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2016年4月 9日

なぜ日本人に顎関節症が多いの?

欧米諸国にも顎関節症の患者さんはいますが、日本人はその数が圧倒的に多いといわれています。それはなぜでしょうか?

1、保険制度の下で治療の質は正しいといえる十分な治療レベルに達していると言えない
日本の歯科には皆保険制度があります。実は世界的にみると保険制度が歯科医療にまで適応されている例は実は少ないのです。

歯科治療は世界的に考えても、疾患を抱えている患者さんが多く、皆保険制度で賄うことは財政上も困難といわれています。

しかし、歯科治療は一般的に非常に手間がかかるため、費用が高額になり、保険制度のない国では裕福な人しかかかることができません。
一方日本では皆保険で誰でもかかることができますが、国の制度で諸外国の一般的価格の1/10~1/20程度の価格に抑えられているために、治療内容にかなり制限があります。

これによって精度が要求される歯科治療も、十分な質を提供しきれていないのが現状です。また歯科医が非常に劣悪な条件下で働いているという状況もあり、歯科医師自体が非常に疲労困憊し、集中力を要する細かくて精密な歯の治療を十分に行えないのではないかと思います。

最近では自由診療のみの歯科医院も増えてきましたが、ほとんどの歯科医院が保険診療と自由診療が混在し、治療の質として噛み合わせまで配慮しきれない場合もあるのです。技術も玉石入り混じっているため、患者さんも先生の腕を判断しにくいのです。

一部では、インプラントや審美歯科などに偏り、本来の意味での歯科治療を見失っている歯科医も多く存在することは否定できない事実なのです。

2、骨格的に顎関節症になりやすい
日本人の頭蓋骨を上から見ると丸い形(短頭系)をしています。一方で欧米人は縦に長い楕円形の形態(長頭系)をしています。(下の図参照)

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これからわかることは日本人の顎は前後的にあまりゆとりがないということです。

審美治療が盛んに行われ、矯正治療では出っ歯を治してほしいという見た目の改善の要求にこたえるために、歯を抜いて歯を後ろに引く治療をするケースが多くあります。この場合見た目は改善しますが、口の中は狭くなります。

また前歯だけをかぶせ物にして出っ歯やスキッパを治す治療も増えています。しかし、このような治療は、歯の裏側の傾斜を変えてしまい、そこに下の歯が強く当たって、下顎が後ろに下がってしまうケースを多く見かけます。

日本人のように短頭系の人種は、顎に前後的なゆとりがないので、口の中が狭くなったり、舌を置くスペースが狭くなったりして、「呼吸の質が落ちる」などの顎関節症を発症してしまうことがあるのです。

顎が後ろに入ってしまうと「鼻の通りが悪い」とか「イビキがひどい」からはじまり、「睡眠時無呼吸症候群」まで発症することがあります。このような不具合が起きると不定愁訴が発症する可能性があります。

顎関節症でこんな症状も!

顎関節症(かみ合わせが悪いことが原因)でおきるさまざまな体の不調
顎関節症は狭義では顎の問題と考えられていますが、広義ではそれによって引き起こされるさまざまな不定愁訴と呼ばれる症状も実は顎関節症なのです。

実は矯正治療後や、審美歯科の治療後にこのような問題が実際に起きている例もたくさん見かけます。治療後に体調不良になった場合は疑ってみる必要があります。「矯正治療で発症」「歯の治療で発症」参考

1. 頭痛がある、耳鳴りがする(大きい音ではないが、静かな場所でわかる音、これは歯だけが原因でない場合もある)。
2. 目の奥が痛む
3. 眼瞼下垂
4. 集中力減退
5. 文章を読んでも理解しずらくなる
6. 異常な発汗、ドキドキ感(甲状腺機能亢進に似た症状)
7. 甲状腺機能低下症
8. 疲れやすい(全身の倦怠感)
9. 平衡感覚の喪失(よく転ぶ)
10.高血圧
11.貧血やふらつき
12.背中や顔のできもの(吹き出物)
13.味覚異常、下のざらざら感などの違和感
14.腰痛(ぎっくり腰など)
15.歯の異常なしみ、痛み
16.リュウマチ様症状
17.手や足のしびれ
18.頭痛
19.ひどい生理痛
20.胃腸障害
21.逆流性食道炎
22.肩こり、首こり
23.呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群を含む)

