医療従事者のあるべき姿

  医療従事者のあるべき姿

お役立ちコラムCOLUMN

2011.08.27

医療従事者のあるべき姿

医療従事者について、20年近く歯科医をしていて思うことは、医療に携わる人は、他の業種とは一線を画す、人間であるのではないかと思います。

たとえば、一般の企業のようにの様に営利目的に走ってはならないと感じます。

もちろん、医療も経営が成り立たなければ、スタッフにもまともな給料も払えませんから、稼ぐのは当然です。
また、医院が成り立ってゆくだけのお金も頂くでしょうし、それなりに貧乏とならないだけの利益を上げるべきだと思います。

それの両軸として、医療従事者は、常に勉強をし、誤った治療をしていた場合は素直に改善するという、素直さと、潔さが必要です。

医療従事者は、最も弱い立場の患者さん(先生にすべてを任せて頼っている)人を相手にしています。
ですから、利益ばかりを追及していては、患者のためにならない治療が行われる可能性があります。(実際今の日本の歯科では、普通に治療をしても適切な利益さえ上がらないので、インプラントや、セラミックなど、必ずしも患者の利益につながらなくても、自由診療をやらなければならないと言う経営上の都合で、治療が行われていることが多くあります)

また、「たとえお金にならなくても患者さんのために、ここでもう少しここまでやってあげよう」、といった気持が医療従事者にな必要です。
そうでなければ、治っていないまま治療が終わられたり、と患者さんに不幸な結果が与えられる可能性があるからです。

そう考えると、医療従事者には少しの心のゆとりが必要です。
明日の支払いを心配している先生にそんなことできないと思います。

そして、もうひとつ重要なことは、常に正しいことを自分がしているか、しかもそれをきちんと確認する必要があると言うことです。

臨床に従事していると、非常に診断や、原因が分かりにくいことや、実際にやってみると治りにくく、学生時代にならった方法では治せない疾患が沢山あります。

また、医療従事者が陥りがちなのは、自分では正しいと思いながら、間違ったことをし続けてしまうという恐れがあることです。時代とともに治療は洗練されてきます。
常に治療のレベルをアップトゥーデートしなければなりません。

私も大学院の時代、何人かの先生のもとでアルバイトをさせて頂きましたが、卒業後20年以上も経ってしまった先生が、確かに卒業当時は正しかったかもしれませんが、今では全く時代遅れの治療を、まるで正しい治療のように行い続けたりしているのを見ることがありました。

開業医で、何年も同じことをし続けていると、たとえ古くなって今では間違っている事が常識になっている治療でも、ルーチンの作業となってしまい、当然の作業となって、見直すことなどしなくなってしまうからです。

でも、医療従事者は「知らなかった」で許される職業でないということです。

エイズ訴訟で無罪となった阿部さんも「当時は知らなかった」と言い張ったらしいですが、知らなかったということ自体が当時のその分野の専門家として、そして、医療人として失格ではないかと思います。

ですから、知らずに誤った治療をしてしまうのは医師としは許されないことでしょう。

でもこの二つを守ってゆくことは楽なことではないのでしょう。

RECENT POST

CATEGORY

ARCHIVES