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2014年5月11日

噛み合わせを治す、考え方とその効果

噛み合わせでからだまで変わる、噛み合わせを治す矯正の理論とは?
実は今まで矯正治療は、生理的な正しい下顎の位置を理解し、それを噛み合わせのゴールとして行われてきたわけではありませんでした。

実際一部の先生で噛み合わせの位置について考察してはいたものの、実際に歯全体が移動してしまう矯正治療では噛み合わせの位置(顎の3次元的位置としてで、単なる上と下の歯の位置関係ではない)をコントロールする方法がとても難しくそれを行える確固たる技術を持っている歯科医がほとんどいなかったといえるのです。

私は矯正治療で顎関節症になってしまう患者さんがどうしているのだろうと悩んでいたとき、通常の矯正治療(現在ほとんどの矯正治療はこのようにして行われています)は「上の歯列と下の歯列をそれぞれアーチワイヤーにあわせ理想的に並べ」「理想的に並んだ上下の歯列が噛みあう位置に下顎が移動することで治療が終了する」という事実に気がついたのです。

矯正治療を受けた人なら分かると思いますが、「矯正治療中どこで噛むのか?」といったことを指導されることはほとんどなく、矯正治療中にどこで噛んでよいのかわからなくなることもしばしばです。

そして、矯正治療を受けながらいつの間にかかみ合う位置が決まってゆくという感覚です。

しかし、噛みあわせを決定するということは、本来矯正治療でもっとも重要でありかつ歯科医が確実におこなわなければならない作業です。

顎関節は体の中でも特殊な関節で、下顎の自由度は高く、歯のかみ合う位置に合わせどんな位置でも移動できる構造になっており、下顎は生理的に無理な位置でも自由に移動し、噛みあうことができるのです。しかし、顎の位置が適切でなければ顎の周りについている筋肉には噛むたびに非常に大きなストレスがかかります。

こう考えると、たとえ歯の並びがきれいで、上下の歯列がきれいにかみ合っていたとしても、下顎が生理的に無理な位置であれば顎関節症(顎周囲の筋肉のアンバランスによる不調)が引き起こされ顎関節症が発症しても何の不思議も無いのです。

噛み合わせを治す矯正、3つの方法とは?

1、上顎に対して生理的な下顎の3次元的位置を決め、そこで噛みあうように歯を移動させてゆきます。(下顎の位置重視の治療、詳しい治療方法につきましては治療計画の際、説明いたします)

2、虫歯や根の治療、かみ合わせの治療で歯の疾患を取り除くことによって歯が原因で引き起こされている顎や全身の筋肉の緊張を取り除き、下顎が生理的な位置に移動しやすくします。

3、矯正治療中はデーモンブラケット(弱い力)正確なブラケットの位置決め(歯の均等な接触)ユーティリティーワイヤー(適切な歯の移動)をうまく使いこなすことで、顎や全身の筋肉への負担を減らし、下顎を生理学的な位置に導きます。

私は「どうして矯正治療をしたあとで、顎関節症(体調不良)になる人がいるのだろう?」と何年も悩んだすえ、「下顎の生理的な位置から大幅にずれたから」という結論と「下顎が収まる位置に歯を移動する治療」をすべきという発想がえられたのです。

下顎の位置が生理的な位置におさまると、顎周囲や首周りの筋肉の緊張がとれ、頭蓋骨や首、場合によっては、からだ全体のひずみがなくなり、歯を治療しただけとは思えないような効果が得られることがあるのです。

頚椎の配列のひずみが除かれると、頚椎の中の脊椎管の圧迫が取り除かれ脳脊髄液の流れが正常になったり不適切な神経束の圧迫が無くなることで体調がよくなると考えられます。

下のイラスト参考

brain001.jpg

頭骸骨のひずみが取り除かれると脳内の循環が良くなり中枢神経の機能が活発になります。人によっては頭の回転や、決断が早くなったり、積極的な性格になったりします。

下の写真は奥歯を挙げる前と後のCT写真です。(右が頸椎の並びが良くなっています)
neck1.jpg
下の写真は顎の位置を動かした例です。(頸椎と顎の位置が改善したCT写真です)
ortho31.jpg


このような変化がおこる歯の移動テクニックを完成させるまで、15年以上の試行錯誤が必要でした。

ほとんどの日本人はかみ合わせが生理的な高さより低い傾向があります。低い噛み合わせは顎だけでなく首や後頭部の筋肉まで緊張させます。噛み合わせを高くする矯正治療が必要ですが、その方法は今まで一般的でなかったうえ、難しく、行われることがほとんどありませんでした。

特に、抜歯矯正ではかみ合わせはより低く下顎が後ろに入る、傾向があります。歯列のアーチも狭くなり、口の中が狭くなって、呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群など)を引き起こしたり、顎周囲の筋肉が緊張して頚椎の配列が変化して、顎関節症(体調不良)を発症しやすいのです。

また、顎が生理的な位置でないことに気がつかないまま矯正治療を終了してしまうと、バランスが悪いことで、顎やその周囲の筋肉が緊張し、顎関節症(体調不良)を発症してしまうことがあるのです。

矯正治療を受けて顎関節症(体調不良)になるのは、こんなメカニズムがあったからです。噛み合せを高くすることを含めた生理的な下顎の位置で噛み合わせをつくる矯正治療こそが顎関節症(体調不良)を起こさないために必要なのです。