いずれもわたくしどもが今まで歯の治療をして改善が認められた症状です。

ほかの歯科医の先生もこれ以外の症状が消えたという報告もありますから、医科で不定愁訴と呼ばれる疾患のあらゆるもの歯科治療で改善の余地があるかもしれません。

なぜこんなにもいろいろな不定愁訴に効果があるのか、私が治療をしてきて行き着いた理論についてはこちらをご覧ください。

またこれらの症状は、単に歯と噛み合せだけに原因があるだけでなく、体のバランスが狂っていることが原因で多くはストレスと呼ばれるマイナスエネルギーが強く関与しています。こちらをご覧ください。

私どもでは、このような原因不明の症状に科学的アプローチを行い、その成果をすでに「ロッキーマウンテンモリタ主催の「ムーシールドの臨床」講演、東京医科歯科大学の講演「小児矯正から始める完全自由診療へのみちのり」にて発表させていただいております。

日本人独特の問題

歯の治療が原因で顎関節症になってしまうことが多い日本の現状

実際、これらのかみ合わせの治療を行ってトラブルを起こしてしまった事例では、治療に当たったドクターがかみ合わせに対する十分な知識がなかったり、非常にフレキシブルな構造をもった人間の体というものを理解して治療していなかったり、といったいずれも治療に対する知識不足が原因で起きていることが多いといえます。

(「さまざまな顎関節症の治療法への見解」参照)本当に顎関節症で苦しんでいる人にとってはお金を払ってでも治してもらいたい反面、いったい誰の話を信じてよいのか、かみ合わせを治すべきなのか、様子を見ながら耐えたほうが良いのか悩んでいる人が多いのではないでしょうか?

(私の経験から言えば我慢できるような苦しみではなく、はっきり行って自分の将来に非常に不安を覚えるほどの深刻な問題です)

大学教育と日本人の潜在的な顎関節症患者

日本の歯科大学の専門課程ではかみ合わせに関する教育がなされることはほとんどなく、大部分の先生が卒業後、試行錯誤で見つけ出した治療法を患者さまに行っているのが現状です。

卒業後の研修でも「かみ合わせ」に関して実際に"ハンズオン"といって、治療の仕方を手取り足とりで教えてくれる機関もあるのですが、その数は少なく、しかもかなりの時間と費用がかかるために、なかなか忙しい開業医の先生が勉強に出かけて行くのは難しいのが現状です。

ちなみに歯科先進国のアメリカでは、大学でかみ合わせに関する授業はカリキュラムの中に組み込まれており、卒業までには少なくとも患者さまの正しいかみ合わせの位置を採得する方法を必ず習得させてくれます。しかしながら、アメリカですら、特別な大学院教育をうけなければある程度の顎関節症に対する正しい治療法を教えきれていないのが実際の現状なのです。

いずれにしても高い授業料を払わされていながら、きちんとした教育を受けさせてくれない今の日本の歯科大学の体質にかなりの問題があるといえます。日本ではこのように十分な教育がなされていないため、かみ合わせに関する理論を知らないまま歯科大学を卒業してしまう先生が大勢いるのです。

こんな現状から、日本人には顎関節症の患者さまの数がアメリカと比較にならないほど多いといわれています。自分で顎関節症だと気づいていない人も含めると潜在的には莫大な数の顎関節症の患者さまが日本にはいると考えられるのです。

