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矯正治療の歴史
1、バンドを使った矯正治療(矯正治療のはじまり)
矯正治療は、最初、歯並びの悪い人が、実際に自分の歯を動かした方向に
押しつけ続けたらどうなるかをやってみたところ、毎日やっていると、実際に歯が動いたことから始まったようです。
そののち、もっと効率的に歯を動かすために、直接ブラケットを歯につけ、
ワイヤーで矯正を行う方法が開発されました。
初めのころは歯にブラケットを直接接着する接着剤がなかったため、
歯にバンドセメントでつけ、そのバンドにブラケットをろう着してから、ブラケットにワイヤーを
とおして歯を矯正していました。(上図)[ストレートワイヤーシステム(石川・古賀)から引用]
2、ダイレクトボンディング法(スタンダードエッジワイズ)
やがてダイレクトボンディングと呼ばれる、歯に直接ブラケットを接着させる
方法で矯正治療が行われるようになりました。
これらのワイヤーを使った初期の矯正治療のテクニックにはエッジワイズ法
やベッグ法などがあり、最もスタンダードな矯正の方法として長い間行われてきました。
このテクニックに使用されるブラケットは個々の歯に対して、まったくプログラム
がなされていないもので、ブラケットをつける面に対して垂直にワイヤーの入るスロットが
形成されていました。(左図参照)、従って、一本一本の歯に合わせてワイヤーをまげて
個々の歯を動かす必要があり、治療結果に一定のきまりがなく、患者さんごと、先生ごとに治療結果が異なってしまうという欠点がありました。また患者さんの状態を見て頻繁にワイヤーを曲げていかなければならないために、非常に効率も悪い方法でした。
3、ストレートワイヤー法(プレアジャステッドテクニック)
それに対して、アンドリューズらが開発したストレートワイヤーテクニック
(現在の矯正治療はほとんどこの方法になっている)ではブラケットにトルク、インアンドアウト、
アンギュレーション、(その他全部で6つあるかみ合わせを理想的にする鍵)、を前もって
とりいれられたブラケットを使用します。これによって矯正治療の先生による治療結果の
ばらつきが格段に少なくなりました。 (下の図がスタンダードエッジワイズ法とストレート
ワイヤー法との違いを示したもの)
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4、超弾性ワイヤーの出現
さら近年は、超弾性といって、どんなに曲げられても元の形に戻る性質を
もったワイヤーや、形状記憶合金の様に、患者さんのお口の中の温度に反応してワイヤーが締
まる仕組みになっているものなどが開発されてきました(オームコ社のカッパーナイタイワイヤー)。
5、セルフライゲーションブラケットの出現
また、今まではメインのワイヤーをブラケットに細めのワイヤーで縛り付ける方法で矯正
治療を行っていました。しかし、徐々にセルフライゲーションというブラケットにワイヤーを縛り
つけないタイプのブラケットが開発されてきました(スピードブラケットやタイムなど)。これらのブラケットは当初、リガチャーワイヤーでブラケットを結紮しないため、治療時間を少なくすることができるというのが売りでした。
これらのブラケットはいずれも画期的なものでしたが、最近話題になっているデーモ
ンブラケットはこれらの中でも最高傑作といえます。デーモンブラケットは、
セルフラーげーションブラケットの中でも特に、ブラケットとワイヤーとの間に摩擦が少ない
ことが知られています。そのため歯の動きが制約されず、今までは抜歯するしかないと
思われていた症例でも、抜歯しないで治療を行うことができるようになったのです。
デーモンブラケットは、ほとんどの部分が金属でできているので、審美性は期待でき
ませんが、矯正治療中は審美性よりも治療の結果が求められるので、デーモンブラケットが
最もお勧めです。
6、より弱い力による矯正治療
矯正治療は、ワイヤーであまり過大な力を加えると、根の周りの骨を吸収してしまっ
たり、組織に良い影響を及ぼさないことが分かってきており、短期間の力の強い矯正(たとえ
ば急速拡大装置など)は良くないといわれています。たとえば急速拡大装置では、急激な
力で歯は動いているのですが、あまりに急激な変化に骨はついて行けず、実は歯の根は
顎の骨の外に飛び出して動いているだけだったという恐ろしい事実が最近のCTスキャン
などで分かってきたからです。 また矯正に使用するワイヤーも0.012~0.013インチ(約0.3ミリ)と
細くなっており、矯正中の痛みもかなり弱くなってきています。
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7、インダイレクト法による正確で確実な矯正治療
矯正治療をさらに確実に、そして正確に行う方法がDr.白須賀によって開発された、白須
賀法インダイレクトボンディング法です。当医院ではすべての症例で白須賀法を
用いています。
今までほとんどの先生がダイレクトボンディング法といって、直接目で見ながらブラケット
をつけたり、不正確な器具でブラケットの高さを決めていました。
しかし、白須賀ポジショニングゲージの発明により、ブラケットの位置決めを0.25mm単
位で決めることができるようになり、ブラケットの位置をかなり正確につけることができるよう
になったのです。これによって矯正治療の精度は格段に向上しました。
私も月に3~4症例の白須賀法を用いたブラケットポジションの技工を実際行っております。
技工にかかる時間はかなりの手間ですが、これを行うことによって患者さんの負担と治療期
間の短縮そして、治療精度が大幅に向上されます。
なぜインダイレクトなのか?・・・ブラケットを付ける位置は矯正治療の
成否を決めてしまうほど非常に重要なポイントです。これを正確に行わなければ、どんなに
技術があっても治療がうまくいくとは言えません。ブラケットの位置決めが矯正治療の成否
の半分以上を占めるといっても過言ではないでしょう。この位置決めをどれだけ正確に行って
いるかで、その医院の治療レベルもわかるのです。
8、矯正治療は新たなステージへ
白須賀法で矯正治療を行ううちに、どんなに正確にブラケットを位置付しても仕上がら
ない患者さんがいることに気づきました。これはかみ合わせの3次元的位置がもともと狂って
いる患者さんがほとんどであるという事実を示しています。現在(進行中)そのかみ合わせ
のズレを治すことによって、体のバランスがよくなったり、首や肩のコリが全くなくなって
しまうなどの問題を矯正治療が解決する
という新たなステージが見えてきました。 矯正治療をきちんと行えば体調は改善するなどといった夢のようなことも、可能になりましたこのように、矯正学の歴史を知ると、矯正歯科をきちんとやってゆこうとしている歯科医
の先生方の努力の結果が現在の治療法に行きつかせたのです。歯をきちんと治療を
しようという本質からやや外れた、マウスピース矯正や、舌側矯正(見えない矯正、裏側矯正)、
(この治療が必要な人もいるかもしれませんが)が、本当の意味でのきちんとした矯正
治療とは一線を画しているものではないかと私は考えます。私も矯正治療の最後の仕上げに
自信がなかったころは、マウスピース矯正で仕上げていた時期もありましたが、きちんと
したブラケットポジショニングをマスターすれば、その必要もなくなりました。
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