日本の医療事情

  日本の医療事情

お役立ちコラムCOLUMN

2010.09.03

日本の医療事情

私は歯科医師なので医療についてだけしか詳しくは知りませんが、日本の医療の実情は非常に面白い傾向があります。

たとえば、歯科医療、これは技術面、内容面に関してみると、東京が突出して高い技術が集中しています。

なぜなら、大阪や、神戸、あたりからでも歯の治療に東京までやってくることは珍しいことではないからです。

また経済面、諸外国などとの交流面などで、圧倒的に東京は有利です。

たとえば、新しい技術を導入したとしても、十分な治療費をいただいて治療に移れる可能性が高いのは東京で、ほかの地域では、経済的側面から非常にそのような治療形態を行うことが困難になります。

つまり、お客さんがいなければどんな高い技術も持ち腐れになるからです。

また、医療歯科医療ともに言えることは、人間の病気はまるで生き物のように変わってゆくということです。

昔、非常に多かった病気も今ではほとんどなくなり、今まで全くなかった病気が非常に増えたりすることは良くある事実です。

たとえば、昔は、癌は不治の病で、癌と聞いただけで今の人でもドキッとして、死を覚悟します。

しかし今では癌は末期でもない限り恐れるに足らない病気となっています。

一方で、自律神経失調症や、うつ、アトピー、花粉症など命に別条はないが、その人の人生そのものを変えてしまう病気はむしろ増えています。

これは人間の生活様式が変わり、また今まで不治と思われた病気が克服されたために、今まで注目されなかった生活の質に影響を与える病気までが注目されてきたとも言えます。

昔、抗生剤が発見されていなかった頃は、感染症で死ぬ人がほとんどでした。
しかし、今では癌が直接的原因で死ぬことも減ってきています。
むしろ、老化による機能低下が原因になりつつあります。

これらの、病気の質の変化も都心から起きてきています。

歯科治療でも同じことが言えます。

昔は歯がいたければ抜いてしまえと言ったことがごく当たり前でした。
しかし、10年ほど前から、根の治療で相談を受けることが非常に増えました。
どうしても大切な歯を時間をかけてもよいから抜かないで治してほしい。という要求です。

そして、次に出てきたものが、顎関節症です。

虫歯の痛みも、根の病気もないのですが、肩や首が凝ってしょうがない、これは原因は歯ではないのか?

といった、時代を反映した疾患が増えているのです。
とくに日本人は神経質な人が多いので、この手の疾患がどんどん増加している傾向があります。

私自身も、20年以上も前にさかのぼると、自分がひどい顎関節症だったんだと思うようになりました。

実際に私がさまざまな患者さんを治療してきて感じることは、世の中に流行りだす前に、多くの新しい疾患を訴える患者さんが増えるということです。

ですから、このような疾患が地方に増えることはむしろかなり後のことになるのです。

そして結局最新の治療は都心に始まり、それが地方に非常にゆっくりと広がってゆくといった傾向になると思います。

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