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歯の治療で顎を動かす

顎関節症の治療で、歯の治療で最も効果があるのは、下顎の3次元的な位置を矯正治療を使って移動させる方法です。

しかし、今までも、矯正治療に限らず3次元的な顎の移動をすることで、様々な方法で顎関節症の治療が行われてきました。

しかし、なかなか確実に効果の出せる、これぞと言う方法がなかったのです。「それはなぜでしょうか?」

まず矯正治療では、ブラケットを上下の歯すべてに着け、全ての歯はワイヤーの力でどんどん移動してゆくため、噛む位置は常に変化してしまいます。

これでは矯正治療中に「顎の位置をコントロールしている」とはいえません。本当にきちんと矯正を行うのであれば、「顎の位置をコントロールした矯正治療」がぜひ必要なのです。

しかし、顎の位置をコントロールする矯正治療を考えた矯正医は今までほとんどいなかったわけです。顎の位置を移動する矯正治療としてはKim先生の開発したMEAW(multiloop edgewise archwire)という方法がありますが、これは歯をワイヤーを屈曲することで、1本1本の高さや傾斜をコントロールし、歯の高さ、位置を変えることで顎が移動させてゆきますが、奥歯を上げたり、顎の位置を正確にコントロールすることはできません。

またシークエンシャル咬合ではオーバーレーと言う方法で天然の歯に先に金属のかぶせ物をして顎の位置を決めて矯正治療を行いますが、矯正治療中に歯が移動して、噛みあわせを決めている歯が移動してしまい、顎の位置を十分にコントロールできているとは言いがたいといえます。

一方、補綴治療で仮に顎の位置をコントロールして顎関節症を治す方法もあるのですが、そもそも顎をどのような位置に持ってゆくべきかという議論に関して、いまでもまだはっきりこれだという結論がでていないのです。

かみ合わせや顎の位置に関しては、補綴学や咬合理論の分野であり、アメリカではナソロジー、ヨーロッパではシークエンシャル咬合論が、正しい噛み合わせの位置について長年議論してきたのですが、顎関節症を起こさないためや、顎関節症の治療に必ず効果のある噛み合わせの位置を採得する方法がわかっていないと私は考えています。

顎の位置を3次元的に生理学的な位置にすべき矯正治療学に必要な正しい噛み合わせの位置を採得する理論がはっきり決まっていないことと、矯正治療中に下顎の位置を確実にコントロールする方法がなかったことで、矯正治療自体が、「術後に顎関節症などの顎のトラブルが起こるかもしれない?」といった、ある種のリスクを抱えた治療法となっているわけです。

私は下顎の正しい位置は「上顎と下顎の顎関節の位置関係だけでなく、顎の周りの筋肉、頚椎周りの筋肉、後頭部の筋肉、頚部の筋肉が最も緊張が緩むバランスの取れた位置」が生理的に正しい位置に近いと考えます。私の場合、噛みあわせを決定する際はそこを一番に配慮して行います。そこがシークエンシャル咬合の咬合採得ともナソロジーの咬合採得とも異なると考えます。

このようにして顎の位置を誘導してゆくと、頭頚部の筋肉が徐々に緩んできます。そして本来のねじれや歪みのない頭頚部の骨格へと変化し、それと共に「頭頚部の筋肉の最も緊張が緩む下顎の位置が徐々に変化して来ます」。それに合わせて与える噛み合わせの位置をコントロールしてゆきます。

下顎は大変自由度の高い2つの関節で上顎とゆるく結びついており、それはちょうど海に浮かんだ小船のようです。船は「左右」、「前後」、「上下」と3次元的にどんな動きでもします。これとまったく同じことが下顎に起こっているのです。

「右の高さに比べ左が低ければ下顎は左斜め上に上がり」(実際は顎関節の構造からもっと非常に複雑な動きをします)、「奥歯が低ければ後ろ上がりの顎の位置になり」(このときは顎全体が後ろに下がりながら奥側が上に跳ね上がります)「前歯が内側に倒れていると顎は自然に後ろに下がります」

実際には左右の高さは上が低いのか高いのか右が高いのか低いのかで4種類のバリエーションがあり、奥歯が低いのも上が低いのか、下の歯が低いのかで2つのバリエーションがあります。そして、それらすべてが組み合わせれるので、かみ合わせのずれの原因は、大変多くのバリエーションがあり、それを診断で読み解いてゆく必要があります。その診断を完全に理解するのに15年以上の歳月がかかったわけです。

当医院で行う矯正治療はこの診断から始まり、これらを解決する方法論を盛り込んています。

以前は「咬合平面を変える」ということは矯正治療ではあまり積極的でなく、むしろ問題を引き起こすことを考えられてきましたが、最近では矯正治療でも積極的に「咬合平面を変える」という方法論が注目されてきました。

