保険制度の歪が起こす、歯科業界の退廃

  保険制度の歪が起こす、歯科業界の退廃

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2020.04.04

保険制度の歪が起こす、歯科業界の退廃

このページは2024年3月13日に更新されました。(歯科医療を科学し結果にこだわる番町D.C運営ポリシーはこちら)

我々は「患者さんが納得し、治りを実感できる診療」こそが理想の治療と考えます。日本は皆保険制度に縛られているうえ、自由診療でも受けたい治療を教育していない歯科大学にも問題があります。

保険診療と自由診療の違い・・保険制度の仕組みとは?

● 保険診療にはルールがあります。
保険診療制度は国民にあまねく医療が受けられるように国が決めた仕組みです。近年では不正を働く医師、歯科医がの存在から、それを防ぐためにルールが質とは必ずしも関係のない事務処理を増大化させています。
また、保険医療機関(保険診療を行う医院)が自由診療を行う際は一定の制限があります(混合診療での禁止事項*1)。
保険制度は、受益者負担の意識が低いうえ、医師側も適切な評価をしてもらえないため、質の低い治療が蔓延*2すると同時に国庫の逼迫*3という二つの問題を引き起こしています。

*1 混合診療での禁止事項・・保険医療機関では、顕微鏡を使い時間をかけて根管治療をしても、材料が保険で認められている場合は自由診療として扱えません。また保険診療と自由診療を同じ診療時間内で同時に行うこともできません。

*2 質の低い治療の蔓延(例 薬漬け医療)・・西洋医学の考え方では、対症療法が主で原因療法となっていない治療がたくさんあります。最近の医療不信はひどく、薬に頼らない治療技術を習得すべき時代になったのではないかと言えます。
歯科では薬だけの治療は存在しません。また、実質的に欠損した部分も補う治療を行い、健康の維持に直接関係します。このように医療より歯科医療の方が優れている部分がたくさんあるることを知っておくべきでしょう。歯科はより重要視されなければなりません。

*3 国庫の逼迫・・高齢者の医療費の大部分を現役世代が負担しており、少子高齢化で、その負担がさらに増大し、社会保険料の負担増や、企業保険の解散が相次いで起こり深刻な問題を引き起こしています。高齢者の窓口負担を上げることは今後絶対に必要となるでしょう。

 

審美歯科とは?

● 審美歯科という科目は存在しません。審美治療は健康の改善が目的ではありません。

① 審美歯科治療によって却って健康が損なわれるケースがあります。
② 審美治療は見た目の回復が主たる目的であり咀嚼機能やそれに伴う健康状態の改善を目的として行われる治療ではありません。

完全自由診療だからできる患者さんのための本当の歯科医療

① 歯と体の健康を守る歯科治療には3つの基本ルールがあります。
● 治療中の感染予防を万全に行うこと
● 健全なかみ合わせを作り、良好な咬合(かみ合わせ)を維持できる材料で治療を行うこと。
● 歯とかみ合わせの不具合の再発防止のための定期的チェックアップと健康改善と維持の指導をする仕組みがあること

 

② 違いが判る技術力の差。当医院では、治すことにこだわった技術力で、必ず治りを実感して頂けます。
● 体のバランスとの関係を理解したうえでの理論によるかみ合わせの治療。
● 徹底した感染予防対策。
● 長期の良好な経過が保証された薬剤、材料を使った治療。
● 各治療範囲で最高レベルの技術力による治療。

③ 世界標準の歯科医療のためのソフト、ハード?
世界標準の治療を行うためには、日本では完全自費診療が必要です。保険診療は経営的に難しく、ルールに縛られ、最適で必要な治療が行えないケースがほとんどです。
世界標準治療に必要なハード面
● 器械、機械(歯科用ユニット、顕微鏡、歯科用ルーペ、CT等のレントゲン設備)
● 設備(滅菌システム、空調システム、滅菌水システム、院内の動線設計)
● 材料(治療内容ごとに最適な修復材、金合金、矯正材料、セメントなど)


世界標準治療に必要なソフト面
● 高い治療技術とスタッフ教育システム(メインテナンス技術、アシスタント技術)
● 自費専用カルテ、在庫管理ソフト
● 治療用、アシスタント用マニュアルの完備

日本の歯科医療(保険制度)の残念な実情

日本の歯科医療は以下の3つの問題を抱え、歯科医師、患者さん双方にとって良好な制度ではなくなってきているのです。
1.保険制度の報酬は歯科の現状に合っていない
2.競争激化で何でもありに
3.歯石除去、訪問診療、レジン充填が利益確保の最後の砦

1.保険診療の報酬では世界標準の治療はほぼ不可能。

①経費削減のため、設備投資の抑制、劣悪な材料の選択。
低い診療報酬で据え置かれた結果、世界標準の歯科治療は難しいのが現状です。保険診療メインの医院では、感染予防対策は不十分、材料もより安価な材料を求め、品質基準も低くなりがちです。また、治癒が難しい歯科疾患に悩む患者さん大勢いるのに治せる歯科医がほとんどないという矛盾が生じています。

②経営のため、本質を無視した安易な自由診療へのシフト。
機能を考慮した本質的歯科治療さえ治す技術を持たないにもかかわらず。審美やインプラント治療で利益を出そうとする歯科医院の異常な増殖。 例、審美治療(レジン修復、セレックシステム、歯の漂白など審美専門医院)、安易な矯正治療(マウスピース矯正など)、無理のある治療(インプラント)予防専門医院*など。

③少ない完全自由診療専門の歯科医院
国民皆保険制度に慣れ、コスト意識や競争原理の働きにくい環境で、自由診療のみの歯科医院経営が難しい。
アメリカではほぼ100%、イギリスでもかなりの割合がプライベート(完全自由診療制)です。

