トップへ » アマルガムを使った虫歯の治療
アマルガムを使った虫歯の治療
アマルガム充填
虫歯の治療の際、さまざまな問題が起きたり、虫歯の状況によっていろいろな充填方法や修復方法を選択しなければなりません、いくら審美的に良いからと言って、全部白い歯で詰めることが、歯にとってベストの治療とは決して言えません。歯の治療は何十年も歯をもたせるための技術が集約されていなければなりません。このためには歯に加わる力や、材料の性質を完全に理解し、その材料が十分に機能するように材料を使っていかなければなりません。
日本でアマルガムを行う先生が少ないわけ
日本でアマルガム充填を行う先生が少ないわけは、実はその教育が不十分であることと、材料の質が低いという点に尽きます。奥歯で虫歯が大きい場合の最良の材料はいまだにアマルガムに勝るものはありません。
しかし日本で販売されているアマルガムは強度、操作性ともに最低ランクで、私自身、アメリカから輸入されたアマルガムを使用した際、まったく驚かされました、わずか3分程度で、カチカチにかたまり、かむことができるぐらいの硬さになるのです。
またこのスピードからアマルガムは最も治療が難しいといわれています。アマルガムは詰めるための形態つくりに細心の注意が必要であることと、固まるまでの3分ぐらいで、かみ合わせの形を完全に作り上げなければならず、虫歯治療に必要な技術のすべてが集約されているのです。そのため、アマルガムをきちんと充填することができる技術を持った先生は、日本には数えるほどしかいません( これはアマルガムを今はあまり大学教育で教えないという理由もあると思いますが)。
|
|
|
上の写真は適切に充てんされたアマルガム充填の例です。アマルガムが他の材料と比較して優れている理由には次の3つがあります。
まず、虫歯は必ず下掘れになっているため、インレーなどの修復材料では歯を多く削りすぎてしまうからです。歯を削りすぎると、かみ合わせの面を人工的に作らなければならず、かみ合わせを狂わせてしまう可能性が大きくなるからです。アマルガムはかみ合わせの面の歯の切削量を最小限にしてくれます。
次に、臼歯部には強い咬合力(噛む力)が加わるため、十分な強度が必要になります。最近よくつかわれるレジン(樹脂)は、見た目は白くてよいのですが、強度が咬合力に対して不十分であったり、吸水性(水を吸う性質)があったり、材料自体に抗菌性がありません。一方アマルガムには、金属としての十分の強度と、強い抗菌性があるため、虫歯が拡大しにくいのです。
レジンは一度虫歯になってしまうと痛みもなく巨大な虫歯になってしまっていることがよくありますが、抗菌性と強度を兼ね備えたアマルガムはあまり大きな虫歯になっていないことが多いようです。このような理由から、私の知っている限りアメリカでもイギリスでも今でもアマルガムが初期の虫歯の治療として使われています。確かに一部の国で廃絶の運動が出ていることは事実ですが、むしろマイナーな動きです。また、アマルガムよりレジンの方が長持ちすることは絶対にありえません。(金属と樹脂がどちらが耐久性があるか普通に考えてみればわかることです)しかし、ゴールドインレーやゴールドフォイルのような長期間のもつのは難しく長くても20年前後と言われています。私の感覚だとレジンは大臼歯だと10年は持たないと思います(ラバーダムをしないで治療を行った場合は論外の結果になります)。
最後にアマルガムには歯に詰めた後に膨張する性質があるため(レジンは逆に収縮する)歯に完全に適合し、歯と材料との間に空間(死腔と呼ばれる)を作ることがなく、虫歯の再発が極めて少ないです。ただ水銀が含まれている(無機水銀ですので人体には安全です)環境への問題から使用しない人もいますが、歯を長持ちさせるためには今でも欠かせない材料です。
(ちなみに当院でアマルガムをたくさん充填した患者さんが、体内の水銀量を髪の毛で測定しましたが、一般的日本人のレベルと何ら変わることなく、魚介類に含まれる水銀よりも口の中から溶け出す水銀の濃度のほうがはるかに少ないことが分かっています。)
アマルガムは自由に形を変えることができる金属であることから、さまざまな柔軟性のある治療法に使用することができます。
例えば、虫歯がひどく単に充填するだけでは歯の強度を元に戻すのが難しい歯の場合ピンを使います。
下の写真のようにピンを打って支えを作った歯にアマルガムを充填し、そのアマルガムを残したまま、ゴールド修復を行い、歯を被せることによって、強度を取り戻した歯にすることができます。
|
|
これらの治療は神経を刺激しない位置にチタン製でできたピンを打ち込まねばならず非常に神経を使う仕事です。
アマルガムの健康被害について・・・
アマルガムについて特に日本では極端な意見が多く、アマルガムを取り除くべきといった誤った意見が横行しています。残念ながらアマルガムには水銀が含まれており、あまり良いイメージを持たない方が多いと思いますが、それを否定している人の多くがレジンを推奨しています。しかしレジンは中に環境ホルモンが含まれており、そのホルモンによって人類がメス化しているとも言われています(レジンが虫歯に使用されるようになって女性の出生率が上昇しているという統計もある)。しかし科学的根拠がはっきりあるわけではありません(他の要因もあるし、溶出量も少なく影響が出るかはっきりしないからです)。アマルガムを健康被害があるのであれば水銀の蒸気を吸っている歯科医師が最もそのような被害を受けているはずですが、歯科医師でアマルガムの充填をしていることによって神経系をやられた報告を私は聞いたことがありません。また根拠あるデータがあればアメリカでも日本でも廃絶されているはずです。今でもアメリカ、イギリスその他多くの国々でアマルガムは初期虫歯の最も有効な材料として使用されています。(歯を削る量が最も少なく、二次カリエスになりにくいからです)科学的な根拠なしにアマルガムを否定するのは極端なことと言えます。アメリカの一部の州、スウェーデンなどで使用禁止になっていることは事実ですが、これらはむしろ環境に対する配慮と言えるでしょう。また虫歯になる確率がレジンを使用することによってアマルガムを使用する場合の10倍になるとしたら、健康被害が10万人に一人にしか起きないアマルガムを使わずにレジンを使用して治療する根拠がありません。私は治療はバランスが大切と考えます。
私がもっとも疑問に思うのは、十分な感染予防もせず、またラバーダムもしないで治療しながら、すなわち肝炎などを感染させてしまうリスクや、虫歯を取り残すリスクを取り除かないで、わずかなアマルガムの危険を訴えて、ひたすらそれを外してレジンを詰めようとする人の思考回路を疑います(医学的根拠のない治療と言えます)。
しかし、もちろんアマルガムが安全と言っているわけではなく、さまざまなリスクの中で選択されるべき材料の一つであると思います。ちなみにアメリカでは臼歯部の大きな虫歯はアマルガム、浅い虫歯はインレー、審美を要求される場合(前歯)はレジンとなっており、アマルガムは10年、インレーは20~30年年程度、レジンは3年~5年程度でやり直しになる可能性があると説明するようです。アマルガムは大きな虫歯でも、虫歯を取り除いたのちアマルガムを中に残したまま表面をインレーで覆ってしまえば、歯の切削量を最小限にしたまま長持ちする歯によみがえらせることができるのです。レジンは虫歯になるリスクが非常に高く(水を吸う性質があることと、強度不足)これを奥歯、特に隣接面に使うのはあまりにもリスクが高くあまり使いたくない材料です。実際レジンを詰められた歯を外すと巨大な虫歯になっており、いつも恐ろしいと思ってしまいます。自分の奥歯には絶対使ってほしくない材料です。
トップへ » アマルガムを使った虫歯の治療