実際この方法論と使って治療を行ってみると、確かに噛み合せの位置が3次元的に変化し、「一見手術以外では治す方法がないと思われるような患者さん」でも、治ってしまうことがあることが分かってきました。

3次元的に顎の位置移動を行いながら、上下左右の歯の高さを調整しながら、変化してゆく下顎の生理的位置に確認しながら噛み合わせを導く方法がこれからの矯正治療にはぜひ必要なのです。

このような考え方で「どの歯の高さに不具合があるかを診断して、それが治るように矯正治療を行うことで狂っている噛み合せの面を正しくする」ことが出来たのです。

この治療法によって「顎が後ろに下がる」「顎が左右にずれる」といった事がなくなり、睡眠時無呼吸の症状が改善し、呼吸の質までがよくなります。また首周りの筋肉が弛緩し、中枢神経系にも良い効果が現れることが観察され、矯正治療のレベルを上げる方法であると考えています。

顎関節症を治すための4つのポイント

当医院が考える顎関節症(体調不良を含む)を効果的に改善する方法は?。

当医院では4つにしぼった治療法で顎関節症でおきたさまざまな症状を良好な状態へ導きます。

1、虫歯や根の病気の痛みを取り除く。
ラバーダムや拡大鏡(ルーペ)、顕微鏡(マイクロスコープ)をもちいることで、完全な虫歯の除去と確実な根の治療がおこえます。

ルーペやマイクロスコープなどの高度な機器を用いた治療では機器を使いこなす能力、時間的ゆとり、治療を支える優秀なスタッフといった治療環境も大切です。

確実な虫歯や根の治療で、顎関節症の平均で10%~20%程度の症状が改善することが経験からわかっています。

2、顎関節症を引き起こしている噛みあわせの問題を見つけ、顎と顎周囲の筋肉の緊張を取り除く。

歯が原因で顎関節症を発症した場合、必ず原因となっている噛みあわせの乱れや、不適切な形態のかぶせ物があります。

単に歯だけではなく、仕事の中身や生活習慣、本人の体質も考慮したうえで、顎や顎周囲、そして全身の筋肉の緊張を取り除きます。

しだいに顎がゆるみ正しい噛みあわせの位置がわかってきます。この方法で症状の平均で20~30%度の症状が改善することが経験からわかっています。

3、正しい噛みあわせを見つけ、そこで噛めるよう矯正してゆく。

多くの矯正治療を行っている先生が、実際はこのようなステップで正しい噛みあわせの位置を作る治療の必要性を理解しています。

私は、顎だけでない顎周囲の筋肉、そして周りの頭や首の骨格の歪みを触診しているうちに、顎だけに注目して正しい噛み合わせの見つけようとすること自体が大きな間違いであることに気がつきました。実は「生理的に正しい噛みあわせの位置は体と連動する」ことが重要だったのです。

ここから私は、生理的な噛み合わせの位置を見つける方法をみつけだし、その方法で顎関節症の患者さんの噛み合わせの位置を治療をしてきました。その結果、ほとんど全ての症例で再現性のある良好な経過を得ることができたのです。

矯正治療による下顎の位置の修正で症状の平均で80~90%の良好な経過が得られます。

この理論については歯科医向けに講習会でお話しております。

4、歯とかみ合わせだけでなく、自分自身の体質を理解し、生活習慣の改善やからだの歪みを取り除く。

これは、顎関節症の治療の総仕上げともいえます。ここまで協力が得られれば、更なる体調の改善も期待できますし、治療後の経過も安定するのです。

これらの4つの方法のなかで、3、の「正しい噛み合わせを見つける」ことが最も重要な技術でありながら、難しく、われわれが長い間模索した技術でした。なぜなら正しい位置を見つけるのに4の問題もクリアーしながら正しい顎の位置に近づけなければならなかったからです。

歯科医は今日まで100年以上の長きにわたって、最適な噛みあわせの位置をどう決めるべきかを議論をし続けてきました。

シークエンシャル咬合ナソロジーなどの正しい噛みあわせの位置を決めるる理論はあまりに有名ですが、いずれも良好な経過の再現性が得られなかったため、正しい噛み合わせの位置を完全には定義できず、今だにどちらの理論も正しい噛み合わせの位置に関する定義があいまいなままなのです。

実はこれらの噛みあわせの理論は、異常を起こしている患者さんの噛み合わせの位置を異常があるままどの位置に収めるべきかを考えていたのです。

顎関節症の原因は顎の位置だけでなく、筋肉の異常やそれに伴うからだのバランスの崩れが原因です。それらを改善しながら正しい噛み合わせの位置が見つけなければ、いきなり正しい位置に行くわけがないのです。その結果、どんなに議論しても、正しい位置が見つけられなかったともいえるのです。

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