④保険制度下で質の高い歯科教育レベルが根付かない
保険制度下で患者のコスト意識の低く、また競争原理が働きにくかったことから、長期間レベルの高い治療技術のを教育する教官が育たなかったため、現在は修復治療の実習でもレジン修復のみしか教えない大学もあり、治療に絶対に必要なメタル修復の実習がカリキュラムに組み込まれていなくなっているという恐ろしい状況に。

日本の歯科の将来は非常に暗い。
*アメリカでは予防専門は歯科衛生士が開業する仕組みがあるが、日本にはそこまでの制度がなく明らかに遅れています。保険歯科医院がたくさんの歯科衛生士を雇い、たくさんの患者さんを保険で予防活動をすることは、限りなく黒に近いグレーゾーンの保険制度の運用と言えます。

本来は予防歯科は自由診療専門医院で行わなければなりません。(保険制度には限界があり、すべてを保険でまかなおうとすると、保険料負担者に過剰な負担がかかり、国庫の枯渇が起こります。やり方にもよりますが、来院する患者さんを頻繁に初診にしてスケーリングをすることは保険制度の悪用ともとられかねません。)

2.競争激化で何でもありに!

①過剰な宣伝、実情とは異なる自由診療への誘導。
過剰な広告、フェイク理論*1(科学的根拠のない理論の宣伝)で患者誘導する歯科医院が増加。自院に患者を呼び込むために、過剰な効果を謳い、患者さんを誘導。

②審美治療が本質的治療を凌駕。
歯科治療は本来、歯の機能を回復し、健全なかみ合わせからくる全身の健康を確立するためのもの、混合診療の中で自由診療の利益を上げるため*2多くの歯科医院が審美中心の治療に走り、本来の歯科治療の目的達成が疎かに。

③技術的ハードルの低い安易な矯正治療の比率の上昇
歯の見た目の並び具合だけを治す安易な矯正治療は、本来の効果を期待できる矯正治療ではありません。近年増え続けるマウスピース矯正や部分矯正は、見た目だけを治す治療でしかなく、将来全身の健康に大きな問題を引き起こす可能性のある治療と言えます。

*1金属修復除去によるメタルフリー治療、審美治療への誘導、インプラントの過剰広告による誘導、かみ合わせ治療の誘導のほどんどが機能回復、健康改善とは無関係な、経営本位の歯科医院が自由診療に誘導です。

巧みな宣伝文句こそ危険です、医院に相談に行き良く内容を調べましょう。

2*混合診療では、保険で行える治療は保険で行わねばなりません。金属を用いた治療は保険でもできるため、審美歯科材料を勧め自由診療の比率を高めようとします。

3.訪問診療、メインテナンス、レジン充填が保険診療利益確保の最後の砦

①保険で最も利益の上がる訪問診療。
患者さんの口腔環境が向上した今、歯科医院の外来患者さんは減り、経営が困難に、利益が上がる訪問診療へとシフトしているのです。

それにかかる莫大な医療費が国の財政を破産に導いています。これは医療の介護費用にも同じことが言えます、実際に介護保険料はうなぎのぼりに上昇し、患者減の医師の受け皿になっている)。訪問診療が不要となる方法を考えるべきで、超高齢化社会先進国日本の重大な医療問題でもあるのです。

②メインテナンスには保険は効かない。
保険が適応されるのは保険制度で決められた疾患に対してだけです。短い期間に頻繁に定期的に検診を行い、歯周病や歯肉炎の初診として歯のクリーニングやメインテナンス処置(予防処置)を保険で請求することは、保険制度の限りなく黒に近いグレーゾーンの運用と言えます。健康保険でできることとできないことを明確に区別する必要がある時代になってきたのです。患者さんも保険制度を自分本位ではなく正しく利用する義務があるのです。

③高い収益率のレジン充填
MI(minimum intervation・・最小限の侵襲)が歯科業界で流行り、メタル修復と比べてレジン修復の比率が上昇しています。レジンは材料費が安価で、技工料金もかからず収益率が高い治療と言えますが、レジンは樹脂ですから長期間の耐久性は期待できません。一見取れていなくて、きれいに見えても、水分を吸収して内部は確実に劣化しており、2年から3年で交換することが望ましいです。(レジンを除去の際、ひどい悪臭がします)。耐摩耗性の低く、かみ合わせが変化することから、奥歯のかみ合わせ面に使える材料ではありません。しかし歯科大学でもこのような事実をだんだん教えなくなっています。同じMI治療でアマルガム充填という最高の治療法がありますが、技術が必要かつ材料を日本で生産しなくなったため、できる先生が数えるほどしかいらっしゃいません。

 

変わらない保険制度

残念ながら、全国の歯科医のうち、ほとんどが保険医であるので、このような事実を明かしてしまうと自分の保険治療自体を否定することになるので、本音を語る先生はわずかな自費診療のみの先生になってしまい、世間一般にこのような事実が知れ渡りにくくなっています。
そのためいつまでたっても保険制度は改革されません。先生は訪問診療や歯石除去など利益の上がる保険診療をやり続けるしかないのです。

患者さまの20年先、30年先の状態を考えた治療

私たちは、自分の生活費をどう稼ぐか、ではなく、医療人としてなすべき医療をしたいという考えを20年以上も持ち続け、正しい歯科治療を実践してまいりました。またそれができるのは保険診療ではないという確信もあります。

そして、本来の治療とは、患者さまの行く末の20年先、30年先を考えて行われるべきです。30年先に患者さまがどうなるのかを考えれば審美治療、インプラントを薦める先生はいなくなるはずです。
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