2014年5月 8日

歯の治療で顎を動かす

顎関節症の治療で、歯の治療で最も効果があるのは、下顎の3次元的な位置を矯正治療を使って移動させる方法です。

しかし、今までも、矯正治療に限らず3次元的な顎の移動をすることで、様々な方法で顎関節症の治療が行われてきました。

しかし、なかなか確実に効果の出せる、これぞと言う方法がなかったのです。「それはなぜでしょうか?」

まず矯正治療では、ブラケットを上下の歯すべてに着け、全ての歯はワイヤーの力でどんどん移動してゆくため、噛む位置は常に変化してしまいます。

これでは矯正治療中に「顎の位置をコントロールしている」とはいえません。本当にきちんと矯正を行うのであれば、「顎の位置をコントロールした矯正治療」がぜひ必要なのです。

しかし、顎の位置をコントロールする矯正治療を考えた矯正医は今までほとんどいなかったわけです。顎の位置を移動する矯正治療としてはKim先生の開発したMEAW(multiloop edgewise archwire)という方法がありますが、これは歯をワイヤーを屈曲することで、1本1本の高さや傾斜をコントロールし、歯の高さ、位置を変えることで顎が移動させてゆきますが、奥歯を上げたり、顎の位置を正確にコントロールすることはできません。

またシークエンシャル咬合ではオーバーレーと言う方法で天然の歯に先に金属のかぶせ物をして顎の位置を決めて矯正治療を行いますが、矯正治療中に歯が移動して、噛みあわせを決めている歯が移動してしまい、顎の位置を十分にコントロールできているとは言いがたいといえます。

一方、補綴治療で仮に顎の位置をコントロールして顎関節症を治す方法もあるのですが、そもそも顎をどのような位置に持ってゆくべきかという議論に関して、いまでもまだはっきりこれだという結論がでていないのです。

かみ合わせや顎の位置に関しては、補綴学や咬合理論の分野であり、アメリカではナソロジー、ヨーロッパではシークエンシャル咬合論が、正しい噛み合わせの位置について長年議論してきたのですが、顎関節症を起こさないためや、顎関節症の治療に必ず効果のある噛み合わせの位置を採得する方法がわかっていないと私は考えています。

顎の位置を3次元的に生理学的な位置にすべき矯正治療学に必要な正しい噛み合わせの位置を採得する理論がはっきり決まっていないことと、矯正治療中に下顎の位置を確実にコントロールする方法がなかったことで、矯正治療自体が、「術後に顎関節症などの顎のトラブルが起こるかもしれない?」といった、ある種のリスクを抱えた治療法となっているわけです。

私は下顎の正しい位置は「上顎と下顎の顎関節の位置関係だけでなく、顎の周りの筋肉、頚椎周りの筋肉、後頭部の筋肉、頚部の筋肉が最も緊張が緩むバランスの取れた位置」が生理的に正しい位置に近いと考えます。私の場合、噛みあわせを決定する際はそこを一番に配慮して行います。そこがシークエンシャル咬合の咬合採得ともナソロジーの咬合採得とも異なると考えます。

このようにして顎の位置を誘導してゆくと、頭頚部の筋肉が徐々に緩んできます。そして本来のねじれや歪みのない頭頚部の骨格へと変化し、それと共に「頭頚部の筋肉の最も緊張が緩む下顎の位置が徐々に変化して来ます」。それに合わせて与える噛み合わせの位置をコントロールしてゆきます。

下顎は大変自由度の高い2つの関節で上顎とゆるく結びついており、それはちょうど海に浮かんだ小船のようです。船は「左右」、「前後」、「上下」と3次元的にどんな動きでもします。これとまったく同じことが下顎に起こっているのです。

「右の高さに比べ左が低ければ下顎は左斜め上に上がり」(実際は顎関節の構造からもっと非常に複雑な動きをします)、「奥歯が低ければ後ろ上がりの顎の位置になり」(このときは顎全体が後ろに下がりながら奥側が上に跳ね上がります)「前歯が内側に倒れていると顎は自然に後ろに下がります」

実際には左右の高さは上が低いのか高いのか右が高いのか低いのかで4種類のバリエーションがあり、奥歯が低いのも上が低いのか、下の歯が低いのかで2つのバリエーションがあります。そして、それらすべてが組み合わせれるので、かみ合わせのずれの原因は、大変多くのバリエーションがあり、それを診断で読み解いてゆく必要があります。その診断を完全に理解するのに15年以上の歳月がかかったわけです。

当医院で行う矯正治療はこの診断から始まり、これらを解決する方法論を盛り込んています。

以前は「咬合平面を変える」ということは矯正治療ではあまり積極的でなく、むしろ問題を引き起こすことを考えられてきましたが、最近では矯正治療でも積極的に「咬合平面を変える」という方法論が注目されてきました。

実際この方法論と使って治療を行ってみると、確かに噛み合せの位置が3次元的に変化し、「一見手術以外では治す方法がないと思われるような患者さん」でも、治ってしまうことがあることが分かってきました。

3次元的に顎の位置移動を行いながら、上下左右の歯の高さを調整しながら、変化してゆく下顎の生理的位置に確認しながら噛み合わせを導く方法がこれからの矯正治療にはぜひ必要なのです。

このような考え方で「どの歯の高さに不具合があるかを診断して、それが治るように矯正治療を行うことで狂っている噛み合せの面を正しくする」ことが出来たのです。

この治療法によって「顎が後ろに下がる」「顎が左右にずれる」といった事がなくなり、睡眠時無呼吸の症状が改善し、呼吸の質までがよくなります。また首周りの筋肉が弛緩し、中枢神経系にも良い効果が現れることが観察され、矯正治療のレベルを上げる方法であると考えています。


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