これは、日本の歯科治療のレベルが、アメリカよりはるかに低く、また、さらに日本人がかなり繊細な人種5人に1人はHSPである)であるという2つ要素が相乗効果となって、よりたくさんの顎関節症の患者さんがいるのです。

また顎関節症は、首や肩、さらには全身に凝りを引き起こすことがわかっており、これにより日常生活に支障をきたしたり、体調が良くないために仕事の効率などが下がり、経済活動に悪影響を与えていることは否定できません。自分で気づいていない人も顎関節症について正しい知識をもって、治してゆくことを考えるべきではないかと思います。

クリニカルパスと治療

当院では、現在までの治癒に至った患者さまの経験から、一定のクリニカルパスを作成し、これに従い、どのような症状やケースにおいて、どのような治療パターンで治癒可能なのかを検討して治療を行っています。これらの治療法はもともとアメリカの大学で実際行われていた方法を採用し、診断等はヨーロッパの考え方なども取り入れて行っています。

治療は、ナイトガードやプレート(費用は54,000円)を夜寝るときだけはめていただき、その効果を見ることから始まります。これは不可逆的な治療ではなく、調子が悪くなったり、効果がなければいつでも取りはずす事ができるので、比較的安い費用で(決して安価という意味ではないが)つらい症状を取り除き、治癒の方向性を見極めることができる方法です。

この装置によって顎関節症の症状に一定の効果が認められた場合は、かみ合わせが原因であると判断し、歯とかみ合わせの治療に行ってゆくという方法で治療をおこなっております。

残念ながらナイトガードやプレート療法を行ってもあまり改善が認められないケースもまれにあります。そのような場合にかみ合わせの治療をいきなり行うのは危険です。

また稀に歯科心身症という疾患の方がいらっしゃいます。いわゆる心気症と昔から呼ばれ、やたらと検査を要求する方がいらっしゃることも事実です。本人は不調を訴えていますが、実際は疾患は無かったりします。

本当の顎関節症の患者さまは実際はもっと深刻です。

私の経験では、顎関節症は、矯正治療を行わないと完治しないものがほとんどです。適切な矯正治療を行えば、単に見た目だけでなく、顎周囲や体全体のバランスまでとれた体になることが知られていますし、顔つきや体調も見違えるほど変わってきます。これは実際に当院で治療が終了した患者さまに多く認められています。

顎関節症の治療を受ける際のアドバイス

このようにホームページ上で治った症例について書くことは誰でもするのですが、実際に本当に治っているかという事実を患者さまは確かめることはできません。先生に自分の状況についてじっくり相談し(長時間の相談には多少費用もかかるでしょう)

治癒にいたった患者さまの症例を見せてもらうことによって、この先生なら治療をきちんとやってくれそうだと確信できてはじめて治療を受けることを決めるべきだと思います。

私の場合、治療にいらした患者さまに適切なかみ合わせの位置を与えるとほぼ100%症状の軽減を訴えます。
人によっては、涙を流して喜ぶ方もいらしゃいました。私自身も経験してきた顎関節症のつらさを考えると、医院探しを苦労してされた方の気持ちはひとしおであろうと想像できます。(実際は歯が原因と気づくまでに相当の時間と労力を要するものですから、更に治療技術がある医院を見つけたときの喜びは相当なものだと思います)

正しいかみ合わせの位置とは?

顎関節症の治療は最終的にはどの位置にかみ合わせにしてゆくのかという目標に収束します。すなわちどこにかみ合わせを与えるべきなのかがわからなければ治療は完成しないのです。それは勘でやってもうまくいきません。私が顎関節症の患者さまを多く手がけてわかったことは、患者さまごとに相当のバリエーションがあるということです。

つまり2級の症例(上が出っ歯)の場合はかみ合わせを後ろに押し込んでしまうことが多く、また3級の患者さまはあまりそのようなことが起こりにくい(起こらないわけではない)と言えます。そして長年かみ合わせが狂ったままであると咬合平面自体が相当変化しているため、矯正治療がどうしても必要になります。

