- 2016.02.12
矯正治療その深遠なる治療
矯正治療は、長年私が治療に携わってきてこれほど難しく奥が深い治療はあるのかと思うほどの治療です。
もちろん咬み合わせなどを考慮した歯の治療も非常に難解で奥の深い治療です。
そもそも顎関節は非常に特殊な構造で、腕の関節のように決まった軸で動く構造になっていません。
比較的左右にも、前後にも、そして上下にも自由に動くゆとりがあるのです。そのため、たとえ歯の治療で低いかぶせ物をされても、ある程度顎の関節自体は適応することが出来ます。
しかしながら、位置的に適応できたとしても、その周りを取り巻く筋肉はそれに適応し切れません。
やがて不適切な緊張が生まれ、それが首の筋肉や頭骸骨に付着している筋肉を引っ張り始めます。
これによって頚椎の配列は乱れ始め、頭蓋骨の形は変形してきます。
多くの人はこのような変形や変位がある程度ある場合がほどんどです。しかし、その変形や変位に対しての反応は人によってまちまちです、すべての人が不快感を感じるわけではありませんが、不快感を感じる人にとってはこれほど苦しいものは無いため、人によっては咬み合わせの異常が原因の顎関節症による不定愁訴が起こるわけです。
これらの異常は現代の難解な病気とも関係していると考えられます。頭蓋骨の変形や頚椎の変位はホルモンバランスや場合によっては精神面の異常を引き起こします。そういった意味で矯正治療で歯の位置を変えることで、不適切な筋肉の緊張を取り除き、骨格の異常を取り除くことが出来るため一見関係ないように見えながら、このような疾患に対してもある程度有効な治療法といえます。
しかし、すべてのこのような症状が咬みあわせだけで取り除けるわけではないので注意が必要です。あくまでも咬み合わせの狂いなどで引き起こされた筋肉の緊張が原因となっているものだけです。
しかし、治療で言えば、咬み合わせの位置を変えることで筋肉の緊張は取り除かれ、それに伴って頭蓋骨の形状も治ってきて、徐々に変化してゆくため、それに合わせた下あごの位置をさらに見つけ出して歯を動かしてゆかねばなりませんからまさしくこのタイプの矯正治療は非常に難解なものになるのです。
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