
矯正治療は、最初、歯並びの悪い人が、実際に自分の歯を動かした方向に押しつけ続けたらどうなるかをやってみたところ、毎日やっていると、実際に歯が動いたことから始まったようです。
そののち、もっと効率的に歯を動かすために、直接ブラケットを歯につけ、ワイヤーで矯正を行う方法が開発されました。
初めのころは歯にブラケットを直接接着する接着剤がなかったため、歯にバンドセメントでつけ、そのバンドにブラケットをろう着してから、ブラケットにワイヤーをとおして歯を矯正していました。(上図)[ストレートワイヤーシステム(石川・古賀)から引用]
やがてダイレクトボンディングと呼ばれる、歯に直接ブラケットを接着させる方法で矯正治療が行われるようになりました。
これらのワイヤーを使った初期の矯正治療のテクニックにはエッジワイズ法やベッグ法などがあり、最もスタンダードな矯正の方法として長い間行われてきました。

このテクニックに使用されるブラケットは個々の歯に対して、まったくプログラムがなされていないもので、ブラケットをつける面に対して垂直にワイヤーの入るスロットが形成されていました。(左図参照)、従って、一本一本の歯に合わせてワイヤーベンディングを行う必要があり、治療結果に一定のきまりがなく、患者さんごと、先生ごとに治療結果が異なってしまうという欠点がありました。また患者さんの状態を見て頻繁にワイヤーを曲げていかなければならないために、非常に効率も悪い方法でした。
それに対して、アンドリューズらが開発したストレートワイヤーテクニック(現在の矯正治療はほとんどこの方法になっている)ではブラケットにトルク、インアンドアウト、アンギュレーション、(その他全部で6つあるかみ合わせを理想的にする鍵)、を前もってとりいれられたブラケットを使用します。これは理想的な歯並びの人を計測した結果から個々の歯のブラケットに一体どのようなブラケットベースの角度、スロットまでの幅などを与えればよいのかを前もってブラケットの形態に取り込んでおくことにより、いちいちワイヤーを曲げることなく、まっすぐなワイヤーの太さを変えることで、理想的なかみ合わせにもって行こうという考え方です。これによって矯正治療の先生による治療結果のばらつきが格段に少なくなりました。
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左の図は、スタンダードエッジワイズテクニックによる、ブラケットの形態、ブラケットに理想的に歯が並ぶプログラムがなされていないために、ワイヤーを屈曲する必要がありました。
(「ストレートワイヤーシステム」(石川・古賀)から引用) |
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ストレートワイヤーテクニックによるブラケットの形体、まっすぐなワイヤーを入れることで歯が自然に理想的な形態になるようにプログラムされている。
(「ストレートワイヤーシステム」(石川・古賀)から引用) |
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さら近年は、超弾性といって、どんなに曲げられても元の形に戻る性質をもったワイヤーや、形状記憶合金の様に、患者さんのお口の中の温度に反応してワイヤーが閉まる仕組みになっているものなどが開発されてきました(オームコ社のカッパーナイタイワイヤー)。
また、今まではメインのワイヤーをブラケットに細めのワイヤーで縛り付ける方法で矯正治療を行っていました。しかし、徐々にセルフライゲーションというブラケットにワイヤーを縛りつけないタイプのブラケットが開発されてきました(スピードブラケットやタイムなど)
これらのブラケットはいずれも画期的なものでしたが、最近話題になっているデモンブラケットはこれらの中でも最高傑作といえます。セルフライゲーション型のブラケットは、ブラケットとワイヤーとの間に摩擦がないために、歯が動きやすいという長所を持っていましたが、デーモンブラケットはその中でも最も摩擦抵抗が少なくできています。
私どもの医院では、やむを得ない理由以外では基本的にデーモンブラケットで矯正を行うことをお勧めしております。
デーモンブラケットのようなワイヤーとブラケットに摩擦がないワイヤーでは、矯正治療がより弱い力しかも早く歯を動かすことができます。ほとんどの部分が金属でできているので、審美性は期待できませんが、私は医師として、矯正治療中は審美性よりも治療の結果を求めるので、他のブラケットでの治療はあまりお勧めいたしません。
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| デーモンブラケットの例、ブラケットに摩擦がないので、スムーズな歯の移動と、矯正中の歯の痛みが少ないです。 |
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