顎関節症は咬み合わせの治療で治るか?
顎関節症では、咬み合わせの治療をしても治らないという意見が多くあることは事実です。しかしながら、当院で咬み合わせを治すことによって多くの患者さんが治っていることから考えると、顎関節症のほとんどが咬み合わせに原因があることは明らかです。また歯を治療してから顎の調子が悪くなったり、矯正した後で体調まで悪くなってしまった患者さんの場合は咬み合わせ以外に原因があるとは考えにくいでしょう。
なぜ顎関節症になったのか、そしてどのような治療を行えば治るのかという原因と方法に対するきちんとした答えなしに治療を行うことは非常に危険です。顎関節症の治療は治療自体に大変手間がかかるので、多額の費用が必要となるのですが、費用と時間をかけても治らなかったりするとトラブルになりかねません。このようなトラブルが他の治療と比べて多いために積極的に治療するということ自体が良くないのではないかといった考え方をしてしまうことがあります。しかし、きちんとした治療できるかどうかのガイドラインさえあれば決して咬み合わせを治療すること自体が危険を伴うものではありません。
実際、これらの咬み合わせの治療を行ってトラブルを起こしてしまった事例では、治療に当たったドクターが咬み合わせに対する十分な知識がなかったり、非常にフレキシブルな構造をもった人間の体というものを理解して治療していなかったり、といったいずれも治療に対する知識不足が原因で起きていることが多いといえます。(「
さまざまな顎関節症の治療法への見解」参照)
本当に顎関節症で苦しんでいる人にとってはお金を払ってでも治してもらいたい反面、いったい誰の話を信じてよいのか、咬み合わせを治すべきなのか、様子を見ながら耐えたほうが良いのか悩んでいる人が多いのではないでしょうか?
大学教育と日本人の潜在的な顎関節症患者
日本の歯科大学の専門課程では咬み合わせに関する教育がなされることはほとんどなく、大部分の先生が卒業後、試行錯誤で見つけ出した治療法を患者さんに行っているのが現状です。卒業後の研修でも「咬み合わせ」に関して実際に“ハンズオン”といって、治療の仕方を手取り足とりで教えてくれる機関もあるのですが、その数は少なく、しかもかなりの時間と費用がかかるために、なかなか忙しい開業医の先生が勉強に出かけて行くのは難しいのが現状です。
ちなみに歯科先進国のアメリカでは、大学で咬み合わせに関する授業はカリキュラムの中に組み込まれており、卒業までには少なくとも患者さんの正しい咬み合わせの位置を採得する方法を必ず習得させてくれます。
いずれにしても高い授業料を払わされていながら、きちんとした教育を受けさせてくれない今の日本の歯科大学の体質にかなりの問題があるといえます。日本ではこのように十分な教育がなされていないため、咬み合わせに関する理論を知らないまま歯科大学を卒業してしまう先生が大勢いるのです。
こんな現状から、日本人には顎関節症の患者さんの数がアメリカと比較にならないほど多いといわれています。自分で顎関節症だと気づいていない人も含めると潜在的には莫大な数の顎関節症の患者さんが日本にはいると考えられるのです。
また顎関節症は、首や肩、さらには全身に凝りを引き起こすことがわかっており、これにより日常生活に支障をきたしたり、体調が良くないために仕事の効率などが下がり、経済活動に悪影響を与えていることは否定できません。自分で気づいていない人も顎関節症について正しい知識をもって、治してゆくことを考えるべきではないかと思います。
クリニカルパスと治療
当院では、現在までの治癒に至った患者さんの経験から、一定のクリニカルパスを作成し、これに従い、どのような症状やケースにおいて、どのような治療パターンで治癒可能なのかを検討して治療を行っています。これらの治療法はもともとアメリカの大学で実際行われていた方法を採用し、診断等はヨーロッパの考え方なども取り入れて行っています。
治療は、ナイトガードやプレート(費用は52,500円)を夜寝るときだけはめていただき、その効果を見ることから始まります。これは不可逆的な治療ではなく、調子が悪くなったり、効果がなければいつでも取りはずす事ができるので、比較的安い費用で(決して安価という意味ではないが)つらい症状を取り除き、治癒の方向性を見極めることができる方法です。この装置によって顎関節症の症状に一定の効果が認められた場合は、咬み合わせが原因であると判断し、歯と咬み合わせの治療に行ってゆくという方法で治療をおこなっております。
残念ながらナイトガードやプレート療法を行ってもあまり改善が認められないケースもまれにあります。そのような場合に咬み合わせの治療をいきなり行うのは危険です。疾患の原因に大きく関係があると思われる歯の当たっている部分をほんの少し調整するだけにして、治療を行う場合も虫歯や根の治療、金属アレルギーの処置など、咬み合わせ以外の原因を取り除く努力をしてゆきます(虫歯や根の病気、金属アレルギーが顎関節症の症状を引き起こすことがあるからです)。その間、整体院などに通っていただき、全身の筋肉のバランス等を整えていただき、その後の経過をみて、さらに咬み合わせの治療が必要か判断します。(ナイトガードのみでは治らず、矯正治療でしか改善できない顎関節症もあるので、治療の判断は少し難しくなります)
顎関節症は引き起こされた原因によっての治療法が違ってきます、咬み合わせの調整のみでもある程度効果が期待できるものと、矯正治療を行わないと完治しないものなど、様々です。治癒が可能かどうかは治療計画の説明の際にお話いたしますが、基本的にはほとんどのケースで咬合調整と矯正治療が顎関節症の治癒に重要な役割を担っています。
仮に顎関節症でなくても、きちんと歯を治したいのであれば、咬み合わせを適切に与えてあげる治療法(顎関節症を治してしまう様な治療法)を用いれば、単に見た目だけでなく、顎周囲や体全体のバランスまでとれた体になることが知られていますし、顔つきや体調も見違えるほど変わってきます。これは実際に当院で治療が終了した患者さんに多く認められています。
顎関節症の治療を受ける際のアドバイス
このようにホームページ上で治った症例について書くことは誰でもするのですが、実際に本当に治っているかという事実を患者さんは確かめることはできません。先生に自分の状況についてじっくり相談し(長時間の相談には多少費用もかかるでしょう)、治癒にいたった患者さんの症例を見せてもらうことによって、この先生なら治療をきちんとやってくれそうだと確信できてはじめて治療を受けることを決めるべきだと思います。