顎関節症治療の恐怖

  顎関節症治療の恐怖

お役立ちコラムCOLUMN

2009.12.17

顎関節症治療の恐怖

本当にあった歯の恐ろしい話、1
私はかみ合わせについてかなり昔から取り組んでいました。そのせいかいろいろな難症例が各地から来ていました。今でも何人かの印象に残った患者さまのこと思い出します。
一番恐ろしかったのはインプラントの治療を受けて廃人同然になってしまった女性の患者さまのことです。
この女性は歯の治療を受けてから体調が悪いので見てくれないかと、ご主人と一緒に来院されました。しかしもう自分でまともに立てる状態ではありませんでした。来るとすぐにご主人が問診票を書いてくれましたが、肩を貸さないと診療室にも入れないほどでした。
口の中は今でも写真が残っていますが、めちゃくちゃな治療をされていました。インプラントの芯は入っているが、かぶせ物は仮歯の状態でぐらぐらしていました。
歩けなくなったのは、自律神経失調症がひどすぎて、精神安定剤と筋弛緩薬などを飲まされているからだそうでした。
第一の選択は直ちにインプラントを抜き、入れ歯にすることでしたが、そんなに体調が悪い人のインプラント除去など怖くてとてもできません。大学病院を紹介しましたが、今頃どうなっていることやら・・。
かみ合わせで悩んだことのない人は「顎関節症なんて何?」と思っているかもしれませんが、ほんのわずか歯をいじられたことによって、まったく何ともなかった人でも、体全身がダメになってしまうのです。
無気力、疲労感、消化不良、など挙げればきりがないほどたくさんの問題を引き起こします。しかも、私の治療の経験だと、ここだと思う歯のかみ合わせを依然そうだったであろう高さに直すと、ぴたりと治ったりします。
奥歯にレジンをつめる先生がいます。これはもうほとんど破壊に近い治療だと私は思います。体にどれだけ影響が出ているか全く関心がないからできるのです。恐ろしい限りです。
実際奥歯にレジンを詰められた人はたいてい顎関節症になっています。本人がそれを顎関節症だとわかっていないだけです。
しかし今の日本の歯科医の治療レベルでは、そんなことまじめにかみ合わせに取り組んで考えながら治療している先生は本当にわずかしかいないと思います。歯科の質問ページを見るをたくさんの顎関節症の人が歯の治療後に発症し、相談を寄せているからです。
顎関節症の患者さまの潜在的数
歯の治療の中で、顎関節症で悩んでいる人は非常に多いと思います。しかも自分が顎関節症と気がつかずにいる、潜在的な患者さまを含めるととてつもない数の患者さまが顎関節症で悩んでいることでしょう。
顎関節症の治療は非常に奥が深く、全身との関係を考えずに歯だけを見て治療を行うことは無謀ともいえます。しかし多くの先生が悩み治療法を工夫して顎関節症を治そうとしています。しかしながら私が多くの症例を見てきた感想からすると顎関節症は多くが医原性(医療行為によって引き起こされたもの)であると考えられます。
私が多く見てきた例では、審美治療と称して前歯にかぶせものを何本もいっぺんに入れてしまった場合などに引き起こされることが多い気傾向にあります。前歯をいっぺんにたくさん入れられてしまうことによって顎の運動が急に変えられてしまうからです。
しかし、このような問題を抱えた患者さまか多く来院しているにもかかわらず。かみ合わせに対するきちんとした解明して治療を行おうとする姿勢がない大学教育そのものにも大きな問題があるのではないかと思います。(実際は大学はあくまでも学問を行うところであり、開業医は実際に患者さまを治す場であるという目的の違いがあるかもしれませんが)
残念ながら学問としての顎関節症に関してきちんと取り組んでいる大学はほとんどないと思えます。多くの場合大学病院に顎関節症で紹介されると、低周波の電気をかけられたり、薬物を投与されたり、あるいはハリ治療をされたり、しまいにはカウンセリングをされたりと、まともに歯の治療をしてくれるところはほとんどないと言えます。もちろんだからと言って歯の治療だけで完全に治ると断言しているわけではありません。
顎関節症が、金属を取り除くことで治ると言う人もいらっしゃいますが、それはあくまでも原因の一つでしかありません。金属アレルギーの人や本当に過敏症になっている人にとっては、金属材料もレジンのような樹脂材料も、所詮は異物でしかありません。
ですから確かに取り除くことは治療の一助になることはあります。しかし金属アレルギーではなくかみ合わせそのもにに問題がある場合はそれだけでは治りません。
残念ながら歯の治療には今のところ、異物(人工物)を入れざるを得ないのです。それが現在の歯科治療の実態です。もちろんセラミックのような材料は生体親和性が良く、アレルギーがある人でも比較的受け入れやすいのですが、それでも歯と接着する際にレジンという樹脂(異物)を使用しなければならないので、異物を全く入れないで治療が済むということはありません。
ですから異物を取り除くということは、顎関節症の原因の一つを取り除くことにすぎません。
実際には、虫歯や、根の病気などが原因で顎関節症を起こしていることもありますし、かみ合わせ自体が問題の場合もあります。これらの原因をすべて完全に解決しなければ治療はうまくいきません。
顎関節症を治すからと言って金属を片っぱしから取って白い材料にした挙句、全く顎の違和感や、肩のこり、首の痛みが消えない患者さまを多く知っています。本当にかわいそうです。
顎関節症の治療は、歯に関する治療のすべての集大成のもとに成り立つ治療です。
また、かみ合わせに関係する筋肉、そして最終的には体全体にわたる筋肉のバランスに対する知識が必要です。整体の先生のなかに顎関節症を治療のひとつにあげているのもわかる気がします。体のバランスがかみ合わせを大きな関係があるからです。しかもそのバランズが崩れることによって体のバランス(恒常性の維持)が崩れ、アレルギーなどを引き起こしやすい体になってしまうのです。
金属を取り除くことも必要ですが、恒常性を保てるように体を治すことも重要ではないかと思います。この場合、薬で治すことは難しいでしょう。
健康管理の問題も非常に重要です。顎関節症が治りにくい人の多くは食生活や日常生活にも問題があります。
動物性蛋白質を摂取しすぎの人は、筋肉の緊張が起こりやすく、顎関節症になりやすいです。これらの人は多くが、毎食大量の肉や、チーズ、卵、牛乳などの動物性蛋白質を大量に摂取しています。
これと同時に成人でありながら毎日2500キロカロリーを超えるような高カロリーの食事を毎日しています。
これではアレルギーを引き起こしやすいのは当然といえますが、本人はそのことにほとんど気付いていません。これらの改善も重要な治療の要素といえます。

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