矯正治療と顎関節症

  矯正治療と顎関節症

お役立ちコラムCOLUMN

2015.08.12

矯正治療と顎関節症

私どもの医院では歯の治療と矯正治療を総合して治療を行うことで顎関節症を治療しています。

しかし、実際は多くの先生が顎関節症と矯正治療との相関関係をあまり肯定的にとらえようとしてしていません。

ただ私どもが20年近くにわたって臨床をしながら導き出してきた結論から言って、矯正治療と顎関節症は密接な関係があると言えることは間違いないと言えます。

確かに、歯並びが悪くても顎関節症にならない人もいますし、一見歯並びが良くても顎関節症がひどい人もいらっしゃいます。

しかしこの一見歯並びが良いが問題なのです。

多くの矯正治療を行っている先生が勘違いしていることは、かみ合わせと歯並びとは、何ら相関関係はないという事を殆ど理解していないという事です。

また、矯正治療と顎関節症とは相関関係がないという結論がアメリカでも導き出されはしましたが、これは、かみ合わせ(顎の3次元的位置)を治療するという方法と、技術がまだ矯正医の間で一般的ではないことと、その正しいかみ合わせの位置導き出し方が十分にわかってないため治療に生かせていない事実があるからです。

従って現在、顎関節症と矯正治療と間に相関関係があると考えるのは、現在の一般的な矯正の治療技術とはなじまないであろうという上での結論であると考えたほうがよいでしょう。

これはすなわち、顎関節症になるパターンと、ならないパターンとが矯正治療を行っている歯科医自身が全く理解できていない(当然です、顎関節症になってしまう噛み合わせの位置と、なりにくいかみ合わせの位置についてわかっていないからです。)

つまり、実際は相関関係がありますが、自己責任でその治療技術を持っている先生にかかった方が良いのではないか、というのが結論として言えるのではないでしょうか?

多くの矯正医は顎の周囲や首、肩などを触診しません。しかし、私は今の治療技術を完成するまでに、数多くの患者さんの首や肩、顎や頭を触診して、顎の位置関係とそれらの筋肉の硬直具合とそれを取り除く方法について研究を重ねてきたのです。

その結果、仮に歯並びが良くなったからと言って、かみ合わせ(顎の3次元的な位置)まで良くなるということはよっぽどの偶然でも重ならない限り起こりえないという事実をわたしは理解しました。

私自身も今まで何人もの矯正医の話を聞いて分かったことは、「治療を始めてみたものの、治療途中で治療がうまくいかず、途方に暮れる」などという事は結構頻繁にあることの様です。その為、矯正医はお金はある程度入る分非常にリスクが高い専門職であると内輪では考えられています。

そういった経験から、ちょっと経験を積んだ(痛い目にあった)先生は、難しい症例ではないかと何となく感じる患者さんの「治療はうまく言い訳を付けて断ったり」、「ストレートに難しいからや治療しないようが良いといったり」して断ることも結構あるようです。

つまり、噛み合わせに対して敏感そうな患者さんを矯正治療をすると問題が起こることは経験からある程度理解しているでしょうし、ハイアングルや極度のオープンバイトケース、成人の受け口のような実際に治療が難しい患者さんは治療することをさけたりします。

これは、かみ合わせ(顎の三次元的な位置)を考えないで、並びしか治さない矯正医の治療に限界があるからです。

歯並びを治すという矯正治療の引出ししか持たない矯正医にとっては、本来矯正治療で治さなければならないかみ合わせの狂い(顎の三次元的位置狂い)が原因で顎関節症が引き起こされているという事実の想像すらつかないからです。

実際歯並びが悪くても顎関節症を発症しない患者さんがいることから、もしかしたら顎関節症は単なるかみ合わせの問題ではないかもしれないとそう考える先生もいるかもしれません。

しかし、この場合も、本人が自覚している場合の顎関節症患者のことをさしており、自覚していなくても、医学的に診断してみれば広義の顎関節症の患者さんはそこらじゅうにいます。

たとえば、最近私も良く見るテニス選手でも、いつも故障している選手がいます。一方故障もなく常に優勝争いに残っている選手もいます。この違いは本人の素質もあるでしょうが、私は、かみ合わせが大きく関係していると思います。

私が注目する、いつも故障している選手は、かみ合わせが明らかに右にずれています。しかし、本人はそれが自分の故障と関係あるなどとは考えたこともないでしょう。つまり、このような場合も顎関節症になっているとは言えると思います。

一方、ほとんど故障もない選手は本当にバランスの良いかみ合わせをしていることがよくわかります。

医師は本人が自覚して訴える患者さんを診るだけでなく、自覚がなくても、医師として問題があることを指摘できるだけの診断能力を持たねばなりません。

殆どの歯科医は、本人が顎が痛いと訴えている患者さんだけが顎関節症患者だと考えています。私はそこに間違いがあると思いますし、自覚症状が無くても顎関節症の患者さんはたくさんいらっしゃるのです。

すべての虫歯を診断出来、それを歯科医に訴えることができる患者さんが何人いるでしょうか?つまり、虫歯ですら、本来歯科医が診断するべきものです。

顎関節症についても、本人が自覚している患者さんだけが顎関節症だと考え、歯並びの悪さ(本来は顎の三次元的位置というべきですが・・)と顎関節症とは相関関係がないというのは少々強引だと私は考えるのです。

RECENT POST

CATEGORY

ARCHIVES