歯科医という職業

  歯科医という職業

お役立ちコラムCOLUMN

2018.04.03

歯科医という職業

私は、歯科医以外の職業をほとんどしたことがないのと、歯科治療の技術や本当の意味を理解することが忙しくで、客観的に歯科医という職業がどういったものなのかを考えることがありませんでした。

しかし、今になって、客観的に歯科医を見てみると、かなり特殊な職業である気がします。
患者さんの状態を判断するための知識と、診断できるだけの直感がいるだけでなく、ほとんどが外科治療だけに相当の体力を必要とします。つまり体力の消耗が半端ではないと思います。

また歯科医療は他の医療の中では、現代でも、たった一人で患者さんの全般的な処置をしなければならない科だと思います。

そして、歯科衛生士さんが手伝ってくれるとはいえレントゲン撮影から、患者さんの健康管理、精神状態の分析、治療(しかもほとんどが外科治療)、そして場合によっては技工(患者さんの口に入れるものを製作する)にいたるまで、自分でやらなければならないことがあるのですから、その忙しさは大変なものです。

そして、ほとんどが零細な中小企業ですから、経営者として、人事や売り上げと経費のバランスをとったり、今では集患といって患者さんにいらして頂けるように、自院の売り込みまでしなければ、医院として成り立たない時代になってきました。わたしの場合はそれ以外にISO9001を取得したときは、医療の質管理の責任者件システム管理全体を統括を行い、かつマニュアル作りの秘書のような仕事まで全部自分でやりましたので、ISO9001の審査担当者に本当に一人でおやりになったのですか?と疑われたくらいです。

ほとんどの歯科医院は保険診療も行っていますから、診療しなければならない患者さんのは相当な数になりますから、通常の歯科医院ではどうしても、技工などはする時間はなくなってしまいます。
しかし、患者さんの健康状態や精神の状態、そして、口の中、を理解するためには技工操作はじっくり患者さんと向きあることができる時間なので、とても大切な時間です。これがなくなると、治療は単なる流れ作業にならざるを得なくなります。患者さんの歯の模型はそれほど、患者さんのさまざまなことを語りかけてくれるのです。

このような観点から見て、私が自由診療のみの歯科医院を目標として、今のじっくりとした診療のできるスタイルにできたことは非常によかったと振り返って考えています。

話を元に戻しますが、歯医者さんはとにかくマニアックな人が多く、審美にこだわりだすと、前歯の歯茎の位置の0.5mmの長さにまでこだわったり、歯の接触を完璧にするといって、理想的な咬み合せを作ったり、矯正ではいかに審美的な並びを作るかにエネルギーをそそいでいる人などを見かけます。

私も30代ぐらいまでは、自分が入れた前歯がきれいに仕上がると、達成感を感じたものです。しかし、歯が体と健康に大きく関係していることを知るようになってから、フレキシブルな体を理解しないで些末なことにとらわれた治療を行う意味のなさを痛感しました。コンマ何ミリをあわせる努力をしても、体が変化した瞬間数ミリの変化が起こることに気がつき、マニアックな治療をしている先生には失礼ですが「木を見て森を見ず」の治療は歯科では治療にならないことに気がついたのです。

歯科治療も「森を見て木を直す」といった考えで行いっていきたいものです。

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