私の場合、もっとも苦しんだのは、どこにゴールを持って行くべきか(かみ合わせの位置)がわかっても、その位置で噛めるように歯を動かすことが非常に難しいということでした、なぜなら通常顎のずれは場合によっては1センチ近くもあり、しかもそれが顎の筋肉の緊張によって狂ってしまっているという複雑な因子を含んでいるためです。

そのような事実を述べた治療家は今まで一人もおらず、まして治療法を教えてくれた治療家など全くいなかったために、治療法を確立するのに相当苦労しました。現在では時間は少々長めにかかりますが、確実に治す方法を確立できています。

またかみ合わせの位置は一発で決められるとおっしゃる先生がいるようですが、そのような患者さまはむしろまれ、いやおそらくいないでしょうし、自分でかみ合わせがとれていると思いこんでいるだけで、大部分が後ろに押し込んだり、一時的に調子がよい位置を取っているだけだと思います。
ですから、一時的に調子がよくなってもすぐに調子が悪くなったり、いつまでたっても調子がよくならなかったりします。

これはスプリントで体調がよくなる=首や顎、そして肩の周りの筋肉が変化する→かみ合わせが変化する→スプリントの位置はもはや最善の位置ではなくむしろ苦痛である。

といったことが起こっているからです。
しかし、この筋肉の変化量、そしてスピードは人によってまちまちです。
私が観察してきた限りでは、早くて半日、平均すると1週間前後で変化が起こり、体調が改善する反面、今までのスプリントでは却って体調が悪くなります。

私がフラットな面の入れ歯を製作するのもこれが理由です。入れ歯の人はほぼ100%顎関節症になっており、かみ合わせのずれと、顎と首肩などの筋肉がバランスを失っているため、かみ合わせの位置は非常に固定しにくくなっているからです。

間違ったかみ合わせの代表として、押し込んだ場合、患者さまが首の痛みや、肩の凝りを訴えることが頻繁に見られます。
あまり奥に押し込みすぎた場合、息苦しくなったり、眠っているときに睡眠時無呼吸症候群の症状を起こす場合もあり、非常にかみ合わせの治療は怖いと認識しています。これらの治療に経験のないあるいはわかっていない先生が手掛けると大変なことになることは確かです。

噛みあわせが不調の原因?

「出っ歯」、「受け口」だけが悪い噛み合わせではありません。

歯がガタガタ、歯が重なっているが歯並びが悪いこと、出っ歯、受け口が噛み合わせが悪いこと、ほとんどの方がそう思っていらっしゃるでしょう。

しかし、本当の噛み合わせはもっと複雑で、見た目だけでは判断できないものなのです。

矯正治療を受け、歯並びもよくなり、出っ歯でも受け口でもなくなったのに、「顎の不具合や体調不良(顎関節症)」を訴えることが少なくないのは、実は見ためからはわからない噛み合わせの悪さがのこっているからなのです。

歯並びも良くて、出っ歯でも、受け口でもないのに噛み合わせが悪いとは一体どういうこと?と疑問に思うかもしれません。

実は上顎は頭の骨と一体化しているので、噛み合わせで位置が狂うのはほとんど下顎です。
奥歯の高さが狂うと、見た目は良くても下顎が後ろに下がったり、角度が急傾斜になったりします。
下のレントゲンを参照riverse.jpg

左のように顎の角度が急な人は顎が奥に入りやすく、頚椎の形態まで変化してしまいます。つまり奥歯が低い噛み合わせといえます。

片方の奥歯だけ低くなると、顎が左右的に曲がります。こうなるとさまざまな体調不良が出るのです。(詳しくはこちら
kamiawase.JPG

左は奥歯も前歯も低い噛み合わせ、右は左右で高さが違う噛み合わせです。

もちろんあまり噛み合せが悪いと、顎が歪んで見えたり、顔が左右で非対称になったり、えらが張って来たりします。


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