- 2025.06.19
「診る」と「観る」の違い、東洋医学の考え方
このページは2025年06月19日に更新されました。
私は、歯科医師であり医療氣功師でもあるというかなり変わった歯科医です。
西洋医学と東洋医学の両方の良い所を生かして治療をしていますが、東洋医学と西洋医学では根本的に考え方が違っています。
西洋医学では、患者さんを「診る」と書きます。
「診る」とは、先生が症状と状態から診断をするということです。その「診断」は極めて狭い範囲から導き出されるものであり、西洋医学が対症療法といわれるように、表面上に現れた症状やレントゲン、血液検査データを頼りにして病名をつけてゆく方法です。

皆さんも「パーキンソン病」、「ギランバレー症候群」といった病名があることをご存じではないでしょうか。実はこの病名は人の名前です。
これは症状がたくさんあるのに、検査結果からは病名を付けることが難しく、見つけた人の名前を付けるしかなかったからです。「診る」という診断だとこのようなことも起こるのです。
一方で東洋医学では「観る」と書きます。より広い見地から考えて出てきた症状から原因を追究し、原因を取り除く方法を行います。これを東洋医学では「本治」といって、症状を取るだけの方法である「標治」とは区別し、基本的には「本治」を目標として治療計画をたてます。
例えば、パーキンソン病では起こる「手の震え」は、「風」の邪気が入り溜まってしまったことが原因として考えられ、風邪を取り除く必要があります。また「こわばり」は「血の不足、血の流れが詰まっている」ことが原因です。

このように考えると、パーキンソン病では漢方薬の一例として「抑肝散」といった「熄風薬(風邪の作用を鎮める生薬)」や「理血薬(血を巡らせ、量を増やす漢の機能を整える生薬)」が入ったもので改善が見込まれる可能性があることがわかります。
またギランバレー症候群では、しびれや麻痺がおこりますが、「しびれ」は主に「血」の流れが阻害されること(血瘀)で起こります。また「麻痺」も「血の流れ」と「氣の流れ」が両方滞ることによって起こります。
ですから漢方薬の一例では、「血府逐瘀湯」のような「理血薬(血を巡らせ量を増やす生薬)」と「理気薬(気の巡りを良くする生薬)」が入ったもので改善が見込まれることが分かります。
このように「診る」で診断されたものと「観る」で診断されたものでは、根本的な考え方ががっており、同じ土俵で比較すること自体に意味がないのです。
東洋医学では西洋医学では治療法がないものでも、4,000年以上昔の古典に治し方が書かれているものも多く、例えば現代の病名で「糖尿病」は「消渇」に当たるといわれており、現代病と考えられていた病気の多くは昔からあり、しかも治療法が見つけられていたことに驚かされます。
東洋医学はもともと中医学という中国で伝わってきた伝統医療を日本式に焼き直したもので、中医学で最も大切にしているのは、経絡という概念です。
この概念は最後の動画でも詳しく解説していますが、身体を流れるすべての経絡に氣がバランスよく通っていれば、人の体の恒常性が整い、あらゆる不調が治ってゆくという考え方です。
下の図は、全身の経絡を示したものですが、身体には主に14本の経絡が通っており、これら全ての経絡に十分な氣が流れていることで健康状態が整います。
これら経絡には五臓六腑「肝心脾肺腎」「胆小腸胃大腸膀胱(三焦)」の名前がついていて、名前のついた経絡がその臓腑をコントロールしていると考えられています。

背中側から見た経絡

腹側から見た経絡
漢方で使われる生薬には必ず「帰経」といって、どの経絡に入るかが書かれています。(下写真参照)
つまり、漢方薬も経絡に氣(エネルギー)を補うことで不調を整えてゆくという考え方なのです。

漢方薬に書かれた帰経の文字
「氣功」とはこのような氣をコントロールする方法です。
「氣功」はあまり聞きなじみはない人も多いと思いますが、太極拳などの「内気功」は全身に流れる氣の量を増やし、氣を流れやすくする中医学では最も効果の高い健康法として知られています。それを医療に適応したのが「医療氣功」で、人が外から病気の人に「氣」を送る方法で古くから最高の治療法として医療の一部を担ってきたのです。

内気功法
私は、医療氣功を習得するには8年以上かかりましたが、歯の治療と同時に患者さんの氣を整えることができるようになったので、歯の治療で全身の改善まで整うという、今までの歯科治療とは違った治療効果が得られるようになりました。これはまさしく西洋医学と東洋医学の融合といえます。
実は歯の周りにはたくさんの経絡が通っており、歯が悪くなるということは、経絡が詰まったり、氣の量が減っているために起こっていることが多いのです。
虫歯や傷んできた歯の治療をしたり、噛み合わせの治療をすることはとても重要ですが、氣功師の治療では、同時に経絡の詰まりがとれ、氣が流れるようになり全身の調子が良くなるので、治り方は全く違ったものになります。

顔を通る経絡
私は現代西洋医学だけに頼る医療はすでに限界に来ていると感じています。
医療費は増え続け、国民の負担は限界に達しているのに、治らない人や不健康な人が増え続けており、いったい誰が幸福になっているのか疑問に感じています。
これからは東洋医学の考え方を取り入れて、本当の意味で治っていく医療が広まって欲しいと考えています。
少なくとも、西洋医学では治らないといわれている病気に東洋医学では治療法があることは知っていただきたいと思っています。
RECENT POST
-
2025.07.10
日本のデンタルクリニックの現状(保険診療と自由診療)
-
2025.07.02
歯科の自由診療について(東洋医学的に考える)
-
2025.06.27
CAD/CAMシステムについて
-
2025.06.24
「知らないと損する、審美矯正の落とし穴」
-
2025.06.22
”エネルギー治療「気の治療」”時代が求める”次世代医療のかたち”
-
2025.06.19
「診る」と「観る」の違い、東洋医学の考え方
CATEGORY
- 噛み合わせ治療
- 医院について
- エネルギー治療
- 物理的歯科治療
- 抜歯治療
- 6つの治療の統合治療
- 感染予防
- マネジメント
- 自由診療
- 保険制度
- インプラント
- 求人情報
- 入れ歯
- 東洋医学と歯科治療
- 患者さんの声
- FAQ
- 全身と歯の関係
- 歯列矯正
- 修復(虫歯)治療
- 根管治療
- 顎関節症
- メンテナンス
- FAQ
- 歯科医療関係者向けコラム