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さまざまな顎関節症治療法の見解
顎関節症には今まで次のような治療法が行われています。
1. 温熱療法、投薬療法、筋肉のストレッチ、開口訓練
2. 補綴治療(歯を削ることによって被せ物で治す方法)
3. プレート療法(口の中に入れる板で治す方法)
4. 筋肉のマッサージ
5. 金属などの修復物の除去
これらの治療法に対する私自身の見解を書きます。
1の温熱療法は一定の効果があると思われますが、一時的な療法で根治療法ではありません。肩こりがある人がマッサージに行って揉んでもらうと2~3日は良くなっていますが、1週間もするとまたもとの状態に戻ってしまいます。結局は噛み合わせを治さなければ根本的に治らないでしょう。
また投薬療法もあくまでも対症療法に過ぎません、薬もテグレトールなど三叉神経痛の薬を処方したりしますが、本当にこれを必要としている患者さんはむしろまれだと思います。本院でも噛み合わせの治療で治った人で、この薬を出されていた患者さんが何人もいらっしゃいました。
筋肉のストレッチは多少意味がありますが、筋肉がつった状態になってしまっているのであまりむりにひっぱるのは良いことではありません。また開口訓練のようにさらに筋肉に負担をかけることはあまり好ましいとはいえません。
むしろ4のようなマッサージ療法の方が、すぐに口を開けることができるようになります。
2の補綴治療は、確かに噛み合わせを治すという観点からすると現実的です。しかしながら顎関節症の患者さんは極度に咬む筋肉が緊張していることがあり、正しい噛み合わせの位置(中心位*と呼ばれている)を確実に採特することが非常に困難な患者さんもおり、そのような場合安易に補綴治療によって被せ物を作ってしまうと噛み合わせががらっと換わってしまうことがあり、非常に危険な治療といえます。
しかも現在の歯を利用する以上治せる噛み合わせの状態には限界があります。また歯を非常に多く削ってしまうので、自分の歯があまりにももったいないと思います。現在推奨されている、歯をできるだけいじらない治療法とはかけ離れているといえるでしょう。(*中心位という概念は昔の考え方のかみ合わせの位置のことで、ここでいう中心位とはあくまでも患者さんにとって理想的なかみ合わせのことを意味します)
またよく調べている人は、咬合治療と呼ばれ、ナソロジー(アメリカのかみ合わせの考え方)やシークエンシャル咬合(ヨーロッパのかみ合わせの考え方)など様々なものが取り入れられていることを理解するでしょう。しかし、私が内部でみてきた人の話を聞くと、永遠に治療が終わらなかったり、結局かみ合わせのゴールが見えないまま治療をし続けることがあることが知られています。
3のプレート療法は、板状のプレートを入れることによって治すものです。これは確かに良い治療法だと思いますが、患者さんによっては違和感がつらくて全くしていられない人もおり、すべての患者さんに適応できるものではありません。このプレート療法は、症例によってその作り方を相当工夫しないと患者さんが効果が実感できるものを作成することは困難です。
当医院では、症例によって3~4タイプのプレートを用意しています。
4の修復物の除去はOリングテストなど非科学的な治療法を取り入れている先生が多く手がけます。残念ながら筋反射テスなるものはまだはっきりとした医学的根拠がありません。全然当てにならないとは言いませんが、参考にすべきものの一つと言ったところでしょう。また、金属アレルギー自体が、その起序もはっきり解明されているわけではありません。また人によっては体調が治ると金属アレルギーが治ってしまうこともあり。金属を取り除くことで顎関節症が治るということは必ずしもないのです。
きちんとした治療の根拠を求めてから治療を受けないと、深く後悔することになります。特に材料学的に金属以外の材料は脆かったり、虫歯になりやすかったりするために、顎関節症は治らない上に、虫歯まで多くできてしまうといった悲惨な状況になっている患者さんを多く見受けます。きちんと背景に間違いのない理論があるか調べるべきでしょう。
また、わたくしが様々な先生方が行っている治療とは異なっている見解である点について説明いたします。
1. 咬合器や、高度な咬合診断装置などを使わない理由
2. 固いプレート式の治療器具を使わない理由
3. 金属を除去し、レジンやセラミックなどで治療を行わない理由
4. かぶせものなどをかみ合わせを決めて全部いっぺんに作成しない理由
1の咬合器については、今まで様々な先生が咬合器を開発したりして、かみ合わせを治療しようと試みてきました。しかし、一部の治療を除いては(義歯など)どんなに正確にかみ合わせを取って分析してみても、その努力はほとんどが水泡に帰すからです。かぶせものの高さや動かした時の当たり具合を見るための咬合器の利用法は意味がありますが、高度な咬合測定装置は時間の無駄です。
顎関節症にかかってしまった人は、よくお分かりだと思いますが、筋肉が硬直している状態が日々違っているのです。
また歯の当たり具合は治療に伴い日々変わってきています。つまり、測定をしたとしてもその刻々と変化しているほんの一瞬の現象をとらえたことに過ぎないからです。大切なことは何が原因でこのような現象が起こってしまったのかを診断できる能力です。
これがない人は一生懸命咬合器と格闘してかみ合わせの不都合を探し出そうとしたり、咬合器の診断から出された数値で、かみ合わせをあげたり、しようとしますが、これは非常に危険な治療と言えます。かみ合わせは良い位置に行き着くまで常に絶えず変化する可能性があると理解して治療を行わなければならないからです。
以上の考察から当院では、まずマッサージを行って顎関節症の原因である筋肉の緊張をとることからはじめ、最終的には矯正治療で治す事がもっとも効率がよく、治療経過も良い方法であると結論し、実際の治療もそのように行い、成果が出ています。
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