噛み合わせの治療は実体験が必要なのです

  噛み合わせの治療は実体験が必要なのです

お役立ちコラムCOLUMN

2014.09.06

噛み合わせの治療は実体験が必要なのです

私は自分の歯を矯正治療していろいろなことがわかりました。

自分がかみ合わせが悪くて体調が悪かったことに気が付いたとき、真っ先に思ったのは「どうして自分はこんなに敏感で、しかもかみ合わせが悪く、苦労するのだろう。ついてないな!」ということでした。

何しろ、歯科医院を開業して5年も経たないうちに体中にガタがきて、とてもこれ以上働くのが難しく、廃院しようかと思うほど体調不良に襲われたからです。

しかし、整体に通ったり自分の歯を矯正するなどしてゆくうちに復活し、さらに、当医院を訪れるいろいろな難しい患者さんを治療してゆくうち、「自分が敏感で、しかもかみ合わせが悪くて体調を崩したことは、患者さんを治療するためにも必要なことだったのではないか」と思うようになりました。

多くの先生がかみ合わせを治す治療を行っていると、堂々とホームページに載せていますが、、どうもピンと来ませんでした。というのは、先生自身が実際に歯で苦労したわけでもなく、治療を受けて治ったという内容でもなかったからでした。自分で経験したこともない人が本当に顎関節症で苦しんでいる患者さんの気持ちがわかるのだろうか?といつも思うのです。

私はもちろん、当医院のスタッフも実際にかみ合わせの治療をうけたおかげで、かみ合わせを治す矯正治療は、どんなに難しく、そして、様々な症状が起こることを理解し、実際に患者さんから出る訴えの意味と現在の治療の進行状況との整合性を説明できるようになったのです。

私も矯正治療をうけた時、かみ合わせを変えるたびに、舌をかんだり、唇がむけてカサカサになったり、気持ちが沈んたり、手首がしびれたり、のどが詰まる感じがしたり、といった様々な好転反応?を乗り越えて、やっと体調の良い状態を獲得しました。

多くの顎関節症を治療している先生は実際にそのような感覚を理解できるほど、感性が鋭い人が少ない気がします。実際には患者さんの方がよっぽどよくわかっていることも少なくありません。

私の経験では、自分が経験していないことを理解して、治すことは非常に難しいのではないかと思うのです。なぜなら、おそらく患者さんの訴えることが全く理解できないだからです。

大学院時代の経験で、非常に多くの顎関節症の患者さんが大学病院を訪れていましたが、患者さんの訴えは適当に受け流し、すぐに薬を出す科に紹介する先生がほとんどで、患者さんの話に真剣に耳を傾け、治療に生かそうとする先生はほとんどいらっしゃいませんでした。

そのような状況を見て、どうしてこの先生は真剣に患者さんの訴えの原因に取り組もうとしないのか不思議に思ったものです。

ですから、自分が顎関節症で悩んだことも、現在の自分の治療法を確立する上で、非常に役立ったと思い、決して苦労だけではなかったと思うようになったのです。

何事もそうですが、自分が経験しないと当人の本当の感覚は分からないものです。そういった意味で自分が歯の感覚が鋭かったことと敏感な体質だったことに感謝しているのです。

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