのところで書きました。
日本とアメリカの歯科医の圧倒的な違いは、先生の倫理感です。日本の先生は審美的であればよいとか、患者さまが望めばサービスに徹するといった、アメリカの先生がまったく考えもしない行動をとります。患者にとって何が本当に大切なのかを考える思いはアメリカ人の先生のほうがヅッと上だと思います。
アメリカでアマルガムが頻繁に治療に使われている理由にもそんな点が理由です。アマルガムは有害だと日本の先生で言い放つ先生がいます。しかし、実際はインプラントでかみ合わせをおかしくされた人や、矯正治療を失敗して体調がおかしくなった人や、奥歯にレジンを詰められてかみ合わせから来る顎関節症になった人と比べると、アマルガムで問題になる人は比較にならないほど少ないです
実際は、インプラントを入れられて廃人同様になった人を何人も知っています。
審美歯科治療で耳まで聞こえなくなった人も何人もいます。
しかしアマルガムでそこまでひどくなった人は聞いたことがないし、あっても金属アレルギーぐらいです。
アマルガムは水銀も入っているし、白くないし、イメージは必ずしも良いとは言えませんが、アメリカの先生はまずこの材料を使います。その理由は、患者さまにとって最も良い材料だと知っているからです。歯の削る量を最小にし、かみ合わせを安定させるからです。
ですから、アメリカでは今でも歯科医師免許の更新試験にアマルガム充填を課しています。
アマルガム充填は歯科治療の中でも最も技術を必要とします。その中に、虫歯を取り除く技術と、削った歯の形態を整える技術(アマルガムは接着力が低いので、きちんとした形を与えないとすぐに外れてしまう)
そしてかみ合わせの面の形態付与(つまり歯の解剖学的形を与えること)ができなければ治療がうまくいきません。しかもアメリカのアマルガムは(日本製のものとは全く強度や操作性が異なる)おおむね3分程度で固まってしまうので、相当手早くやらなければなしません。
この点が技術を学校できちんと教えない日本で敬遠される理由の一つかもしれません。
本音の日本の歯科事情
今まで私が今まで700人ぐらい患者さまを治療をしてみて虫歯がとり残されている確率は低くなかったと思います(虫歯をきちんと取り除いてくれる先生にかかっていれば転院する必要もないでしょう)。ほとんどの治療で、虫歯の取り残しが確認されました。
しかし先生の中には時間をかけてきちんと虫歯を取り除いている先生もいらっしゃいます。
1. 虫歯を取る際、必ずウ食検知液を使用している。
2. 拡大鏡(ルーペ)や顕微鏡を使って治療をしている。
3. 治療部位が見えやすくする努力をしている(ラバーダムの使用など)
4. 無菌的な処置の徹底(器具を滅菌する、材料の滅菌管理等)
このようなことが、虫歯を真剣にとる先生の特徴と言えます。
当医院の取組み
当医院では虫歯の治療の角度を上げるために、以下のような取り組みをしています。
1. 虫歯治療の際も必ずラバーダム防湿を行う(唾液の侵入を防ぐ)
2. 虫歯を除去した後、洗浄に強酸性水を使用して消毒を十分に行う(細菌感染を起こす確率を減らす)
3. 虫歯は取り残しがないか検知液とルーペを用いて確認を行う(虫歯が確実に取り除けているか確認する)
4. 神経に近い虫歯にはMTAを用いる(神経に対して施害性の低い材料で神経周囲を覆う)
5. 患者さまの体質に応じて、生体親和性の高い材料を用いる。(金属アレルギーや、樹脂に対する過敏症のある方には注意を要する)
いずれも歯科医院で行うのが当たり前のことのように感じますが、実際はほとんどの歯科医院で行われていないのが事実です。日本では実際にすべての症例にラバーダムを必ずかける医院は数件もありませんし、虫歯を取った後に歯をきちんと消毒する医院もあまり聞いたことがありません。また神経に近い部分を材料で覆う場合も、必ず滅菌した器具をその場で出して使用しないと、細菌を神経の近くに置くようなもので、経過が決して良くありません。
これらのことをきちんと行うことは意外に手間のかかる難しいことで、スタッフの協力が欠かせません。

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