日本ではなじみの少ない自費治療

  日本ではなじみの少ない自費治療

お役立ちコラムCOLUMN

2012.04.15

日本ではなじみの少ない自費治療

日本では、国民皆保険制度のもと、保険診療で治療を受けることが当たり前になっており、自由診療といえば、歯科では矯正やインプラント、医科では高度ながんの治療や、先進医療などを想像することがほとんどといえます。

しかし、皆保険制度がないアメリカでは、治療費はまず「患者さんを完全に治すためにいただく費用」という位置づけになっており、その費用の多寡は、当然治療技術にも比例しますし、内容にそぐわない治療費をとっていれば、そのうち、経営が成り立たなくなります。

一方日本の保険制度は、まず先に費用があります。

この点はいま問題になっている東電にもつながるものがあるでしょう。

「かかる費用を先に計算し、それに対して利益が出るように電気料金が決まってゆく」
しかしここの「かかる費用」が問題で、そんなものは経営努力をしなければいくらでも吊り上げられます。

一方、医療の場合は、先に診療費が決まっています。つまりどんな治療をしてももらえる金額は同じです。

そうなれば、もっとも経営努力をしてコスト削減をするでしょう。
しかしここに問題があります。
誰がやっても同じ料金という点です。

同じ金額であれば、努力してももらえる金額は同じ、つまり、サービスの質を向上させる理由がなくなるのです。

今の日本の歯科医療はそこに限界が現れ、医学的にみて行わねばならないと先進国で当然のように行われている治療手順が踏まれていないことが散見されます。(滅菌や感染予防管理、治療にかける精度や手間)

しかし、残念ながら総コストが決められている以上こうなるのは仕方がないことでしょう。

一方自費診療はいくらでも費用を高くできます。勿論患者さんが来てくれればの話です。

実際は保険診療に慣れている日本の患者さんに自費診療を受けてもらうのは至難の業で、自費診療だけしか行っていない歯科医院で生き残れるのはほんのわずかしかいません。

しかし、実際に先進国の常識といえる治療レベルを行おうとすれば、自費診療しかありませんし、混合診療が複雑に規制されている今の保険制度では、それこそ自費診療しか扱わない経営形態にせざるを得ません。

そいった意味で考えてゆくと、21世紀に入って、日本の医療は徐々に矛盾をあらわにしています。

今のままですと、その治療に意味があろうとなかろうと、無尽蔵に保険医療費は払われ続ける制度にほかなりません(勿論先生は意味があると主張するでしょうが、患者の意識改革が行われなかったり、治ることのない慢性病に薬を出し続けても意味がある医療とは言えないでしょう)。

自分の管理を怠ってきた人が病気になるでしょうし、病気にならない人は、管理をきちんとしています。

管理をきちんとしている人が多くの保険費用を払わされている現実はどうも理不尽です。

世の中の歴史を見てみると、おかしな制度は徐々にその矛盾を抑えきれなくなって崩壊します。

まず国鉄が崩壊し、日本電電公社が崩壊、郵便局、道路公団と、おかしな組織は次々とつぶれてゆきます。
今は東電がその矛盾を抑えきれなくなっています。

医療制度もそう遠くない将来必ずメスが入る時が来ると思います。

「窓口の支払額が増えると、患者さんが必要でも来院できなくなる」
と医師会は言っていますが、本当に必要なら、高くても払って治療を受けるはずです。
勿論お金がない人もいるでしょうが、この世の中でただでサービスが受けれるものなどないでしょう。

お金がない人が医療を受けられず、問題になるのであれば、そういった人を受け入れる公共の医療機関を国が作るか、無償のボランティア医療施設に国も補助金を出すなどの制度を作るしかありません。今の保険制度で国民全員分を賄うことはかなり難しくなってきています。

そして、国民一人一人が、自分の健康管理をきちんと行えるようになれば、きっと医療費の問題は解決されると信じています。(私を含めた経験では、自分で健康管理をしているつもりでも、かなり無理をしていて体を壊してしまっている人も少なくありません。実際はそこまで働く必要もないのに働いてしまっている、あるいは働く義務感に駆られている人も少なくないのです。私はそのような人の助けに少しでもなれればと、コミュニケーションを多くとるようにしています)

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