矯正治療はステイタス
矯正のブラケットはアメリカでは一種のステイタスシンボルと考えられています。彼らは子供が生まれたら矯正治療のための貯金を始めるほど、矯正治療には熱心です。それほど良い歯並び、良いスマイルは彼らにとって重要な宝物と考えられているからでしょう。
日本は、歯を見せて笑うことが許されない文化がありましたから、まだそこまでの発想にはなっていませんが、将来的にはアメリカと同じように、きれいな歯並びと美しい笑顔は宝になってくるのは間違いありません。子供の将来を考えれば矯正は絶対にやって損は無いといえるでしょう。
矯正治療の賛否両論
矯正治療を受けて歯並びを治すべきかどうかに関しては、日本ではまだ賛否両論で、矯正は絶対すべきでないという人がいるということも耳にします。確かに矯正の必要がない人もいるとは思いますが、矯正を絶対にすべきではないというのは極端な発想です。
咬み合わせが悪いことが、身体のバランスや、首、肩の筋肉などにとても悪い影響を及ぼしていることが良く知られるようになってきました。これらの多くが矯正治療によって改善されることから、矯正治療は審美的な理由だけでなく、健康の質を左右するものと理解されるようになって来ました。明らかに咬み合わせが悪い方はむしろ矯正治療を受けたほうが身体の調子も良くなりますし、実際よくなる方もかなりいらっしゃいます。実際はどういった矯正治療をしてしまうと、咬み合わせや身体に問題が出て、どのような治療をすればよい効果が得られるかを分析し、適切な咬み合わせを与える矯正治療を行えば問題はないといえます。(実際は適切な咬み合わせを与える技術が難しいのです)
なぜ矯正治療をして調子が悪くなる人がいるのか?
残念ながら、矯正治療をして、かえって調子が悪くなってしまう人がいるのも事実です。実際はきちんとした咬み合わせの理論どおりに矯正治療を行ってゆけば、矯正前より調子が良くなることはあっても悪くなることはまずありません。
しかし、このような問題が起きる背景に日本の歯科大学の矯正学講座では、きちんとした咬み合わせの理論を教えているところが少ないということに原因があります。単に咬み合わせといっても、上の歯と下の歯が咬み合いさえすればよいというわけではありません。正しいかみ合わせの位置(ナソロジーでは中心位と呼ばれている)を採得できる技術なしにきちんとした矯正ができるわけがありません。理論なしに矯正治療を行ってしまうと、矯正後に顎が痛くなったり、肩や首が異常に凝ってしまうなどの恐ろしい症状が出てきます、ひどい場合は背中が痛くなったり、頭痛が治まらなくなったり、非常に困った事態になることさえあるのです。
そのようなことから、矯正治療は、全身にも影響を与えているほど改善することがある反面、うまくいかなかった場合も大変なことが起こる可能性があるため、矯正をすべきではないという発想もでてくるわけです。
歯の矯正治療を行うことで身体の調子が良くなることは良く知られていることですが、大体の理由はわかってきましたが、完全に解明することは非常に難しいことだと思います。(全身の骨格、筋肉と、歯の当たりに対する周囲の筋肉の緊張との関係を解明しなければならないでしょう)
矯正治療をして何も改善しない人は?
矯正治療を受けても何も変わらない人も多くいます。そのような人はもともと反応が余り敏感でない人が多いようです。人間は、生命の危険の少ない環境の中になれてしまったために、様々な感覚が退化してきています。本来は自分の身体の具合などはわかるはずなのですが、それにもあまり敏感でなくなってしまうと、本来はかなり改善したことに気がつかないことも多くあるのです。しかし、そのような人でも治療の方法とその意味を理解すると非常に敏感になる場合があります。治療は患者さんが意識を高めてくれないとうまくいかないものです。自分の身体か関係する大切な治療です、治療を受ける際も一定レベルの知識をつけておく必要があります。
矯正治療の前に歯を治しておくべきか?
矯正治療を受ける前に、歯周炎の治療、虫歯の治療歯の根の治療を必ず受けておく必要があります。矯正で歯はきれいに並んだのに、虫歯や根の病気で歯を失うことも成人矯正では良くあることです。矯正に抜歯が必要な場合、成人の場合はすでに根の治療をされてしまって、ダメージの大きい歯を抜くほうが、多少矯正治療が難しくなっても良いのでしょう。どんなに矯正治療がやりやすいからといって健康な歯を抜いて、根の治療をされている歯を残して矯正治療をするのは、あまりお勧めできる治療法とはいえません(一生自分の歯で噛むことを目的とした理想の治療とは言えません)。つまり矯正治療する際も歯を治療のことを考えた治療ができなければ何にもならないということです。矯正の知識しかない矯正専門医では矯正はうまくいきません。大人の歯の治療は特に総力戦です。かみ合わせの知識、虫歯の知識、根の治療の知識、歯周病の知識など多くの知識を必要とします。
歯をかみ合わせたり、歯を動かしたりするのは、矯正専門医に一日の長がありますが、顎に対する正しい咬み合わせを考えて治療をしたり、歯の将来的寿命まで考えて治療が行えるのは、一般歯科も行っている先生のほうが優れているといえます。結局咬み合わせ、虫歯、根の治療などトータルのバランスを考えて治療ができる先生に診てもらうか、それぞれの専門の先生に治療をお願いするか、患者さんは選ばなければならなくなります。これは患者さんの状態に左右され、虫歯などが多くある患者さんは、全体的バランスの考えられる先生に診てもらうことが得策といえます。逆に虫歯があまりなければ矯正専門医で見てもらうのもよいと思います。ただし、かみ合わせの知識が十分にある先生でないと、後で大変なことになります。いずれにせよ、先生の考え方を良く聞いてから納得できれば治療を受けるべきでしょう。その前に十分な矯正治療に対する知識をつけておく必要があるとおもいます。